働き方再考(第20回) 困っていませんか?電話の取り次ぎ問題。その解決策

働き方改革 ビジネス機器経営全般

公開日:2024.03.06

 メールやチャット、オンライン会議などさまざまなコミュニケーション手段があるが、リアルタイムかつ双方向に意思を伝えられる電話の重要性はいつの時代でも変わらない。全社員にスマホを支給する会社は別として、昔も今も課題となるのが電話の取り次ぎだ。うまく取り次げなかった場合、顧客・取引先からの信用をなくしたり、ビジネスチャンスを失ったりしかねないリスクがあるのだ。

電話の取り次ぎの問題は現在進行形

 この問題は古くて新しい。コロナ禍で多くの社員がテレワークを余儀なくされた会社の中には、「顧客・取引先からの電話対応のため」、「書類に押印のため」といったアナログ的な理由から、出社していた社員も見受けられた。

 コロナ禍で定着したテレワークやハイブリッドワークに加え、以前から課題となっていた育児や介護などの私生活と仕事を両立するワークライフバランスといった多様な働き方への理解が広がりつつある。そして、仕事をする場所は必ずしもオフィスとは限らず、電話の取り次ぎ問題は、現在進行形の課題と言っても過言ではないだろう。

 電話の取り次ぎと言っても、オフィスにいる人に取り次ぐのであれば大きな問題はない。だが、テレワーク中の人や営業活動などで外出中の人への取り次ぎとなると話は変わる。顧客・取引先から会社に電話があった場合、本人が不在であること、折り返し電話をかけることなどを相手に伝える。次に外出中の人の個人用スマホに電話をかけ、取引先から電話があったことを伝える。あるいはビジネスチャットを利用していればメッセージを送るといった作業が必要になる。電話を受けた人は自身の仕事を中断するなど、取り次ぎも大切な顧客・取引先対応とはいえ、業務効率を低下させる要因となる。

 電話の取り次ぎの手間だけでなく、緊急の要件だった場合、折り返しの電話をしたとしても対応が遅れ、顧客・取引先からの信頼やビジネス機会を失う可能性もないとは言えない。

ビジネスフォンを活用するスマホの内線化

 テレワークやハイブリッドワーク、外出中など社外にいる人との電話連絡手段として検討したいのが「スマホの内線化」だ。通信事業者などが提供するクラウドPBXのサービスとしてスマホの内線化を実現する方法の他、オフィスに設置されているビジネスフォンに専用アダプターを取り付ける方法などがある。

 こうすることで既設のビジネスフォンを使いながら、スマホに専用アプリをインストールすることでビジネスフォンの内線端末として使えるようになる。スマホの内線化の利点はさまざまある。その1つが、会社にかかってきた顧客・取引先などからの電話を直接、個人用のスマホに着信できることだ。自宅や外出先など場所に制約されることなく電話応対できるので、対応の遅れでビジネス機会を失う心配もなくなる。

 また、会社にかかってきた電話を社外にいる社員のスマホの内線番号に転送することも可能だ。従来のような電話取り次ぎの手間をなくせる他、オフィスにいる人が自宅や営業先など社外にいる人との間で内線通話ができ、日常的な業務連絡が行える利点がある。

多様な働き方をスマホ内線化で支援

 個人のスマホから顧客・取引先へ会社の電話番号で発信できることも内線化のメリットだ。受信する顧客・取引先も知っている会社の電話番号であれば着信を拒否される心配もない。また、発信する側にとっても、個人のスマホの電話番号を取引先とはいえ相手に知られることなく発信でき、社員の個人情報、プライバシーの確保が可能だ。

 日本では少子高齢社会が進み、労働人口が減少する今日、生活と仕事を両立させるような多様な働き方はますます広がると予想される。そして、場所に制約されることなく、いつでも、どこでも仕事が行える環境づくりは企業の責務となるだろう。そうした状況の中で、ビジネスフォンを活用したスマホの内線化は、電話の取り次ぎや顧客・取引先との信頼感の問題を解消するだけでなく、多様な働き方を支えるツールとなり、社員の仕事へのモチベーションを高めるなど人材確保の面でも効果が期待できる。電話による社内、顧客・取引先とのスムーズなコミュニケーションの重要性を再認識し、スマホの内線化を検討してはどうだろうか。

執筆=山崎 俊明

【MT】

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