ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
ゆとり世代の叱り方・教え方を具体的なケースで学ぶ連載の第10回。先輩を使い走りのように扱ったり、上司への文句を人事部に訴えたりする場合の対処法です。
Q 「先輩、ちょっとこれやってください」と目上の人間を使い走りのように扱います。ばかにしているとか、そういう感じは見られないのですが……。
A 平等意識が違う方向に向いてしまっています。自分がそれをできる立場かどうかを、論理的に説明しましょう。
ゆとり世代は、先輩を使い走りにすることを悪いと思っていません。「手が空いているから手伝ってもらっただけ」程度の認識です。良くいえば合理的です。
人は平等で、対等で、みんな一緒だと教えられて育ってきています。確かに、対等に付き合うという部分は正しいのですが、会社の中においては「だとしたら、お前も(みんなと同等に)仕事を一人前にやれよ」という部分が抜けています。総論は賛成ですが、各論がズレている感じです。しかし本人は、そのことに気付いていません。
仕事を頼み、頼まれという関係は、お互い一人前の同僚の間で成り立ちます。その点、新入社員は、先輩や上司を何らかの形でサポートしたりという、行動でお返しをしているかといえば、していません。いつも迷惑をかけたり、お世話になっている立場なのに、使い走りをさせるから、周囲の反感を買ってしまうのです。
ただ本人は「みんなでこの仕事をやっていて、ちょっと手が空いている人がいたら、指示したらダメなんですかね」程度の気持ちです。
もう1つ、「周囲が自分を支えてくれるのは当たり前のこと」と思っていることも原因です。これまで、何度か登場してきた「新入社員なのだから、仕事を教えてもらうのは当たり前」という発想に近いものがあります。これは「学生なのだから、勉強を教えてもらうのは当たり前」という経験から来ています。先生や親が自分の面倒を見てくれた、そのままの環境を会社にも期待しているのです。
「お互いに一人前であれば仕事を頼み、頼まれもすることができる」「一人前でない新入社員が、対等に頼むべきではない」「使い走りをさせることで、周囲からどう思われるか」などのことを、論理的に説明しましょう。
「自分がまだ一人前ではないこと」をきちんと認識させる。
Q 今年配属された新入社員が、「上司が仕事を教えてくれない」と人事部に訴えていると聞きました。直接言いに来ればいいと思うのですが……。
A 会社は学校とは違います。教えてもらう立場の人間が取るべき態度、行動が必要であることを理解させましょう。
「上司は部下に仕事を教えるのが仕事」「上司は仕事を教えに(自分のところに)来てくれるもの」。ゆとり世代はこう考えています。学生時代に先生からずっと教えられて育ってきたことが、そのまま社会にも引き継がれると勘違いしているからです。
自分の居場所を周囲が整えてきたことに慣れていますから、職場でも「周囲が仕事をする環境を整えてくれるはず」と依存しているのです。「他人はどうなのか」への興味が希薄ですから、自分だけがおかしな立場にいることにもなかなか気付きません。
まずは、学校と会社の違いから教える必要があります。「学校とは、お金(授業料)を払って勉強を教えてもらう場所」「会社とは、利益獲得に貢献することでお金(給料)を得る場所」という当たり前のことです。
次に、「仕事を教えてもらえない何かの原因」がゆとり世代自身にあるのではないか、と考えさせるように導きましょう。「ひたすら待っている」「聞きに来ない」「あいさつしない」など上司や先輩が仕事を教えたいとは思えない態度を、自分自身が取っていないかどうかを考えさせることです。
不満を直接言いに来ないのも、ゆとり世代の特徴です。対人関係が苦手なので、直接文句を言うことができません。「先生のように親身になってくれる」人事部や教育研修担当者には比較的言いやすいのです。
これには、前連載第11回で触れたように、日ごろから相談のできるような人間関係づくりが大切です。あなたが思っている以上に、部下はあなたのことを「怖い」と思っているかもしれません。
「仕事を教えてもらえない」理由は自分自身にある。
執筆=柘植 智幸(じんざい社)
1977年大阪生まれ。専門学校卒業後、自分の就職活動の失敗などから、大学での就職支援、企業での人財育成事業に取り組む。就職ガイダンス、企業研修、コンサルテーションを実施。組織活性化のコンサルティングや社員教育において、新しい視点・発想を取り入れ、人を様々な人財に変化させる手法を開発し、教育のニューリーダーとして注目を集めている。さらに、シンクタンクなどでの講演実績も多数あり、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、経済界、日経ベンチャーなど多数のメディアにも掲載される。
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ゆとり世代の叱り方・教え方Q&A