ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
オフィスに欠かせないものの1つが、インターネット回線です。ネットがなければ、顧客やビジネスパートナーにメールを送れず、各種クラウドサービスを使うこともできません。業務をスムーズに進めるのに欠かせないインフラのため、ほとんどのオフィスにはネット回線が導入されているでしょう。
ネット回線にはさまざまな種類が存在しますが、特に通信速度が速いのが、光ファイバーを用いた「光回線」です。光回線は、伝送損失が少ない光信号にて通信を高速に行うという特徴があります。総務省の「情報通信白書 令和5年版」によると、日本全国における光ファイバーの整備率は、2022年3月末時点で99.72%と、ほぼ全国どこでも使える状況となっています。
とはいえ、すべての光回線が同じわけではありません。実は光回線にはさまざまな種類があり、通信速度も価格も違います。自社に適したサービスを選択すれば、現状よりも高速に通信を行うことが可能です。逆に、さほど速度を必要としない業務であれば、比較的安価な回線を選択すると、日々のコストを抑えられるでしょう。
光回線にはどのような種類があり、どのようなポイントを考慮して選択すべきなのでしょうか? オフィスを新規に開設、移転する場合、もしくは既存オフィスの回線見直しの参考になるよう、種類と選択のポイントを紹介します。
光回線とは、光ファイバーという通信回線を用いたインターネット回線のことです。光ファイバーは石英ガラスや高性能プラスチックによって構築された光を通すファイバー(繊維)で、光の反射や屈折を利用して高速にデータを転送します。
そのため、従来の「ISDN」や「ADSL」といった電話回線を使用した通信よりも、スピードが速いのが特徴です。ADSLの場合、通信速度は最速でも下り(ダウンロード)は約50Mbps、上り(アップロード)は約12Mbps程度でしたが、光回線は下り上りとも1Gbps以上というサービスが多く見られます。
この光回線を利用するためには、大きく分けて3つの選択肢が存在します。
1つ目がNTT西日本・NTT東日本が提供している光回線です。使用できる地域がとても広い点が特徴で、カバー率はNTT西日本エリアでは93%、NTT東日本エリアでは95%とほとんどの地域で利用できます。この光回線でインターネットを利用する際には、別途プロバイダーと契約する必要があります。
2つ目が前述のNTT西日本・NTT東日本の光回線を他の通信会社が借り受け、独自のサービスを付加した上で提供する光回線サービスです。簡単にいえば、光回線とプロバイダー契約をまとめたものとなります。1つの契約で光回線を利用できるメリットがありますが、対応している地域には限りがあります。
3つ目が「電力会社系光回線」です。地域の電力会社が、電力提供のために作られた回線を利用し、光回線サービスを提供するというものです。電気料金とセットで割引されるサービスを用意しているケースも多く見られます。こちらも利用地域には限りがあり、移転先でサービスを利用できない恐れもあります。
配線の方式にもいくつかのパターンが存在します。それが、「VDSL方式」「光配線方式」、「LAN配線方式」の3種類です。
「VDSL方式」は、建物の途中までは光ファイバーを使用するものの、そこから各部屋までの通信には電話回線を使用している点が特徴です。途中で光回線から電話回線に切り替わるため、通信速度は遅くなります。ただし、導入工事は比較的簡単です。
「光配線方式」は、本稿で紹介する3つの方式の中では最も通信速度と安定性が優れています。同方式は、通信基地局から部屋までを通して光ファイバーで接続されるため、通信のロスがありません。最大10Gbpsの通信も可能です。ただし、光ファイバーを建物内に引き込む際に、大規模な工事が必要になる場合があります。
最後の「LAN配線方式」はVDSL方式と似た方式で、建物の途中までは光ファイバーを使用し、各部屋までの通信にLANケーブルを使用した接続方式で、モデムやONUといった終端装置を使用しない点が特徴です。LAN方式は部屋の壁などにある差し込み口にLANケーブルを直接つなぎ、インターネットに接続します。すでに部屋の壁面にLANケーブルが存在している場合、LAN配線方式が採用されている可能性が高いです。
このように、ひと口に光回線といっても、非常に多くの選択肢が存在します。自社のビジネスに適した回線を使用しないと、通信速度が期待を下回ったり、コスト負担が必要以上に高額になったりする恐れがあります。
業務においてWeb会議や動画ファイルの転送など、大容量のデータを頻繁に扱う場合は、回線速度は特に重要です。一般的には光配線方式を採用した、10Gbps以上の高速通信が可能なサービスの選択が望まれます。加えて、クラウドサービスを頻繁に利用する場合は、通信の安定性も重要です。他のユーザーの影響を受けにくい光配線方式を採用する回線が求められるでしょう。
一方で、全国各地に多くの拠点を構える企業の場合は、回線速度よりもエリアのカバー率の方が重要でしょう。新規にオフィスや店舗の開設・移転を検討している地域でもサービスを利用できるのか、事前の確認が求められます。
さらに、拠点が多いとコストも高額になるため、初期費用や月額料金を抑えたプランが用意されているかもポイントです。加えて、トラブル時や契約変更時などにスムーズな対応が受けられるよう、サポート体制や問い合わせ窓口の充実が望ましく、これらのポイントもチェックしておくべきでしょう。
ネット回線は、日々のビジネスを支える基盤ともいえる存在です。回線の速さは業務効率化にもつながり、ひいては企業運営に直結します。もし既存の回線速度に不満があったり、オフィスの新規開業や移転を検討していたりするのであれば、回線を見直す良い機会かもしれません。回線を改善すれば、ビジネス環境は今よりも快適なものになるでしょう。
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆= NTT西日本
【MT】
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