覚えておきたい情報セキュリティ&ネットワークのキホン(第11回) ネットワークでブリッジが果たす役割は? スイッチとの違いも解説

データ通信

公開日:2022.03.31

 ネットワークにおける「ブリッジ」とは、その名の通り、異なるネットワーク間の橋渡し役となる機器のことです。

 ネットワーク管理者でなければ、ブリッジについて知っている人はそれほど多くないでしょう。しかし、ブリッジの役割を把握しておけば、日々の業務で利用する自社のネットワークがどう構成され、どのような仕組みでインターネットに接続しているかをより深く理解することができます。この記事ではブリッジの基本的な役割や、スイッチとの違いなどを紹介します。

ブリッジとは

 ブリッジは、ネットワーク上に流れてきたパケット(通信データを複数に分割したもの)の宛先を調べ、適切なネットワーク内の機器へ振り分ける役割を担っています。

 パケットの振り分けに必要なのは、MACアドレス(Media Access Control Address)です。MACアドレスとは、ネットワークに接続された機器固有の番号のことで、ブリッジはネットワーク内に接続された機器のMACアドレスを学習します。受信したパケットに含まれるMACアドレスの情報を確認し、学習結果を基に適切な機器へ振り分けます。ブリッジが学習したMACアドレスは、MACアドレステーブルに収められます。

 もちろん、ブリッジを導入した直後は、MACアドレステーブルには何の情報も入っていないため、ブリッジに送られたパケットは一旦すべての機器に送られます。

 その後、正しく送られた機器のMACアドレスとネットワークを基にMACアドレステーブルが作成されることで、以降のパケットは適切なネットワーク内の機器に送られるようになります。それによってネットワークのトラフィック軽減が期待できるようになるのです。

OSI参照モデルとは

 ブリッジを理解するためには、「OSI参照モデル」も頭に入れておくとよいでしょう。OSI参照モデルとは、複数の機器でネットワーク通信を行うための世界標準規格です。ネットワーク通信に必要な通信機能(通信プロトコル)を、機能ごとに7つの階層に分けて管理します。ブリッジは、OSI参照モデルの第2層である、通信路の確保などをつかさどるデータリンク層で動作する機器となります。

MACアドレスとは

 MACアドレスは、ネットワークにつながるすべての機器に付いている固有番号です。MACアドレスは16進数で表された12桁の値となっており、前半6桁は製造したメーカーやブランドを判別するベンダーコード (OUI:Organizationally Unique Identifier)、後半6桁はネットワーク機器の型番や詳細が分かる番号となります。

 MACアドレスと似た役割として、IPアドレスが挙げられます。IPアドレスもMACアドレスと同様、ネットワーク通信での宛先として使われます。ただし、MACアドレスは機器固有の番号となりますが、IPアドレスは変更することができます。

 IPアドレスは主に離れたネットワーク間の通信に、MACアドレスは主に同じネットワーク内の機器間通信に使われることが想定されています。

ブリッジとスイッチの違い

 ブリッジと似たものとして「スイッチ」もあります。

 スイッチはパケットの送信経路を選択するネットワーク機器で、一見ブリッジと似ていますが、ブリッジは異なるネットワークをつなげるための機器、一方スイッチは複数の機器を1つのネットワークにつなげるための機器という違いがあります。加えて、ブリッジはソフトウエア主体、スイッチはハードウエア主体で宛先を制御するという違いもあります。

 スイッチと似た機器としては「ハブ」もあります。ハブはOSI参照モデルの第1層となる物理層が使われており、かつては接続されたすべての機器にパケットを送っていましたが、現在はスイッチとハブ両方の機能を有した「スイッチングハブ」も多く使用されています。

ルーターのブリッジモード
 異なるネットワークにパケットを送信する際、最適な経路を選択する機器として「ルーター」があります。ルーターに複数の機器を接続し、それぞれの機器がインターネットに接続する場面もよく見られます。ブリッジは機器のMACアドレスでパケットを振り分けますが、ルーターはIPアドレスでパケットを振り分けます。

 ルーターにはブリッジモード機能を有するものがあり、ネットワーク内に複数のルーター機能が存在する場合に設定します。設定することで、ルーターをスイッチのような機器として使えるようになります。

まとめ

 昨今、ビジネスシーンにおいてもIoTや5Gなど新たなネットワーク技術が登場しており、データ通信量はますます増えることが予想されます。そのような中で、ブリッジの役割もより一層高まることでしょう。

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

執筆= NTT西日本

【MT】

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