働き方再考(第11回) ピンチをチャンスに。開業・移転の成功のポイントは?

IT・テクノロジー 働き方改革

公開日:2022.11.07

 「ピンチはチャンス」だとよく言われる。励ましの意味で使われることもあるが、合理的にそう考えられることもある。開業や移転を考えると、コロナ禍の今は実はチャンスでもある。コロナ禍で廃業が増える中、どうしてそう言えるのか。それは開業や移転を有利に進めることができる条件がそろっているからだ。

“30年に一度”の好条件が目の前に

 ビジネスプランを持っている人が、開業や移転を考える際にまず行うのが“物件探し”だ。コロナ禍で廃業が目立つ現在は物件の空きが出ていて選択肢は多い。しかも、家主が家賃収入を確保したいと考えているために、有利な賃貸契約の条件を引き出せる可能性がある。

 物件を借りてスタートするためには元手が必要だが、資金調達という面でも今は有利な状況にある。地域創生を目的とした都道府県が主体となって創業や開業を支援する制度や日本政策金融公庫などでも新規開業資金の融資をしていて、コロナ禍の今は利用しやすくなっている。既存事業の継続についてはさらに多くの補助金制度があり、移転もしやすい。

 実はこうした状況は30年ほど前にもあった。バブル崩壊直後のことだ。それまでわが世の春を謳歌(おうか)していたバブル企業が次々と消えていく一方で、新たに事業を立ち上げたり、事業再建に取り組んだりするには有利な条件が生まれていた。今の状況はその時と似ていると言える。

構想を固めて条件を導き出す

 開業や移転にあたっては、どんな物件を必要としているのかをきちんと整理しておく必要がある。店舗であればどんな店舗にするかというコンセプトを策定し、ターゲット層も設定しておく。そこから物件の立地条件や広さなどをイメージしていこう。

 事業計画も作っておく必要がある。融資を受ける際に提出を求められるということもあるが、それ以上に自分自身が常に立ち戻る場所があることが大事だ。直近の計画だけでなく、5年後、10年後という中長期の視点からも踏まえて、今必要な物件の条件を詰めていく。

 物件の条件を詰めていく上で、忘れてはならないのはICTインフラ設備の確認だ。オフィスとして利用する場合だけでなく、店舗であってもICT環境は欠かせない。事務処理を行うにもパソコンが必要だし、集客や来店客向けのサービスとしてもICT環境は重要になる。

ICTで効率的に業務を行える環境を

 物件を借りて動き出した時に必要になるのが、インターネットの活用だ。情報を収集するにも、メールやソーシャルメディアを利用するにもインターネット環境は欠かせない。快適なインターネット環境がなければ業務に支障をきたすことになる。

 業務の内容によってはクラウドサービスも必要になる。経理業務も初めからクラウドサービスで行うようにしておくことをお勧めする。電子帳簿保存法も改正されている中、移転を機に経理業務をアナログからデジタルに切り替えるというのも効果的だ。さらにクラウドサービスならイニシャルコストを抑え、比較的早期に利用できる点も魅力的だ。

 セキュリティの面でも注意が必要だろう。サイバー攻撃では中小や零細企業も狙われている。サイバー攻撃でシステムが利用できなくなることもあり、クレジットカード情報や顧客情報が流出したりすれば、業務に支障が出るだけでなく、顧客の信頼を失いかねない。

 あらゆる業務がICT環境で行われる今、開業や移転に際しては、コンセプトや事業計画の策定、物件探しと並んでICT環境についても検討しておく必要がある。どんなビジネスを行うにしても初めからICTを構想に組み込んでおかなければ、後々支障をきたすことになる。ピンチをチャンスに変えるために、ICTを賢く利用したい。 

執筆=高橋 秀典

【MT】

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