会社の体質改善法(第1回) 小売業必見、利益率を改善して財務体質を強化する

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公開日:2018.12.18

 商品を仕入れ過ぎ、売れ残って在庫の山に……。小売業の経営者なら、このような状態を恐れた経験があるはずだ。小売業の経営のポイントが在庫管理だ。過剰に在庫を抱えると、余計な保管スペースが必要になる。保管コストは増大する。長期にわたる保管で品質劣化を招いて廃棄処分になれば、仕入れ分が丸ごと損失だ。やむなく廉価販売を行うと、通常の値付けとの差額分は失われる。通常価格で買ってくれた顧客にも、不信感を与えかねない。

 期末に在庫を持っていると税務処理上、課税額が増す。こうした税務面から見た在庫の問題は、「『いつかは売れる』で在庫を抱えると税金が増える」で詳しく説明している。

 過剰在庫を抱えるデメリットは大きいが、かといって在庫は少ないほどいいというものでもない。ある程度の在庫を持たなければ、欠品による機会損失を招くからだ。人気商品が店頭にないと、せっかくの顧客が他店に流れてしまう。これでは悔しい。

 潤沢に売れ筋商品の在庫を持っている喜ばしい状態か、売れる見込みの薄いガラクタを抱える状態か。流行や変化が早く、新製品の発表のサイクルも短い現在、どちらになるのかは刻々と変わる、といっても過言ではない。

リアルタイムの在庫管理が小売業には必須

 営業時間中でも、在庫の持つ「意味」は変化している。だから、在庫管理をリアルタイムに行う必要がある。決算期など、年に数回の棚卸しだけで済ませるのは論外だ。翌日の販売に備え、営業時間が終わった後に在庫管理を行うレベルでもまだ不十分だ。それだと仕入れが遅れ、機会損失を招く。

 いくら物流が発達しても、仕入れの注文から店頭に届くまで、ある程度の時間がかかるからだ。前日の夜に欠品を確認して発注しても、翌日早くの顧客には対応できない。売れたら、即、追加仕入れをするかどうか判断する。これが機会損失を防ぐポイントだ。

 欠品は機会損失につながり、在庫増加は財務を悪化させる。両方を同時に防ぐためには、リアルタイムに在庫を把握できるシステムを導入するしかない。

 システムによらず、在庫管理を紙ベースで行う店舗もいまだに少なくない。そろそろ卒業の時期だ。紙ベースでリアルタイムに在庫を把握するには、すべてのスタッフが、在庫が動くたびに、共通の在庫管理表に記入しなければならない。これは現実的ではない。

 システムを使わずに在庫管理する場合、目視によって数を確認する。スタッフの負担も大きい。例えばアパレルでいうと、同じ商品でもサイズや色のバリエーションがたくさんあり、間違いも起こりやすい。

 在庫をシステムで管理するといっても、必ずしも専用システムを導入しなくてもよい。最近のPOSレジには、在庫管理機能を備えるタイプが少なくない。タブレットタイプなら、店頭で接客しながら販売状況を打ち込み、バックヤードに持ち込んで在庫をチェックする、といった使い方もできて勝手が良いだろう。

 2019年の消費税率アップに対応するため、POSレジの導入を検討する経営者も少なくない。もしそうなら、在庫管理への活用も考慮してみてはどうだろうか。

執筆=山本 貴也

出版社勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。投資、ビジネス分野を中心に書籍・雑誌・WEBの編集・執筆を手掛け、「日経マネー」「ロイター.co.jp」などのコンテンツ制作に携わる。書籍はビジネス関連を中心に50冊以上を編集、執筆。

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