ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
顧問先2200社を抱える会計事務所を率いる公認会計士、古田土満氏が語る小さな企業経営のコツ。その第12回は、会社の借金に関する考え方です。古田土氏は、日本の中小企業は、実力以上の投資や借金をしているケースが多いと分析しています。だからこそ、借金を減らすことが重要だと解説します。
大学生のうち、2人に1人は奨学金制度を利用しているそうです。1人当たりの借入金は、少ない人で300万円、多い人で800万円くらいといいます。大学を卒業し就職してから返済するのですが、全然返済していない人が利用者のうち3割いることが問題になっています。
奨学金の返済は月々1万~3万円とそんなに多くはありませんが、就職できなかったり、アルバイトで生活していたりする人は、返済は不可能なのでしょう。奨学金の返済は、月々の返済額が少額で長期にわたるのと、厳しい取り立てがないので、自己破産をしたり、借金苦で自殺したりすることもありません。少しずつゆっくり返せばよいと思います。
では、会社の借金はどうすればいいでしょうか?会社の場合も利益を出し、少額ずつでも返済できれば、新たな借金をしなくても会社は存続でき、雇用は守れます。借金が返せないとき、私たちはリ・スケジュール(リスケ)をやっていました。リスケをしなければならないのは、月々の返済額が多過ぎるからです。
借入金の返済原資は長期的には、税引き後利益+減価償却費なのですが、全企業の67.9%が赤字なのですから、原資となるべき利益がありません。返済原資が稼げない企業が多い半面、銀行の借入金総額を年間返済額で割ると3~5年くらいです。すなわち、10億円借金している会社なら、年間2~3億円を返す約定になっています。それにもかかわらず、ちょっと業績が上向くと、新たな借り入れをする会社が多いことに驚きます。
借入金の本質は、利益の前倒しです。中小企業が社員とその家族のために生き残るには絶対に利益を出し、利益と貸借対照表を改善してお金をつくることです。貸借対照表の改善だけでも借金は返せますが、利益の出せない企業に銀行は融資しないし、会社は長く持ちません。
これからは借金をまったく返済しないのではなく、利益の中から少しずつ返済していき、利益の額を増やして返済額も増やしていくべきです。もちろん、新たな借り入れはしません。
私は、日本の中小企業は借金過多であると思っています。実力以上の投資と借金をしています。前述したように、膨張しているのに成長していると勘違いしている経営者が多くいます。
銀行さんと取引を継続するためには、絶対に利益を出さなければなりません。社長のリーダーシップでやるべきことは、まず固定費の大幅削減です。赤字会社の社長の給与は社会保険に加入できるスレスレまで減らし、生活できなければ会社から借りる。ですから、社長は普段から質素な生活をしてお金をためておく。そして固定費を大幅に減らせれば、会社の損益分岐点売上高が下がり、利益は出せます。
この手順は、古田土式未来会計図の利益感度分析にあります。赤字会社は、社長の販売努力が足りないのではないでしょうか?社長が現場に出て会社で一番の営業マンになって実績を出しているでしょうか?小売業なら店の前に立って大声でお客さまに自社の商品の素晴らしさをアピールしているでしょうか?そして、それを全社員でやっているでしょうか?
打つ手は無限と思って、全社員で行動して、何としても利益を出し、生き残りましょう。
※本記事は、2017年に書籍として発刊されたものです
執筆=古田土 満
法政大学を卒業後、公認会計士試験に合格。監査法人にて会計監査を経験して、1983年に古田土公認会計士・税理士事務所を設立。財務分析、市場分析、資金繰りに至るまで、徹底した分析ツールによって企業の体質改善を実現。中小企業経営者の信頼を得る。
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