注目を集める地方発のベンチャー(第8回) 本物のデロリアンがリサイクル燃料できちんと走る

地域活性化

公開日:2016.11.01

日本環境設計 岩元美智彦社長

 ベンチャー企業、日本環境設計を経営する岩元美智彦社長。連載4回目はリサイクルビジネスに大手企業を巻き込むポイントと、海外展開について語ってもらった(聞き手はトーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長、斎藤祐馬氏)。

斎藤:日本環境設計の活動に賛同する大手企業が増えています。一般的には、ベンチャー企業が大手にアプローチすると、時間や労力がかかることが多いようです。岩元さんたちは、どの部署から当たるのですか?

岩元:最初はCSR(企業の社会的責任)、環境部門。それからエンターテインメントですからイベントや企画部門、といった順番で持っていくんですね。CSRってあまり予算がありませんから、まずCSRの人たちが本社で稟議(りんぎ)が通しやすいような係数を出していくんです。まずそれが仕事の第一歩。価値がありますよ、ということ理解してもらうことからですね。

斎藤:なるほど。

岩元:例えばこんなこともあります。

 幼稚園の園長さんの悩みに、卒園と同時に使えなくなるおもちゃがたくさん出てくるということがありました。それをリサイクルしましょうということで、卒園と同時におもちゃも卒業させようというキャンペーンを張りました。おもちゃをリサイクルして新しいおもちゃにする。それによって戦争をなくすこともできる、といったことをずっと啓発していて、この1パッケージを5万円ぐらいで買ってもらっています。

 これを学校や商店街にも使ってもらっているのですが、2013年には3校だったのが、14年で300校以上に増えて、これがまたどんどん増えている。だからリサイクルってそれだけニーズがあるんです。自然と広がることによって、マネタイズできるような仕組みになっています。

ユニバーサルでデロリアンを買ってきた

斎藤:海外展開はどのようにされていくのですか?

岩元:これは経済産業省のホームページにも載っている「DMICプロジェクト」というのがあります。日本のインフラを海外にということで、三菱重工業や日立、三井造船とか、三菱商事とか、三井物産など、大企業がずらずらっと並ぶ中にうちが選ばれています。

 インドがうちに注目してくれたのですが、それは技術だけじゃなくて思想であるとか、仕組みであるとか、ブランドといったところの評価が高かったと聞いています。いまやインドは豊かな国ですから、モノが集まるか試してみたら日本以上に集まったそうです。やはり、これはちゃんとリサイクル教育をして、それによって戦争をなくせるという話を、データを元に伝えていく。それが今の海外事業の1つです。

 実はデロリアンの企画のためにアメリカのユニバーサルグループに交渉に行ったときも同じことを話しました。地上のごみを資源に変えたい、それで戦争をなくしたい、子どもたちに笑顔を取り戻そう、そういう意味がありますよと。それを具現化したいから、ぜひデロリアンを貸してほしいと言ったら、そこまで言うなら譲ってあげるから買いなさいと(笑)

斎藤:買ってきたのですか?

岩元:ユニバーサルが何台か持っているのですが、そのうちの本物の1台を買ってきたんです。

斎藤:それはすごい。いくらで買ったのですか?

岩元:それは言えないんですよ、契約があって。だけど飛行機で運ぶだけで500万円かかっています。持ってくるだけで(笑)

斎藤:輸送費だけで500万円ですか。しかし、古いクルマなのにエンジンはバイオエタノール用のものなのですか?

古い車でもバイオエタノールで走ります

岩元:実はこういうことなんですよ。大まかに言うと、ガソリンとバイオエタノールの成分は基本的に一緒なんですね。ですからエンジンも同じでいい。日本でもE10という法律があって、バイオエタノールを10%までは入れていいと決まっています。アメリカやヨーロッパでも州や国によって違いますが平均25%から30%くらい、ブラジルは100%OKなんですけど。

 だからガソリンが100%でもいいし、バイオエタノール100%でもちゃんと走る。法律によってどう定められているかということだけなんですね。ですから日本ではエタノールをガソリンと混合して、それを入れている。もちろんE100でも動きますよ。

斎藤:確かにバイオエタノールは自動車の世界でも一時期話題になりましたけど、結局下火になってしまいました。それは設備や流通、コスト、それこそこれまでの慣習などいろいろなハードルがあるのだと思いますが、実は化石燃料を代替できるということなんですね。

岩元:できるんですよ。規模を追わないとコストが合わない、できないとすぐにそういう話になってしまいがちですが、今は技術がありますし、当初は少し高くなるけれども、できます。石油と同じような価格に合わせていくことなんてたかが知れているんですね、すでに今のリサイクルの仕組みがあれば、トン数的には。3万トンとか、5万トン程度でできるんです。

斎藤:これまでの概念からすると……。

岩元:全然もう一桁も二桁も全然違う。だからもう物事を転換していく時期なんですね。日本の企業などもそうで、例えば日本の航空会社には、Tシャツを集めて飛行機を飛ばそうよ、そうするとブランドになりますよと提案しています。飛行機は造れないし、価格やサービスの差異化も難しい。これからのブランドは消費者参加型ですよと。自分たちが集めたTシャツがリサイクルされて、それを燃料にした飛行機に乗りたいと思うじゃないですか。

 これまであまり環境に良くないと思われていた産業なども、逆にこのスキームがあれば、みんなが参加してくれるようになるわけです。だからそういう視点で物事を見ていくと、まだまだ日本は勝てると私は思っているんですよね。

日経トップリーダー/藤野太一

※掲載している情報は、記事執筆時点(2016年1月)のものです

執筆=斎藤 祐馬

※トーマツ ベンチャーサポートは、2017年9月1日より「デロイト トーマツ ベンチャーサポート」に社名変更しました。

【T】

あわせて読みたい記事

  • 大都会の秘境、無人駅を歩く(第1回)

    郷愁漂う昭和の風景、西成区の西天下茶屋駅かいわい

    地域活性化

    2018.04.27

  • 注目を集める地方発のベンチャー(第25回)

    仕事の質を高めてから事業を拡大したい

    地域活性化

    2018.04.09

  • 注目を集める地方発のベンチャー(第24回)

    5億円近い資金調達で迷走が始まった

    地域活性化

    2018.03.12

連載バックナンバー

注目を集める地方発のベンチャー