ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
前回解説した経営する会社の方向付けについて、もう少し深掘りしてお話ししていきます。企業の方向付け、つまり何をやるか、やめるかという判断はどうすればきちんとできるでしょうか。
短期的にはお客さまが何を求めているのかを見いだすことになります。そして中長期的には、もっと大きな次元でどういう事業に進んでいくか、どういう事業をやめるかにつながります。
お客さまが商品やサービスをお求めになる。そこには、少しマーケティング理論のお話になりますが、QPSという3つの判断基準が働いているわけです。クオリティー、プライス、サービスの頭文字、QとPとS。クオリティーはお分かりのように商品の品質、商品や製品そのものといってもいいでしょう。Pのプライスは価格です。Sのサービスについて少し説明が必要ですけれども、「その他」をさしていると思ってください。
これはどういうことかというと、例えば私が経営している小宮コンサルタンツはコンサルティング会社で、経営者の方々にコンサルティングや研修といったサービスを提供してお金をいただいています。このようにお金をいただくサービスはすべて、1つ目のクオリティーに入ると思ってもらいたいのです。例えば機械のメンテナンスサービスでお客さまからお金をいただいている会社などの場合も同様です。対価としてお金を受け取れるものは、すべてクオリティーに入るんです。3つ目の「サービス」には入りません。
では、3つ目のサービスの「その他」は何なのかをご説明します。コンビニエンスストアが代表例ですが、お店が近いからそこで買うという方は大勢いらっしゃるでしょうし、あるいは知り合いが勤めているからという理由で商品を買う経験をされた方も珍しくないはずです。しかしそのこと自体に対して、お金を払っているわけではありませんね。ですから人が商品やサービスを買うときは、クオリティーとプライスと、お金を払わないその他の要素の3つで、A社を選ぶか、それともB社を選ぶかという選択を必ずしているんです。
ここで1つ、非常に大事な点があります。お客さまがQとPとSについて、そしてそれらの組み合わせについて、絶対的な基準を持っているケースはほとんどありません。多くのお客さまは相対的に決めているんですね。つまり、皆さんの会社とライバル会社を同じ土俵に立たせて、QとPとSの組み合わせが自分にとって良いのはどちらの会社かと比べながら、つまり相対的に選んでいるわけです。
ですから、まずお客さまが求めるQとPとSの組み合わせを提供するためには、ライバルをきちんと見るということがすごく大事になってきます。私たちは仕事で戦略分析や市場分析をしてお客さまにご説明する機会が頻繁にあるのですが、ライバル会社のQとPとSを分析してほしいと依頼してきたり、それらを自社できちんと分析していたりする会社は少ないです。
さらには、お客さまが求めるQとPとSの組み合わせは、ライバル会社が提供するQとPとSの組み合わせが変わった瞬間に変化するのです。例えば牛丼チェーン業界はとても競争が激しく、どこか1社が価格を下げるとライバル会社も即座に下げないといけません。お客さまが求めるQPSの組み合わせが変わるからです。しかもこれは牛丼チェーン業界だけではなく、例えばハンバーガー店が価格を下げた場合でも、牛丼チェーン業界に求められるQPSの組み合わせは変わってしまいます。
こうしたときに大事なのは、ライバルを正確に見るということ。皆さんは「ライバルは大したことない」とか、逆に「ライバルがすご過ぎて勝てない」と決めつけてはいないでしょうか。1と0の間には、0.33もあれば0.75もあるんです。だから0.33は0.33、0.75は0.75と正確に見ることが大事。安易に0や1に割り切ってしまってはいけません。
そのためには、自社の業界を詳しく知っておく必要があります。そしてさらに大事なのは素直に見ることです。偏見を持たずに素直に見ることができるかどうかが重要で、どんな場合でもライバル会社や自社を素直に、謙虚に、正確に、客観的に見る習慣を持ってください。
●経営習慣の確認ポイント
市場の変化や他社の競争力を絶えず分析していますか
執筆=小宮 一慶
経営コンサルタント。株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役CEO。十数社の非常勤取締役や監査役、顧問のほか名古屋大学客員教授も務める。1957年、大阪府生まれ。京都大学法学部卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。米ダートマス大学タック経営大学院に留学、MBA取得。1991年、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングに従事。1996年に小宮コンサルタンツを設立。
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どんなときでも稼ぐ社長の経営習慣