最新セキュリティマネジメント(第28回) 無料で簡単に自社の情報セキュリティレベルを診断

リスクマネジメント 働き方改革

公開日:2023.09.21

 あらゆる業務にITが関わり、インターネットが多用されている今、中小企業であってもサイバー攻撃を受ける可能性があり、対策が求められている。しかし、ITに強い人材が不足し、セキュリティの専門家もいない中小企業にとっては、どこからどう対策を講じていくのか分からない場合も多い。そこでお勧めしたいのが、独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)が提供している「情報セキュリティ対策支援サイト」の活用だ。

5分でできる無料診断で自社の現状を把握

 「情報セキュリティ対策支援サイト」は中小企業のセキュリティ対策を支援する専門サイト。情報セキュリティ対策を「知りたい」「学びたい」「始めたい」「続けたい」といったニーズに応えるため、経営者や対策実践者、従業員など役割別にさまざまなサービスが無料で提供されている。

 まず試してほしいのが「情報セキュリティ診断」である。Webサイト上でいくつかの設問に回答するだけで自社のセキュリティレベルが分かる内容になっている。事前登録の必要がないため、気軽に繰り返し利用できる。

 「情報セキュリティ診断」の入門編は「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」で、「part1 基本的対策」「part2 従業員としての対策」「part3 組織としての対策」の3つに分かれている。基本的対策では「パソコンやスマホなど情報機器のOSやソフトウェアは常に最新の状態にしていますか?」といった5つの項目について「実施している」「一部実施している」「実施していない」「わからない」から回答していく。

 従業員としての対策では「電子メールの添付ファイルや本文中の URLリンクを介したウイルス感染に気をつけていますか?」といった13項目、組織としての対策では「従業員に守秘義務を理解してもらい、業務上知り得た情報を外部に漏らさないなどのルールを守らせていますか?」といった7項目について、同様に回答していく。

 設問には経営者が把握できていない内容も多いと思われるが、厳密に考えずに回答してみてほしい。ざっくりと自社の現状が把握できれば次のステップに進められる。

同業他社と比較して、できていない対策を強化

 一通り入力して「診断」ボタンをクリックすると、すぐに結果が表示される。診断結果には合計点と診断内容に対応した注意喚起のコメントとレーダーチャートが表示される。このレーダーチャートは全企業平均との比較に加えて、同業種平均との比較もできるので、自社の強みと弱みを把握できる。

 「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」の最後には、診断結果に沿ってお薦めの資料やツールの一覧が示される。それぞれに推薦コメントがついており、どんな内容なのか、どんなメリットをもたらしてくれるのかが分かるので、資料やツールを選びやすい。

 診断結果は破棄・保存ができる。保存した場合には過去5回分との比較ができるので、自社のセキュリティレベルの改善状況も確認できる。どの対策を強化してきたかなどの確認は大切なので、保存をお勧めする。

 「情報セキュリティ診断」には高度な診断ツールとして、「情報セキュリティ対策ベンチマーク」と「サイバーセキュリティ経営可視化ツール」が用意されている。

 例えば「情報セキュリティ対策ベンチマーク」では、セキュリティについてさらに掘り下げた設問が用意されている。情報セキュリティポリシーの策定や対策についての評価方法、重要情報のライフサイクル管理、自社の組織や関連規定の整備状況など、経営者層の意識レベルや実際の取り組みレベル、セキュリティインシデントが与える影響度などが問われている。

 情報セキュリティ対策支援サイトでは、こうした診断ツール以外にも「5分でできる!情報セキュリティポイント学習」というe-Learning形式のコンテンツや、セキュリティに関する各種資料の検索、セキュリティ専門家の検索、セキュリティ専門家のセミナー開催情報など、さまざまな情報を提供している。自社の情報セキュリティをステップアップするためにもぜひ活用したい。

執筆=高橋 秀典

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