ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
次に、記事の「形式」による分類を覚えておきましょう。
――コラム(囲み、小囲み)、雑報スタイル、一問一答(Q&A)
正方形や長方形の枠で囲まれた記事を「コラム」と呼びます。新聞では、このうち比較的大きなものを「囲み」、小さいものを「小囲み(こがこみ)」と呼んで区別しています。
コラムは単純な事実報道(ストレートニュース)ではなく、「読み物」であることを示しています。例えばニュースにまつわるこぼれ話や、ニュースの背景を、ルポルタージュ(現場の描写)を交えて掘り下げる企画記事などでよく使われます。
このため、コラムにはニュースと異なり「見出しによる格付け」が適用されません。必ず見出しは付いていますが、それがヨコ見出しであろうが、3段であろうが、格付けとしての意味は持たないのです。
ストレートニュースを小囲みにすることもないわけではありません。ただ、これも「ちょっと面白い話」である場合に使われる手法です。長々と解説を付けて大きな見出しを立てるほどのニュースではないものの、話題性があるので枠で囲むことで目立たせるわけです。
一般紙の場合、芸能ニュースはよく小囲みで扱われます。国民的な話題になる大ニュースであっても、社会的な重要性があるかどうかは別なので扱いが難しいのです。最近では1月27日に、人気アイドルグループ「嵐」が2020年末をもって解散すると発表しました。翌日の朝刊(東京版)で、読売や朝日はこれを1面で報じています。ただ、「段モノ」つまりストレートニュースで報じるのはちゅうちょがあったのか、記者会見の写真に短い文章を付ける「絵解きモノ」などと呼ばれる形にしていました。枠で明確に囲ってはいないものの、これも小囲みの一種といえます。日経は社会面の小囲みにしていました。
一方、2月にタレントの堀ちえみさんが舌がんで手術を受けると発表した際、主要紙は小囲みではなくベタ記事で報じています。扱いは小さいですが、ストレートニュースとして報じたわけです。これは「がんとの戦い」を報じることに社会的な意義があるという判断が働いているからだと考えられます。
なお、ストレートニュースを報じる段モノやベタなど、囲みではない記事は「雑報スタイル」などと称されます。
1面の左上には時々シリーズ記事が載ります。この連載はたいてい100行前後と長いので「小囲み」ではなく「囲み」です。
最近は、囲み記事が1面に収まり切らない場合、2面以降に続きを掲載する(ジャンプする)欧米風のスタイルもよく見るようになりました。
読者の高齢化が進んだため、新聞各社は老眼の人でも読みやすいよう、活字を大きくしています。その分、1ページに掲載できる記事の分量が減っているのです。
一方、同じ1面の『天声人語』(朝日新聞)や『編集手帳』(読売新聞)などは小囲みです。定義があるわけではありませんが、大きさが1〜3段のコラムをこう呼びます。
コラムと同様、ストレートニュースではないものに、一問一答のインタビュー記事があります。記者の質問に対し、相手が答えるという形式です。答える側は政治家や芸能人など実在の人物ですが、解説記事では記者が架空の質問者と回答者を設定し、やり取りを「Q&A」形式で書くこともあります。
用語解説も記事の一種です。単独ではなく、記事に専門用語などが出てきた場合、本文に付属する形で掲載されます。こうした記事は「とはモノ」といいます。実際に「〜とは」という書き方はしませんが、説明書きであるという意味でこう呼ばれるのです。
執筆=松林 薫
1973年、広島市生まれ。ジャーナリスト。京都大学経済学部、同大学院経済学研究科修了。1999年、日本経済新聞社入社。東京と大阪の経済部で、金融・証券、年金、少子化問題、エネルギー、財界などを担当。経済解説部で「経済教室」や「やさしい経済学」の編集も手がける。2014年に退社。11月に株式会社報道イノベーション研究所を設立。著書に『新聞の正しい読み方』(NTT出版)『迷わず書ける記者式文章術』(慶応義塾大学出版会)。
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情報のプロはこう読む!新聞の正しい読み方