ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
2022年9月28日に独立行政法人情報処理推進機構(IPA)がビジネスメール詐欺対策のための特設ページを立ち上げた。BEC(Business E-mail Compromise)といわれるビジネスメール詐欺のパターンや対策、被害にあった場合の対応などを分かりやすくコンパクトにまとめたものだ。ビジネスメール詐欺の被害が広がる中で、しっかりと目を通しておくことをお勧めする。どんなページなのか概要を紹介しよう。
特設ページではビジネス詐欺メールとして主な2つのパターンを取り上げている。「取引先との請求書を偽装」するタイプ1と、「経営者などになりすます」タイプ2だ。
タイプ1は攻撃者が取引先になりすます。偽の請求書などを送りつけて、攻撃者が用意した口座に振り込みをさせるのが目的だ。IPAが確認したところ、海外の企業と取引を行っている企業で見られるようだ。自社の担当者や海外子会社の担当者になりすますケースもあるという。
タイプ2は攻撃者が企業の経営者や幹部社員になりすまし、従業員に対して攻撃者が用意した口座に振り込みをするように指示するものだ。攻撃の対象となるのは企業内の財務や経理の担当者だ。「秘密の案件で相談がある」「相談したいことがあるので少し時間があるか」といった問い合わせを装う。電話のオレオレ詐欺と似た手口だ。
こうしたビジネスメール詐欺を防ぐにはどうしたら良いのか。特設ページでは対策として「普段と異なるメールに注意」「電信送金に関する社内規定の整備」「ウイルス・不正アクセス対策」の3つを挙げている。
さらに、ビジネスメール詐欺被害に遭ってしまった場合の対応についても解説している。送金のキャンセルや組み戻し手続き、状況把握や時系列の記録と証跡の収集、暫定対応と原因調査、そして社内外に向けた注意喚起とグループ会社などを含めた情報共有などだ。必ずしも資金が戻ってくるとは限らないが、送金後すぐに連絡することは有効な手段とされる。振込口座が海外の場合には、FBIやインターネット犯罪苦情センターのIC3への通報も有効だという。
特設ページには、より詳細に解説している「ビジネスメール詐欺(BEC)の特徴と対策レポート」という20ページほどの小冊子になっているPDFへのリンクがあり、海外の状況やIPAに寄せられている事件の情報、細かな事例が紹介されている。
ここでは、詐欺用の偽物のドメインが本物のドメインとどう違うのか、メールアドレスはどこを変えているのか、攻撃者がどのようにメールを盗み見ているのかなど、攻撃の技術的な手口について解説されている。対策のイメージを把握しておけば、実際に直面したときに攻撃を防げるかもしれない。
また、ビジネスメール詐欺とその対策を分かりやすく説いたチラシも提供されている。社内に掲示したり従業員に配布したりすればセキュリティへの意識を喚起でき、対策としては有効だろう。
そして、ぜひチェックしてほしいのが、ビジネスメール詐欺の手口と対策について解説した動画コンテンツだ。国内拠点だけでなく、海外拠点でも従業員が見られるように、日本語字幕付きと英語字幕付きの2種類が用意されている。
外国人と日本人の役者を使った12分のドラマ仕立てのコンテンツで、「What’s BEC?」と題した英会話レッスン番組風になっており、ビジネスメール詐欺の手口と対策を解説している。なかなかリアルなストーリー展開で、ビジネスメール詐欺について従業員に考えてもらうきっかけになるはずだ。
執筆=高橋 秀典
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