ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
パソコンでWi-Fiを使ったインターネット環境に接続できなくなると、電子メールやビジネスチャット、各種クラウドサービスが利用できなくなるため、業務効率は大幅に低下するでしょう。このような状況の際、スマートフォンでは問題なくWi-Fi経由でインターネット環境に接続できる場合は、原因はWi-Fiではなくパソコンにあることが予想されます。つながらない原因が何なのかを知り、その上で適切な解決方法を見つけることが必要です。
目次
・スマホはつながるのにパソコンだけWi-Fiにつながらない原因
・パソコンだけWi-Fiにつながらないときの対策方法
・まとめ
スマートフォンではWi-Fiにつながるのに、パソコンではつながらない場合、Wi-Fiルーター側に問題が発生している可能性は高くありません。ではなぜ、パソコンではWi-Fiにつながらないのでしょうか。原因としてはいくつかのことが考えられます。
原因1:パソコンのWi-Fi設定が無効になっている
パソコンをWi-Fiにつなげるためには、最初にパソコンでWi-Fiの接続設定を行う必要があります。Wi-Fiを有効化していないと、Wi-Fiのアクセスポイント(SSID)は表示されません。また、飛行機内で端末の通信遮断に使われる機内モード機能をオンにした場合も、Wi-Fiは無効になります。
パソコンによっては、そもそもWi-Fiを利用したインターネット接続に対応していない機種もあります。その場合はUSBで接続できるWi-Fi子機などを購入し、パソコンに取り付ける必要があります。
原因2:接続するネットワークが間違っている
パソコンのWi-Fi設定では、通信範囲にある多数のアクセスポイントがすべて表示されます。本来接続すべきではない回線を選択した場合、パスワードが通らないため、Wi-Fiは利用できません。
Windows 11でネットワーク回線を確認する場合、デスクトップ右下の通知エリアにある「ネットワーク」のアイコンをクリックし、表示されたウィンドウのWi-Fiアイコンの横にある矢印を押します。あるいは、下部メニューバーにあるスタートボタンを右クリックし、「設定」から「ネットワークとインターネット」を選び、「Wi-Fi」→「利用できるネットワークを表示」を押しても確認できます。
もし異なるWi-Fiに接続している場合は、正しいアクセスポイントを選択します。それでもWi-Fiが利用できない場合、他の理由で接続できない可能性が考えられます。
原因3:Wi-Fiルーターとパソコンの距離が離れている
Wi-Fiを利用するには、Wi-Fiルーターを設置しなければなりません。Wi-FiルーターはWi-Fi機器と電波の送受信を行い、ネットワークに接続する機能を有しています。
Wi-Fiルーターの設置場所とパソコンの距離が離れすぎている場合、Wi-Fiがつながらないことがあります。たとえ物理的に離れていないとしても、Wi-Fiルーターとパソコンの間に壁や金属などの障害物があれば、通信が不安定になり、途切れやすくなることもあります。Wi-Fiは無線通信のため、別の電波の干渉を受けることもよくあります。電波を発する電子機器や家電製品が近くにあると、Wi-Fiにつながらないケースがあります。
原因4:ワイヤレスアダプターが省電力モードになっている
一般的なパソコンには、節電のための「省電力モード」が搭載されています。この省電力モード時に、パソコンをWi-Fiに接続するデバイスであるワイヤレスアダプターがOFFになる設定になっていると、Wi-Fに接続できなくなります。省電力モードでもWi-Fiを利用し続けるためには、ワイヤレスアダプターを常にONとなるように設定する必要があります。
原因5:ウイルスに感染している
コンピューターウイルスに感染すると、Wi-Fiなどのネットワーク接続に問題が生じる可能性があります。それだけでなく、パソコンの処理速度の低下や、そもそもパソコンの起動すらできなくなることもあります。ウイルス感染が疑われる場合、同じネットワーク回線を使っている他のパソコンにも感染する恐れがあるため、すぐにネットワーク回線を遮断し、情報セキュリティツールを使ってウイルス感染の有無を調べる必要があります。
原因6:ネットワークアダプターやOSが更新されていない
ほとんどのパソコンには、「ネットワークアダプター」と呼ばれる、インターネットに接続するためのドライバーがあらかじめインストールされています。これが最新のバージョンに更新されていないと、Wi-Fiにつながらないことがあります。同様に、パソコンのOSのバージョンが古いままの場合でも、最新のWi-Fi環境に対応できず、正常につながらない可能性があります。OSも定期的なアップデートが求められます。
原因7:情報セキュリティツールによって遮断されている
本来、情報セキュリティツールはウイルス感染や不正なデータの抜き取りを防止するためにインストールするものです。しかし、パソコン保護のために不正なネットワーク接続を防止する機能が通信環境に影響し、Wi-Fiに接続できなくなることがあります。その場合は情報セキュリティツール側の設定を見直し、Wi-Fi接続を許可する設定に変更する必要があります。
パソコンがWi-Fiにつながらない原因が判明したら、次はどのように対処すれば良いのでしょうか。ここからは、実際にどのような対策をとれば良いのか、Windows 11における解決方法を紹介します。
対策1:パソコンのWi-Fi設定をオンにする
基本的なことですが、まずはパソコンのWi-Fi設定がオンになっているかチェックしましょう。タスクバーから設定する場合は、右下にある通知エリアのアイコンをクリックしてください。表示されたウィンドウの「Wi-Fi」のアイコンが白く表示されていると、Wi-Fiが無効になっています。クリックしてオンに切り替え、接続が有効になると、Wi-Fiアイコンが色付きで表示されます。
設定画面から切り替える場合は、スタートメニューから「設定」を開き、「ネットワークとインターネット」を選びます。「Wi-Fi」のタブからオン・オフスイッチで設定できます。
対策2:機内モードを確認する
前述の通り、機内モードが有効になっているとWi-FiやBluetooth、GPSなど、すべての無線通信が無効になります。
パソコンの機内モードは、タスクバーの右下にあるバッテリーやスピーカーなどのアイコンをクリックし、表示された「クイック設定」のウィンドウから「機内モード」を確認します。有効な状態では、飛行機のアイコンが色付きで表示されます。有効になっている場合は、クリックして無効にしましょう。
対策3:アクセスポイントを選び直す
パソコンがつながっているアクセスポイントを選択する方法は、タスクバー右下にあるバッテリーやスピーカー、インターネットのアイコンをクリックし、「Wi-Fi」アイコン横の矢印からアクセスポイント一覧を表示します。すでに接続している場合、アクセスポイント名の直下に「接続済み」と表示されます。
接続先を変更する際は、本来つなげたいWi-Fiルーターに設定されたアクセスポイントを選択し、接続をクリックします。この際、「自動的に接続」をチェックしておけば、起動時に選択する手間を省けます。
多くの場合は、ここで「ネットワークセキュリティキーの入力」が求められます。セキュリティキーは、Wi-Fiルーターに設定されている文字列です。キー入力後、「次へ」をクリックします。選択したアクセスポイントに「接続済み」と表示されれば、設定完了です。
対策4:パソコンの使用環境を見直す
パソコン本体がWi-Fiルーターと離れている場合は、できるだけ近づけましょう。それぞれを違う部屋に設置すると、壁などの障害物でWi-Fiの電波が遮られる可能性が高まります。別の機器による電波干渉が疑われる場合は、当該機器の使用を極力控えてください。
対策5:省電力モードを解除する
先に挙げた通り、パソコンには「省電力モード」が用意されており、利用中はWi-Fiなどさまざまな機能に制限がかかり動作が遅くなります。特にACアダプターから取り外して使用することが多いノートパソコンでは、省電力モードによりWi-Fiが利用できなくなるケースが起こりやすいです。
省電力モードはプランの設定で変更でき、常時無効にすることも可能です。画面左下の検索ボックスに「コントロールパネル」と入力してコントロールパネルを開き、「ハードウエアとサウンド」から「電源オプション」を選択します。「電源プランの選択またはカスタマイズ」から「バランス(推奨)」または「高パフォーマンス」をチェックすれば、省電力モードが解除され、Wi-Fiが機能するようになります。
なお、「高パフォーマンス」が表示されていない場合は、「追加プランの表示」の矢印または「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリックすることで、一覧に追加できます。
対策6:ネットワークアダプターを更新する
ネットワークアダプターの更新は、スタートボタンを右クリックし、「デバイスマネージャー」をクリックします。「ネットワークアダプター」から使用しているネットワークアダプターを右クリックし、「ドライバーの更新」を選びます。
利用しているネットワークアダプターがわからない場合は、スタートメニューから「設定」をクリックし、「ネットワークとインターネット」にある「ネットワークの詳細設定」を選び、「ネットワークアダプターオプションの詳細」から確認できます。
対策7:OSを更新する
WindowsのOSは、定期的にバージョンアップが行われています。最新のバージョンになっているかどうかは、スタートメニューから「設定」をクリックし、「Windows Update」を選ぶとアップデートの状況が確認できます。
なお、「最新の状態です」と表示されていても、最終チェック以降にリリースされた更新プログラムを取得できていない場合があります。「更新プログラムのチェック」を押し、利用可能な更新プログラムがある場合にはダウンロードします。指示にしたがって再起動を行い、再度更新を確認しましょう。
社内などのWi-Fi環境でスマートフォンはつながるのに、パソコンだけが接続できない場合、ネットワーク側ではなく、パソコン側の問題が考えられます。今回紹介したさまざまな対策方法を試し、それでも接続できない場合は、パソコン本体の不具合や故障を疑うべきかもしれません。1つずつ対処法を試しながら、原因を突き止めましょう。
※Wi-Fi は、Wi-Fi Allianceの登録商標、または商標です
※Bluetoothは、米国Bluetooth SIG,Inc.の登録商標、または商標です
※GPSは、セイコーホールディングス株式会社の登録商標、または商標です
※Windows は、Microsoft Corporationの登録商標、または商標です
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆= NTT西日本
【M】
覚えておきたい情報セキュリティ&ネットワークのキホン