ビジネスを加速させるワークスタイル(第1回) スマートフォンは手放せない。だからこその課題

音声通話 スマホ働き方改革

公開日:2015.12.16

 メールやテキストメッセージ、グループウェアという手段で仕事のコミュニケーションや連絡を取る場合も多くなってきているが、まだまだ音声電話は仕事でのコミュニケーションの主流だ。

 筆者は以前とある中小企業の事務職をしていた頃、顧客からよく営業担当者に向けて、電話がかかってきていた。「○○はただ今外出しております。折り返しお電話いたしましょうか」などと応対して、営業担当者の社用の携帯電話に連絡を取り、本人が外出先から顧客に電話をかけていたのだが、営業担当者が客先や移動中などで、すぐに連絡がつかないケースも多かった。

 携帯電話に連絡をしてもつながらなかった場合、留守番電話やメールに伝言を入れて対応していたが、営業担当者に伝わっているのか確認のしようがない。場合によっては、顧客への対応が完了するまでに、相当なタイムラグが発生してしまう。

 このような対応が続いてしまうと、「○○さんはいつも留守だねえ」とか「いったいいつ電話したらいいわけ?」などと、嫌み混じりに言われてしまうこともしばしばあった。そもそも「営業担当者は外出が多く、物理的にレスポンスが遅くなってしまう」のはこちらの事情。顧客にしてみれば、用事の大小や重要度はそれぞれ違うにしても、その都度、すぐに本人と連絡が取れて用件を済ませたいところだ。

 筆者は電話応対をする中で、顧客のいらだつ気持ちもよく分かるし、営業担当者が多忙なのも重々承知している。顧客と営業担当者との間で、何かもっとスムーズにつながる方法がないものかと考えていた。

さまざまなサービスで、コミュニケーションロスを回避したい

 現在、スマートフォンを使って、外出先でもオフィスにかかってきた電話をそのまま受けたり、オフィスの電話番号を表示して発信したりするサービスが存在する。さらにオフィスにいる社員から外出先の営業担当者のスマートフォンに、内線感覚で「○○さんからお電話です」と伝えた上で、電話を転送することも可能だ。

 顧客がオフィスの電話番号にかけても、外出している営業担当者のスマートフォンにつながるので、スムーズにコミュニケーションを図ることができる。

ビジネスの重要アイテムとなるスマートフォンだが紛失や置き忘れの危険性が......

 利便性が高まっていくスマートフォンだが、少し気掛かりな点がある。それは、外出先などでの紛失や置き忘れの可能性が高いという点だ。

 外出の多い営業担当者は、そのリスクが高い。その上、今話題の「BYOD」で個人所有のスマートフォンをビジネスにも活用している場合は、休日などのプライベートな時間にも、紛失の危険性が広がってしまう。

 筆者が事務職をしていた頃にも、営業担当者が携帯電話を紛失したという事態に何度か遭遇した。そうした場合、契約している通信事業者の紛失専用の問い合わせ番号に連絡して、端末の場所を検索してもらったり、サービスの利用一時中断や端末のロック・初期化などをお願いしたりしたものだ。

 すぐに気が付いて他人に中身を見られることなく回収できればよいが、時間が経過してしまった場合や、所在が分からないときなどは、取引先や顧客などの連絡先データが流出してしまう可能性がある。

 もちろん、紛失や置き忘れの可能性だけでなく、下手をすれば盗難、最悪は情報を盗む目的で狙われる可能性も少なくない。そうしたことで、大事な顧客や取引先に迷惑を掛けてしまうのは絶対に避けなければならない。十分注意が必要だ。

 スマートフォンなら、パソコンなどから現在位置を検索したり、Webサイトやアプリを活用しロックや初期化をしたりできる。Androidなら「Android デバイス マネージャー」、iPhoneなら「iPhoneを探す」など、無料で使えるので利用しやすい。

 また、営業担当者本人だけでなく、相手側の顧客が紛失してしまうこともあるだろう。営業担当者が電話をかけた際に、こちらの電話番号が顧客のスマートフォンに履歴として残ってしまっているため、そこから個人情報が流出してしまう恐れがあるのだ。

 営業担当者がプライベートでも使うスマートフォンなら、そのリスクは計り知れない。しかし、オフィスの電話番号として発信していれば、顧客のスマートフォンに会社の代表番号などが記録されるため、ダメージは軽減される。

 こうした音声電話にまつわる問題を解決するサービスが続々提案されている。用途や環境に合ったサービスを導入することで、さらなる効率化やビジネスチャンスの拡大、さらには危険回避に生かしていきたいものだ。

執筆=青木 恵美

長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。

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