ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
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ゆとり世代の叱り方・教え方を具体的なケースで学ぶ連載の第3回。仕事が終わっていないのに定時で帰ろうした場合の対処法です。
Q 仕事が終わらず、処理すべきことが残っているにもかかわらず「定時なので帰ります」と言ってきます。目が点になってしまいました。
A うまくいかなかったことを「やり切る」ことが責任感だと教えましょう。
【対処法のポイント】
ゆとり世代は、自分の仕事がうまくいっていないという事実と、プライベートな時間の優先順位をきちんと付けることができません。
自分の仕事がきちんと終わっているのなら、定時に帰ることに何の問題もありません。上司から見れば「お前が仕事をきちんとできていないから、定時に帰れないんじゃないのか?」というときがあります。そのときに、普通なら「自分がうまくできていないこと」に対して、自分で尻拭いをするのが社会人です。しかし、ゆとり世代はそうは考えません。
ゆとり世代にとっては「うまくいかなかったことをリカバリーはするが、時間が来たら帰る」のが常識なのです。仮に、自分の仕事の遅れによって同僚や上司を待たせていても「それはそれ。これはこれ」とある意味クールに判断します。仕事とプライベートの優先順位がイコールになっていて「終わるまでリカバリーする」「できるまで自分で尻拭いをする」という感覚はあまりありません。
「仕事も大事、プライベートも大事」。これはゆとり世代に限らず、すべての社会人にとって当たり前の言葉かもしれません。しかし、仕事でエラーやミスをしたら「その尻拭いは自分でやらなければならないから、帰って遊ぶなどプライベートな時間が減っても仕方がない」というのが上司世代の普通の考え方です。そう考えないゆとり世代に対して、上司がカチンときてしまうのは当然でしょう。
ゆとり世代にとっては仕事とプライベートの優先順位が同じなのは当たり前で、定時が来たら帰ることに何の悪気もありません。「そうは言っても、できなかったんだから仕方がないじゃないですか?」「定時なのに、なんで帰ったらいけないんですか?」と真顔で聞いてきます。
こんなときはまず、定時に終わらない仕事に対する(ゆとり世代の)スタンスに問題があるのではないかという指摘をするとともに、定時に仕事を終えるためには、職場のチームワークをどうしたらいいかを考えさせましょう。
ゆとり世代は「責任を取る」ことの意味を少し履き違えています。「責任を取る」=「会社を辞める」という考え方が多いようです。できなかったことがあったら、それができるようにがんばって「やり切る」ことが、責任を取ることなのだと教えましょう。
正社員でありながら、派遣社員やアルバイトのような発想、責任感を持っていると考えると分かりやすいかもしれません。例えば、居酒屋の正社員であれば、ちょっと忙しければ定時を過ぎても「手伝っていきましょうか?」と思い、行動するのが普通です。ただ、アルバイトなら時給で働いていますから「時間なので、お疲れさま」と帰っても不思議はありません。
「いやでも、今日は定時で帰るって最初から言っておいたじゃないですか?」と、ゆとり世代は言ってくるでしょう。確かにそれは正解です。正解ですが、一緒に仕事をする職場のチームの一員としてはアウトです。「その態度はチームの一員としてはアウトだ、それが責任感というものじゃないか?」と教えていきましょう。
責任感が希薄なのは、絶対評価の中で個人個人の評価が重視され、チームとしての連帯感や達成感が軽視されてきたことと関係があると思います。周囲の人たちとのコミュニケーション能力も培われず、周囲にどう影響するかを考える姿勢も欠けています。
うまくいかないことから逃げない、やり切る、任されたからがんばる、という責任感が希薄なのがゆとり世代です。その半面「この仕事がやりたいです」「チャンスがほしいです」といった自己アピールは強いという、相反する特性があります。自ら望んで始めた仕事にもかかわらず、うまくいかなかったときに自分で尻拭いができない。これが上司世代のカンに障ってしまうわけです。まずは、1つひとつの仕事を「やり切る」ことから教えていきましょう。
「やり切る」ことが仕事における責任感。
執筆=柘植 智幸(じんざい社)
1977年大阪生まれ。専門学校卒業後、自分の就職活動の失敗などから、大学での就職支援、企業での人財育成事業に取り組む。就職ガイダンス、企業研修、コンサルテーションを実施。組織活性化のコンサルティングや社員教育において、新しい視点・発想を取り入れ、人を様々な人財に変化させる手法を開発し、教育のニューリーダーとして注目を集めている。さらに、シンクタンクなどでの講演実績も多数あり、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、経済界、日経ベンチャーなど多数のメディアにも掲載される。
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ゆとり世代の叱り方・教え方Q&A