ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
ビジネスを勝ち抜いていくためには自社が持つデータの活用が不可欠です。しかし、データの扱い方が人や組織によって異なると、貴重なデータを無駄にしてしまう場合があります。そのため、昨今ではデータを取り扱う際に必要なルールづくりとルールを順守するための取り組みとして「データガバナンス」という考え方が広がっています。
データガバナンスとはどういうものなのでしょうか? 本記事ではデータガバナンスの概要や実践手順などについて紹介します。
ビジネス活動では、日々さまざまなデータが利用されています。それらを体系的に収集、分析、管理をしていくことを「データマネジメント」といいます。データマネジメントをすることで、データに基づいたスピーディーな戦略立案などが行えるようになります。
しかし、担当者や部署ごとに異なるシステムやフォーマット、ルールでデータマネジメントをしていると、データを社内で横断的に取り扱うことができません。身近な例では「名刺管理」において、Aの部署は名刺ホルダーに収納、Bの部署はExcelに手動入力、Cの部署はスキャニングしてアプリで閲覧しているといったケースなどです。
これを解決するには、全社で名刺を管理するための方法やツール、フォーマットを統一し、定期的な情報入力のルール化、取り組み状況のチェックなどが必要となります。もちろんその中には、情報セキュリティ面での取り組みも必要です。データの収集や管理の仕組みなどのルールを策定することは、情報セキュリティの強化にもつながります。
データガバナンスとは、上記のような企業によるデータマネジメントの実行を、全社の視点から監督・サポートしていく活動です。それによりリスクを最小限に抑えながら、データ利活用の価値を高めていきます。
企業がデータガバナンスに取り組むメリットには次のようなものが挙げられます。
メリット1:データマネジメントの質を高める
前述した通り、データガバナンスは、データマネジメントの実行を全社の視点から監督・サポートしていく活動です。しかるべきルールとフォーマットによって収集されたデータは、品質的にも情報セキュリティ面でも、信頼性の高いものとなります。そういったデータが集まるほど社内での横断的なデータ活用が促進され、データマネジメントの質を高めていきます。
メリット2:データ活用への理解が深まる
データガバナンスを通じて、これまで各組織に散在していた売り上げ実績や顧客情報などのデータが統一フォーマットで統合されることによって、他部署のデータにも素早くアクセスできるようになります。それによって、商品開発メンバーが店舗の購買履歴データを用意して、新たな商品やサービスの展開を考えるときの仮説検証に生かすといったことができます。
メリット3:コンプライアンス意識が高まる
データマネジメントが促進され企業内でデータの取り扱いが活発になると、それに比例して情報漏えいや個人情報保護法違反などへのリスクも高まります。データガバナンスによってセキュリティポリシーへの理解を社内に浸透させることで、コンプライアンス意識の向上を図ることにつながります。
データガバナンスを実施する手順は、以下の3つのステップに分かれます。
ステップ1:データマネジメントの目的を明確にする
なぜデータマネジメントを行うのか、目的を明確にして、従業員に認識してもらうことが重要です。そのうえで、どのようなルールが必要となるのかを考えていきます。
ステップ2:ルールの策定
次に、データガバナンスを進めていくうえではどのようなルールが必要なのか、順守してもらうためにはどのような取り組みを行うべきなのかをまとめます。
ステップ3:データガバナンスの適用
ルールが策定できたら、データガバナンスを実践します。その後は、一定以上のデータ品質の確保やルールの順守状況のモニタリングなどを行い、定期的に改善していきます。
データガバナンスを実践するときには、以下のような点に配慮して取り組むとよいでしょう。
最低限のルールからはじめる
最初から厳格にルールを策定すると、本来の目的であるデータ収集が進まない状況になります。取り組み当初はガイドラインのような最低限のルールを定め、データマネジメント、データガバナンスの取り組みを社内に浸透させることが必要です。
段階的に進める
組織全体にデータガバナンスを適用すると、部署間での取り組みに濃淡が出るなど、整合性が取りにくくなります。基準が統一されていないデータガバナンスは順守することが難しくなります。段階的に各組織の理解を得ながら進めていくことが重要です。
意義や理由を共有する
データマネジメントの意義や理由が共有できていないと、データガバナンスで策定されたルールは従業員にとって負担となります。ルールの策定や順守のラインをどこまでとするのが適切なのか、従業員とのコミュニケーションを通じて把握することが重要になります。
外部の企業に相談する
自社内でデータガバナンスを実践するのが難しい場合は、外部の企業に依頼するのもひとつの手です。データガバナンスに特化した企業のほか、ERP(Enterprise Resources Planning の略。企業経営の基本となる資源要素を分配し活用する計画)を提供している企業、SI(System Integration。情報システムの設計・構築)企業でも対応可能なケースがあります。すでにそのような企業と取引をしていれば、まずは相談してみるとよいでしょう。
データガバナンスの実践によりデータマネジメントがうまく機能すれば、戦略立案に貢献するのはもちろん、生産性の向上も期待できます。自社で所有するデータを業務に活用する場合は、データガバナンスへの取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆= NTT西日本
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