覚えておきたいオフィス・ビジネス情報のキホン(第3回) オフィス移転の費用はどのくらいかかるのか?どうすれば抑えられるのか?

資金・経費

公開日:2022.09.20

 コロナ禍の影響で、在宅勤務やテレワークなど、新しいワークスタイルが浸透しつつあります。従来のようにオフィスに出社して働くのが当たり前ではなくなった今、オフィスも新しい働き方に合わせ、移転を検討している企業もあるかもしれません。

 オフィスを移転する際には、退去時・入居時ともに費用がかかるため、コストは高額になりがちです。今回は、オフィスの移転にかかる費用の内訳、概算、コスト圧縮のポイントについて解説します。

目次
・従業員が多いほど、オフィスの移転費用も高くなる
・オフィスの退去時にはどのような費用がかかるのか?
・オフィスの入居時にはどのような費用が必要になるのか?
・オフィスの移転費用を抑える方法は?
・オフィス移転のスケジュールとチェックポイント
・オフィス移転時の通信回線・IT環境をトータルでサポート
・まとめ

従業員が多いほど、オフィスの移転費用も高くなる

 オフィスの移転費用は、従業員の数が多いほど高額になります。なぜなら従業員が多いほど、デスク、チェア、パソコンといった荷物も増えるためです。もちろん、こうした個人の荷物に加えて、複合機や会議室の設備など、共用物の運搬費も発生します。

 書類などの資料が多い場合や大きな会議テーブル、サーバーなどの精密機器を持ち出さなければならない場合は、さらに費用が発生します。加えて、1~3月、9~12月の期間のようなオフィス移転の繁忙期等には、引っ越し事業者の作業費が上がることも考えられます。

オフィスの退去時にはどのような費用がかかるのか?

 オフィスを退去する場合、「原状回復費」「不用品廃棄費」「賃料」など、さまざまな費用がかかります。ここからは、退去時にかかる費用について細かく見ていきましょう。

原状回復の工事費用
 退去時にほとんどのオフィスで発生するのが、「原状回復の工事費用」です。原状回復とは、オフィスの入居中に汚したり傷つけたりした箇所を修復し、入居時の状態に戻すことを示し、賃借人側は退去時にそのための費用を支払う義務があります。

 原状回復費用の相場は1坪あたり数万円程度となっています。ただし、特殊な内装工事をした場合、独自に空調工事を入れた場合などは、さらに高額になる可能性があります。

不用品・産業廃棄物の処理費用
 不要になった什器や資材は、産業廃棄物処理業の許可を有する事業者に処分を依頼する必要があります。処分のための費用は事業者によって異なりますが、回収時に使用するトラックの容量が大きくなるほど、費用も高額になるケースが多く見られます。

賃料
 旧オフィスの賃料は、当然ですが契約解除日まで払い続けなければなりません。オフィスの退去通知は、契約内容によりさまざまですが、退去日の6カ月前までに行うことが一般的です。仮に6カ月の契約となっており、退去日の3カ月前にオーナーに退去通知を行った場合、実際の退去日から契約上の退去日(契約解除日)までの3カ月分の賃料は、たとえオフィスを使っていなくても支払う必要があります。

オフィスの入居時にはどのような費用が必要になるのか?

 オフィスの入居時には、どのような費用がかかるのでしょうか。「前賃料」「仲介手数料」など、入居時にかかる費用について解説します。

前賃料
 多くの場合、前賃料として1~2カ月分の家賃を先払いすることが求められます。

敷金・礼金
 敷金は、家賃滞納時や退去時の原状回復費として預けるお金です。50坪以下の小規模なビルまたは個人オーナーのビルなどの場合は家賃3~6カ月分、大規模なビルまたは法人オーナーのビルなどの場合は家賃6~12カ月分の敷金を収めるケースが多いようです。礼金は、1~2カ月分、またはナシということもあります。

仲介手数料
 不動産仲介業者を利用した場合は、おおよそ家賃半月分~1カ月分の仲介手数料を求められます。

各種保険費
 ほとんどの賃貸オフィスの場合は、必ず火災保険に入らなければなりません。たとえオフィス内に火の気がない状況でも、電気火災が発生する可能性があるためです。

内装費
 内装費とは、オフィスのカーペットや壁紙といったインテリアの工事費用となります。前のテナントで使っていたインテリアをそのまま譲り受ける「居抜き物件」であれば、工事費用は安く抑えられます。しかし内装がすべて取り外され、コンクリートが打ちっぱなしの状態となっている「スケルトン物件」の場合、内装費用は高くなります。

オフィス家具・什器購入費
 デスク、チェア、会議室のテーブルや休憩室のソファといったオフィス家具・什器は、従来から使っているものをそのまま使えば、コストはかかりません。しかし、装いも新たにオフィス家具もリニューアルするとなれば、当然新調するためのコストがかかります。

通信などインフラ整備費
 電気、電話、インターネットなど、新オフィスにインフラを整備するための費用も必要です。情報セキュリティを強化したり、新たなシステムを導入したり、その他にもOA機器を買い替える場合などには、さらに費用が高くなります。

オフィスの移転費用を抑える方法は?

 オフィスの移転には高額な費用がかかります。しかし、コストを抑えることは可能です。具体的なコスト削減の施策を紹介します。

居抜き物件
 移転先のオフィスが、前の企業が使っていたインテリアをそのまま使う「居抜き物件」であれば、内装や配線、場合によってはデスクやチェアがそのまま残っているケースもあり、内装費や家具などの購入費が大幅に抑えられるでしょう。

 ただし、設備が劣化していたり、インテリアやレイアウトが自社のビジネススタイルに合っていなかったりするケースもあります。

フリーレント
 フリーレントとは、オーナーが借り主を集めるための施策として、賃料を一定の期間に限って無料にする契約のことです。フリーレントの物件には、物件情報にその旨が記載されています。フリーレント期間は、だいたい1~2カ月、もしくは「旧オフィスの契約解除日まで」といったケースが多いです。

トータルで依頼できる事業者を検討
 移転だけ、内装だけ、インフラだけといったような、複数の事業者に依頼をすると、どうしても費用がかさむ傾向にあります。一方、物件探し、移転、原状回復、内装、インフラ工事など一連の作業をトータルで行える事業者なら、窓口はひとつとなり、伝達漏れなどのリスクも減るため、よりスピーディーに効率よく移転を進められる可能性が高まります。

 物件探しや契約業務に限っては不動産仲介事業者に頼み、そのあとに発生する各種工事と移転作業はワンストップでできる事業者に頼むなど、一部を切り分ける手法も有効です。

シェアオフィス
 シェアオフィスは、1つのオフィスを複数の企業や個人で分け合いながら使うオフィスです。個室、オープンスペース、会議室などさまざまな空間を備えたところが多く、利用形態も、月額登録制、ドロップイン(スポット利用)などさまざまです。高額な移転費用や、内装費、家具・什器の購入費用などが掛からず、安価にすぐ利用できるうえ、他社との交流が生まれやすい点が魅力です。

 一方で、他社も同じオフィスを利用するため、情報セキュリティの面では不安があります。

オフィス移転のスケジュールとチェックポイント

 オフィスを移転する際は、まずは社内に移転のためのプロジェクトを立ち上げ、メンバーの選定やゴールの設定を行い、大まかな移転計画を策定します。その後、ビルの選定、契約条件の確認を進め、ビルが決まったらオフィスの設計へと進みます。移転の2~4カ月前に内装工事やインフラ工事を行い、各種手続きや確認を経て、ようやく正式に移転となります。

 オフィス移転は、少なくとも半年以上の期間が必要になる大プロジェクトです。下記チェックリストの項目を意識しながら、プロジェクトを進めるのがよいでしょう。

【チェックリスト】
□プロジェクトメンバーの選定
□ゴールの設定と共有
□予算の確認
□移転に際し、譲れない要件の抽出
□現オフィスに対する契約解除通告の期限や条件の確認
□移転候補ビルの洗い出し、内覧、比較検討
□契約内容の確認
□預託金の支払い、契約手続き
□原状回復工事、内装工事、インフラ工事などの業者選定
□デザインコンセプトの確認、決定
□デザイン、レイアウトのチェック
□各種工事の施工
□家具や什器の購入
□移転挨拶状や、名刺、封筒などツール類の制作
□電話、FAX、OA機器の移設手続き
□登記変更などの法務手続き

オフィス移転時の通信回線・IT環境をトータルでサポート

 オフィスの移転に欠かせないのが、電話、インターネットの移転計画や工事です。高度化・複雑化を続けるインフラ網を高い情報セキュリティレベルで整備するには、豊富な実績とノウハウを有する専門事業者を選定することが不可欠です。

 例えば、NTT西日本の「開業・移転サポート」であれば、NTT西日本の「フレッツ光」などの光回線をはじめ、ひかり電話、ビジネスフォン、Wi-Fi、VPNといった、オフィスの新設や移転に必要な幅広い商品が揃います。さらに、通信コストの見直し(圧縮)や、社内のフリーアドレス化、テレワーク環境の整備、機器やネットワークの継続的な保守サポート、社内のITヘルプデスク業務を依頼することが可能なサービスもあります。

 中小規模の企業から、複数の拠点を持つ大規模な企業まで、規模を問わず対応が可能です。

まとめ

 今回取り上げたように、オフィスの移転は時間もコストも必要になる、企業の一大プロジェクトです。プロジェクトの途中で頓挫しないよう、自社に合うパートナー事業者を選定して、着実に進めることが成功への近道といえるでしょう。

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

執筆= NTT西日本

【MT】

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