覚えておきたい情報セキュリティ&ネットワークのキホン(第17回) ネットワークレイヤーとは?階層や通信プロトコルについて解説

データ通信

公開日:2022.03.31

 ビジネス・プライベートを問わずあらゆる場面で利用されているインターネットですが、ネットワーク通信はどのように行われているのでしょうか。

 ネットワークの仕組みを理解するうえで参考になるのが、ネットワークをいくつかの層に分かれたものとして捉える「ネットワークレイヤー」の考え方です。本記事では、ネットワークレイヤーとOSI参照モデル、TCP/IPについて紹介します。

ネットワークレイヤーとは

 レイヤー(layer)は階層を意味し、ネットワークレイヤーは複数の階層に分かれたネットワークの構造を示します。そして、ネットワークを複数の階層の集積体として説明をするために用いられるのが、OSI参照モデルとTCP/IPです。

OSI参照モデルとは

 OSI参照モデルは、世界規格の標準化を推進する国際標準化機構(ISO)によって策定された、ネットワークを7つのレイヤーに分けて定義したモデルです。

 ネットワーク技術の黎明(れいめい)期には、各メーカーが開発した独自のプロトコル(規格)による通信が行われていましたが、技術の普及につれて、異なるメーカーが開発した機器間での通信を可能にするための規格が統一されました。独自の通信プロトコルの例としては、Appleが開発したAppleTalkなどがありますが、現在は用いられていません。

TCP/IPとは

 TCP/IPは、米国国防総省で稼働したインターネットの原型といわれるARPANETに採用されたプロトコルです。OSI参照モデルと同様、複数のレイヤーから成り立っています。インターネットの普及とともにTCP/IPも普及し、事実上の標準プロトコルとして認知されるようになりました。

OSI参照モデルの7つのネットワークレイヤー

 OSI参照モデルでは、ネットワークを以下の7つのレイヤーに分け、各種プロトコルをそれぞれの階層に分類しています。

・第7層(レイヤー7):アプリケーション層
・第6層(レイヤー6):プレゼンテーション層
・第5層(レイヤー5):セッション層
・第4層(レイヤー4):トランスポート層
・第3層(レイヤー3):ネットワーク層
・第2層(レイヤー2):データリンク層
・第1層(レイヤー1):物理層

第7層(レイヤー7):アプリケーション層
 ユーザーが利用するファイルの転送やメール送信などを行うプロトコルに該当します。

第6層(レイヤー6):プレゼンテーション層
 コンピューター機器とネットワーク間におけるデータ変換の形式を定義するプロトコルです。例えば、文字コードにはShift_JISやEUC_JPなど複数の種類があり、機器ごとに異なる文字コードが使われています。受送信時に適切な変換が行われないと文字化けのようなエラーが発生します。

第5層(レイヤー5):セッション層
 通信の開始から終了までの一連の流れを管理するプロトコルを、セッション層と呼びます。認証やログインなどの機能で使われています。

第4層(レイヤー4):トランスポート層
 上位層からのデータ送信要求を受け付け、下位層にデータ送信の要求を出すプロトコルを、トランスポート層と呼びます。インターネットやメールで使われているTCPや、ストリーミングで使われているUDPなどはトランスポート層のプロトコルです。

第3層(レイヤー3):ネットワーク層
 通信の起点から終点までの経路を管理するプロトコルを、ネットワーク層と呼びます。「IPアドレス」などに使われているIP(Internet Protocol)はネットワーク層で規定されるプロトコルで、割り当てられたインターネット上の体系的なアドレスがIPアドレスになります。

第2層(レイヤー2):データリンク層
 不特定多数の機器が接続されたネットワーク上でのデータ転送を管理するプロトコルを、データリンク層と呼びます。2点間のデータ通信を行うためのプロトコルであるPPPもデータリンク層に分類されます。

第1層(レイヤー1):物理層
 物理層はOSI参照モデルの最下層に位置しており、電気信号の変換方式の規定や、端子・コネクタなどの形状といった物理的な仕様の規定が分類されます。

 なお、TCP/IPは4つのレイヤーに分けられます。第4層(レイヤー4)のアプリケーション層はOSI参照モデルの第5~7層、第3層(レイヤー3)のトランスポート層は第4層、第2層(レイヤー2)のインターネット層は第3層、第1層(レイヤー1)のネットワークインターフェイス層は第1~2層に該当します。

OSI参照モデルとTCP/IPの関係図

まとめ

 OSI参照モデルやTCP/IPによるネットワークレイヤーを知ることで、生活や業務で欠かせないネットワークへの理解はより深まります。ネットワーク通信の基礎として覚えておくとよいでしょう。

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

執筆= NTT西日本

【MT】

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