ビジネスを加速させるワークスタイル(第27回) ウチの会社、ITリテラシーがヤバい? Z世代が入社して気づく違和感の正体

業務課題 経営全般

公開日:2026.04.14

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1.Z世代をはじめとした新入社員が直面する"アナログ価値観"の職場環境

 近年、入社してくる新卒社員や若手の中途採用者の多くは、いわゆる「Z世代」と呼ばれる層になってきた(内閣府「消費生活の未来に関する調査報告書(令和6年4月)」p7)。Z世代とは、おおよそ1997年から2012年頃に生まれ、2026年時点で30歳以下の世代をさす。いわゆる「デジタルネイティブ世代」である。

 彼らは、幼少期からインターネットやスマートフォンが身近にある環境で育ち、情報収集やコミュニケーションをオンラインで行うことが当たり前となっている。ニュースやコンテンツはリアルタイムで取得・共有され、テレビや新聞といった従来型メディアよりも、インターネットを通じた情報接触が中心となっている。

 また、Z世代の特徴としてよく挙げられるのが「タイパ(タイムパフォーマンス)重視」の価値観である。コストパフォーマンスに対する意識と同様に、時間に対する効率を重視し、動画の倍速視聴や要約サービスの活用など、短時間で本質を把握する行動を自然に行う。さらに、デジタル空間における多様な価値観にも日常的に触れている。

 一方で、企業の現場には依然としてアナログな慣習が多く残っている。通信環境の遅さ、旧式の社内システム、紙やハンコによる決裁、FAXの利用、対面中心の情報共有などである。これらはZ世代にとって「非効率」と映りやすく、「この会社は大丈夫か」という不安につながる可能性がある。

2.Z世代が「ヤバい」と感じる本質は、非効率な環境にある

 若い世代について語る際、「ラクをしたがる」といった誤解がしばしば見られる。しかしこれは本質ではない。どの時代でも、世代ごとに価値観や合理性の基準が異なるだけである。重要なのは、彼らが何を重視し、どのような前提で行動しているかを理解することだ。そのためには、一方的に評価するのではなく、観察し、理解し、仮説を立て、実際の反応を見ながら調整していく姿勢が求められる。

 Z世代が「ヤバい」と感じるのは、単に古いからではなく「非効率だ」と感じる環境である。逆に言えば、たとえレトロな仕組みや慣習であっても、合理性や効率性が納得できれば、受け入れられる余地は十分にある。

 その他にも、レトロな慣習や形式重視によって実践的な経験が得られず、成長機会が制限されることへの不満や、将来のキャリアに対する不透明さ、さらには相談先の不足といった教育環境の課題も、同様に「非効率」として認識されやすい。これらは個別の問題に見えて、いずれも合理的に前進できない構造に起因しており、部分的な対処ではなく、全体設計として見直す必要がある。

 自分たちが若い頃に感じていた違和感や抵抗を振り返ることも、有効な手がかりになる。当時「新人類」などと呼ばれた今のオトナ世代が過去に抱いた違和感と同様に、現在の若い世代もまた、既存の構造に対する合理性の欠如を鋭く感じ取っているに過ぎない。つまり問題は世代ではなく、環境と構造の側にあるだろう。

3.なぜ経営層やベテラン社員は、この「ヤバさ」に気づかないのか

 Z世代から見れば、遅い通信環境や旧式のIT機器、紙や対面中心の業務フローは、非効率に映りがちだ。より高速な通信環境や最新機器を使えば処理能力は大きく向上し、オンライン化によって時間の再配分も可能になる。こうした改善の余地は、彼らにとっては直感的に理解できる領域だからだ。

 一方で、経営層やベテラン社員が気づきにくい背景には、過去の成功体験と慣習への依存がある。これまでのやり方で成果を上げてきた経験は、変化の必要性を感じにくくさせる。また、人は年齢を重ねるほど、新しい技術や仕組みの導入に対して心理的なハードルを感じやすくなる。

 例えば、DX推進やIT活用の現場でも、「対応しなければならない」という義務感にとどまり、主体的な取り組みになっていないケースは少なくない。結果として、表面的には取り組んでいるように見えても、実態としては従来の延長線上にとどまる場合がある。

 こうした認識のズレは、単なる世代間ギャップではなく、環境変化への適応速度の差として現れる。従来の手法と新しい価値観の違いを正しく理解し、それを前提としたアプローチを取らなければ、組織としての競争力は維持しにくくなるだろう。

4.この「ヤバさ」が若手離職と企業成長の停滞につながる~早急な対策が必要

 現在、若手社員の多くはZ世代である。この世代の特性を理解せず、従来のやり方を維持し続ける企業は、「この会社は合わない」と判断されやすい環境にある。

 Z世代は、環境とのミスマッチを感じた場合、比較的早い段階で離職を選択する傾向がある。従来の世代が受け入れてきた「我慢」も、彼らにとっては合理性を欠いた行動と映る可能性が高い。さらに、SNSや口コミサイトの普及で企業の評判は可視化されやすくなっている。「働きにくい」「非効率」といった評価は拡散されやすく、採用活動にも影響を及ぼす。

 一方で、離職せずに残る若手社員の中にも、業務に対する意欲が高まらないケースがある。仕事よりもプライベートを重視し、最低限の関与にとどまる働き方を選ぶ場合も見られる。こうした状況が続けば、組織全体の生産性や成長性にも影響が出る。

 Z世代の離職理由として、「やりたい仕事ができない」「待遇への不満」「将来性への不安」などが挙げられる。また、相談できる環境の不足や評価基準の不明確さが、心理的な負担を増大させる要因にもなる。近年では「パープル企業」という概念も指摘されている。労働環境は良好である一方、成長機会ややりがいが乏しい企業は、Z世代から選ばれにくい傾向にある。

 企業にとって重要なのは、単なる効率化だけでなく、働く人材が成長と充実を感じられる環境を整えることである。Z世代が「ここで働き続けたい」と思える職場づくりは、企業の持続的成長に直結する課題といえる。

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

執筆=青木 恵美

長野県松本市出身。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「自分流ブログ入門」「70歳からはじめるスマホとLINEで毎日が楽しくなる本」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経xTECHなど。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。

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