覚えておきたい情報セキュリティ&ネットワークのキホン(第10回) ビジネスに必要なネットワーク速度の目安は?遅くなる原因や対処法も紹介

データ通信

公開日:2022.03.31

 社内のネットワーク速度が遅くなり、メール送信に時間がかかったり、あるいはWeb会議で音声が途切れたりした経験がある人は少なくないでしょう。ビジネスを進めるうえで、ネットワーク速度の遅延は作業効率に大きな影響を及ぼします。ここでは、ネットワークが遅くなる原因やネットワーク速度を向上させるためのポイントなどを紹介します。

ネットワーク速度に関する基礎知識

 まずはネットワーク速度に関する基礎知識をおさらいしましょう。ネットワーク速度を表す単位にはbps(bits per second、ビット毎秒)が使われます。bpsは、1秒間に転送できるビット数を表します。1Mbpsなら、1秒間に100万ビット転送できることになります。なお、通信速度は上り(データをアップロードする速度)と下り(データをダウンロードする速度)を分けて検証するのが一般的です。

 「ベストエフォート」という言葉もよく耳にすると思います。ベストエフォートとは、最良の条件がそろわないと、その通信速度が出ないことを表しています。例えば「最大速度50Mbps(ベストエフォート)」と表記されている場合、50Mbpsはあくまで最良の条件がそろった場合の数値で、実際の通信速度とは異なります。

ネットワーク速度の目安

 ネットワーク速度の目安は利用する端末やツール、通信環境などにより千差万別なので、明確な基準はありません。文部科学省の公開資料「GIGAスクール構想の実現 標準仕様書」では、遠隔授業(Web会議)を行う際の仕様帯域の目安を1台当たり2.0Mbpsとしています。例えば40人がWeb会議を行う場合、80Mbps必要となる計算です。Web会議を頻繁に行う企業は、目安の1つとして考えるとよいでしょう。

 ネットワーク速度を把握すること自体は、トラブルの検知や原因分析などを行う際に有効です。ネットワーク速度を測定して低い数値が出た場合、ネットワークに何らかのトラブルが発生している可能性があります。逆に通常とそれほど変化がない場合、ネットワークではなくPCなど利用している端末が問題となっている可能性が考えられます。

 ネットワーク速度の測定は、インターネット上で測定できるツールを利用するとよいでしょう。検索サイト上で「スピードテスト」で検索すると、複数の測定サイトが検索結果に表示されます。

ネットワーク速度が遅くなる原因

 ネットワーク速度が遅くなるのは、さまざまな要因が考えられます。ネットワーク管理者がいない場合など、自ら要因を調べる際にチェックしたいポイントを挙げます。

ネットワーク機器の不具合
 モデムやルーターに不具合が生じて、ネットワーク速度が低下している可能性が考えられます。Wi-Fi環境の場合、ルーターに定められた同時接続可能数も確認しましょう。機器を再起動することで、改善するケースもあります。

有線LANケーブルの不具合
 有線LANケーブルが破損していたり古い規格のLANケーブルを利用したりしていると、ネットワーク速度が低下する可能性があります。破損していない、新しい規格のLANケーブルに交換することで、ネットワーク通信速度が改善する可能性があります。

Wi-Fiの電波干渉
 Wi-Fiルーターの不具合により、ネットワーク速度が低下する可能性があります。よくあるケースが、電波干渉です。Wi-Fiが利用している周波数帯は一部のコードレス電話機やBluetooth機器と同じ場合があります。Wi-Fiルーターの設定で周波数を変更すると改善される場合があります。

アクセスの集中
 全従業員によるWeb会議やOSのアップデートなど、社内ネットワークにアクセスが集中すると、帯域不足によりネットワーク速度が低下する場合があります。改善するためにはアクセスが集中しないように調整するか、ネットワーク回線の見直しが必要となります。

IPアドレスの重複
 端末に設定されたIPアドレスが、何らかの原因でほかの端末と重複している場合にもネットワーク速度が低下する可能性があります。重複しないように手動でIPアドレスを再設定するか、端末を再起動することで改善が期待できます。

その他
 複数世帯で1つのネットワーク環境を利用する形態のアパートやマンションでは、他の世帯でネットワーク帯域幅を利用していることによるネットワーク速度の低下が起こりやすくなります。

 ネットワーク環境ではなく、利用している端末に問題がある可能性もあります。頻繁にネットワークに接続するアプリケーションを複数インストールしていないか、端末自体のスペックに問題ないかなどを調べましょう。

まとめ

 ネットワーク速度の目安に明確な定義はありませんが、利用している中でストレスに感じた場合は、生産性の低下を抑えるためにも、速やかに原因を究明して改善するとよいでしょう。社内にネットワーク管理者がいる場合はぜひ相談してください。不在の場合やテレワーク環境の場合は、前述の項目を確認して改善策を検討してみましょう。

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

執筆= NTT西日本

【MT】

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