ゆとり世代の叱り方・教え方Q&A(第1回) 「軽く注意したら落ち込んだ」どうすればいい?

コミュニケーション

公開日:2016.04.14

 連載「“ゆとり君”と働くために覚悟しておくこと」では、ゆとり世代の特徴を説明して、どんな心構えで接すればいいのか解説しました。今回から、実際に上司として接していれば遭遇する具体的なケースを上げて、対処法を伝授します。

Q 軽く注意をしただけなのに、ものすごく落ち込んでいる様子です。その後、仕事の話をしようにも近寄ってこないし、周囲には「会社を休みたい」とまで話しているようです。

A 上司が想定しているより2倍以上のショックを受けています。そう考えて、言葉遣いや叱り方を選んでください。

【対処法のポイント】
 ゆとり世代は怒鳴られることや、怒られる時の大きな声に慣れていません。まず、どちらかというとびっくりしてしまいます。びっくりして「ものすごくヤバイことをしたんだ」という思いになっています。

 極端な話、「くん」付けで呼ばれないことだけでびっくりします。呼び捨てにされただけでドキっとするわけです。学生時代に、同級生に呼び捨てにされることはあったとしても、それほど親しくない第三者に呼び捨てにされた経験がありません。学校の先生も、基本的には「○○くん」「○○さん」と呼んでいます。

 呼び捨てにびっくりするくらい免疫力がないゆとり世代に対して、上司には「自分が学生時代に経験してきたことは、当然、彼らも経験しているだろう」という思いがあります。また「自分も若い頃、先輩や上司にこんな感じで言われた」という経験があり、だから、「俺もお前らに言う(のは当たり前)」と、悪気なく叱っています。これが、ゆとり世代には非常に大きいショックを与えるのです。

ものすごく怒っている人が話しかけてくる?

 「こいつは何ですねているのか?」とよくよく考えたら、「ああ、さっき注意したことを引きずっているんだ」と気づく、ということがよくあります。上司からすれば、軽い叱咤激励をして、すぐに次の仕事の話に話題を切り替えたとしましょう。もちろん、上司はもう怒ってなどいません。

 ところがゆとり世代は「この人はものすごく怒っているのに、ものすごく話しかけてくる。いったい何でだろう?」と考えています。上司が想定しているリアクションと、まったく違うリアクションを取ることに注意が必要です。ゆとり世代に対する言葉遣い、叱り方、怒り方については、自分が考える2倍以上のショックを与えると想定しておけば、「これは言いすぎかな」と気づくボーダーラインの見極めが上手にできると思います。

 だからといって「優しくしたほうがいい」というわけではありません。「優しくすること」は「指導」になりません。厳しくするべきところ、これは大切な仕事なんだと教えるところはしっかりと言わなければなりません。ただ、「このくらい叱ったら、このくらいへこむだろうな」という目分量は、自分の想定とかなりずれることを認識しておいてください。

「○○と比べて…」と言われて大ショック

 上司は「指導」しているつもりでも、ゆとり世代は「叱責」されていると感じています。その分、叱った後はフォローをしっかりすることが大切になります。フォローしないでいると、上司との人間関係にアレルギー反応が出て、その上司に対して報告・連絡・相談ができない、つまり「怖くて話しかけることができない」状態になります。気持ちの切り替えが苦手ですから、それをずっと引きずり、そのうち会社を休んだり、「辞めたい」という気持ちにつながったりするわけです。

 うまくいかなかったことについて叱られたり、怒られたりという外圧に対して、ゆとり世代は免疫力があまりありません。学生時代にうまくいかないことがあっても、「大丈夫だよ」「練習しろよ」と促しの言葉をかけられることが多かったからです。「叱るより、ほめて伸ばす」教育の弊害といえます。

 もう少し具体的に言うと、「自分の短所と正面から向き合う経験が少ないまま育った世代」なのです。「これこれこういうところがまずかったぞ。こう直していったらいいんじゃないか」と、上司は普通に短所を指摘したつもりでも、自分の短所を論理的に指摘された経験が少ないゆとり世代は、深く傷付いてしまいます。

 また絶対評価で「周りに比べて、自分のどこがだめなのか」を客観的に知らされることがなかったゆとり世代は、「自分は○○と比べて××だ」というスタンスがありません。自分の短所をスルーして生きてこられました。だから「お前、あいつと比べて○○がだめだよな」と言われれば、これもまた大ショックなのです。

●まとめ

「軽く叱っただけ」と思った後でも、フォローはしっかりと。

日経トップリーダー/柘植智幸(じんざい社

執筆=柘植 智幸(じんざい社)

1977年大阪生まれ。専門学校卒業後、自分の就職活動の失敗などから、大学での就職支援、企業での人財育成事業に取り組む。就職ガイダンス、企業研修、コンサルテーションを実施。組織活性化のコンサルティングや社員教育において、新しい視点・発想を取り入れ、人を様々な人財に変化させる手法を開発し、教育のニューリーダーとして注目を集めている。さらに、シンクタンクなどでの講演実績も多数あり、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、経済界、日経ベンチャーなど多数のメディアにも掲載される。

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