ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
ゆとり世代の叱り方・教え方を具体的なケースで学ぶ連載。第2回は、言ったことしかやらない場合の対処法です。
Q 会議で使う資料を「10部コピーしといて」と頼んだら、コピーはしてあるが、クリップ留めなど束ねることはしていない。言ったこと「だけ」しかできないのはなぜでしょうか?
A 繰り返し訓練することで、仕事における「普通」が何なのかを理解させるしかありません。
【対処法のポイント】
資料のコピーを頼まれたら、気を利かしてクリップ留めしておくか、「これ、クリップ留めしておいていいですよね?」と確認するのが普通です。しかし、ゆとり世代は「留めていいのかどうか聞いてないんで、してないんですよ」と言い訳をします。「だったら聞けよ!」と突っ込みたくなるのも無理はありません。
つまり従来のように、「1を言ったら3、4までできる」という常識の下でのマネジメントは、ゆとり世代に対しては危険な方法になります。上司としての対策は、やるべきことを念のため確認させたり、反復・復唱させたりすることが大切になります。
「会議用に10部コピーしといて」と指示したあと、「大丈夫か?」「はい!」→「何をするんだ?」「10部コピーします」→「それだけか?」「え?えーとホチキス留めも」→「そう」。こういう手順で、1を聞いたら2、3が分かるようにトレーニングしていかないといけません。トレーニングを繰り返すことで「会議用に10部コピーしといて!」→「それなら、ホチキス留めしときますね」という会話が自然にできるようになります。
ゆとり世代が言ったことしかできないのは、マニュアル慣れしていることに原因があります。例えば、ファストフードのハンバーガー店で、「ハンバーガー10個」と注文した客に「お持ち帰りですか?お店で食べていかれますか?」と誰に対しても同じように聞いてしまうことです。家族連れで来たならともかく、1人で来た客なら、ほぼ持ち帰るのは間違いありませんが、マニュアル通りに聞いてしまうのです。
自分の言っていることが「おかしいな」とは思っていないのです。客からすれば、「1人の俺が10個食べると思う?おかしいじゃない」とつい聞き返してしまうのです。この場合、「お持ち帰りでよろしいですか?」と聞くのが99%正解なのですが、マニュアルでやってきたがゆえに、考える力が付いていません。推理力、洞察力というか、そういうものを発揮する前に、マニュアル通り動いてしまうのです。著者自身もこう聞かれて「ここで食べると思う?」と聞き返したことがあります。
考える力が弱いので、前後の文脈を読むとか、1を言ったら3、4を理解するとか、ということが苦手です。だから指示した通りのことをやろうとします。与えた指示に対して「普通だったらこうするだろう」と上司が考えることは禁物です。上司の「普通」とゆとり世代の「普通」が大きく異なっているからです。
会議の資料作り程度ならまた指示すれば済みますが、大きな危険にさらされる可能性もあります。
実際に、私が聞いたバス会社での出来事です。ゆとり世代の部下に、上司の運転手が「バックするから見といて」と指示をしました。しばらくして「ちゃんと見てるか?」「はい!」。すると突然「ドン」と後ろがぶつかってしまいました。「おいおい、当たる前に言えよ」と上司はあわてるしかありません。
バスで「バックするから見といて」と言えば、「衝突を避けるためだな。当たりそうになったらストップと言わなければ」と考えるのが普通です。しかしゆとり世代は、「見といて」と指示すればじっと見ているだけです。「おい、後ろが当たったじゃないか?」「はい、知ってます」と笑い話にならない会話が現実に起きているのです。
「普通はこれくらいしておくだろう」の「普通」は、それぞれの業種や企業で異なります。それぞれの仕事の現場で、1を聞いて少なくとも2、3が分かるようにトレーニングを繰り返していくしか、対策はありません。
「1を言ったら1しかやらない」という認識を持って、訓練する。
執筆=柘植 智幸(じんざい社)
1977年大阪生まれ。専門学校卒業後、自分の就職活動の失敗などから、大学での就職支援、企業での人財育成事業に取り組む。就職ガイダンス、企業研修、コンサルテーションを実施。組織活性化のコンサルティングや社員教育において、新しい視点・発想を取り入れ、人を様々な人財に変化させる手法を開発し、教育のニューリーダーとして注目を集めている。さらに、シンクタンクなどでの講演実績も多数あり、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、経済界、日経ベンチャーなど多数のメディアにも掲載される。
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ゆとり世代の叱り方・教え方Q&A