ゆとり世代の叱り方・教え方Q&A(第16回) 「あからさまに避ける」「隣を羨む」どうする?

コミュニケーション

公開日:2017.07.12

 ゆとり世代の叱り方・教え方を具体的なケースで学ぶ連載の第16回。「気に入らない同期をあからさまに避ける」「隣の上司のほうがよかったとグチる」ケースの対処法です。

Q 新入社員の1人が同じ部署の同期社員を気に入らないらしく、あからさまに避けているのが分かります。部署の士気に関わるのでやめさせたいのですが……。

A 一度こじれるとなかなか元に戻りません。「せめて苦手はつくらない」ことの重要性を教えましょう。

 ゆとり世代は総じて、人間関係が苦手です。他人への関心が希薄ですから、良くない人間関係を改善しようという意識が少ないです。

 例えば、対人関係を○(良好)、△(普通)、×(苦手)の3つに分けたとしましょう。一度「×」の関係になってしまうと、その相手との接触を断つ方向に進むため、関係が改善しない状態がずっと続くのがゆとり世代の特徴です。これは同期社員に対してだけでなく、上司や部下に対しても同じです。

 学生時代であれば、苦手な相手と関わりを持たなくても特に問題はありませんが、社会人は仕事上のさまざまな局面で報告や連絡をしなければなりません。しかし、あからさまに嫌な顔をしていたら、相手も嫌な気持ちになり、報告や連絡がスムーズに進むわけがありません。

 社内の人間関係をきちんとつくること。そのためには、全員を好きになる必要はないが、少なくとも苦手な相手をつくらないこと。これが社会人としてのマナーであることを教えましょう。

 考えてみれば、嫌いな相手に嫌な顔をするというのは、極めて子どもじみた態度といえます。気の合う相手とだけ付き合って済んでいた、学生時代までの生活を引きずっているのです。

 周囲がその態度をどう見ているかに思いが至らないのですから、「嫌いな態度を取る君は、他の人にも良い印象を与えないよ」と、周囲から客観的にどう見えているかを教えてあげるのも方法かもしれません。

【対処法のポイント】
せめて苦手をつくらないことが「大人のマナー」。

 


Q 「今年入った後輩が「あーあ、隣の部長がよかったなぁ」とボヤいていました。うちの部長が特に厳しいということはないと思うのですが……。

A 良い環境を無意識のうちに求めています。厳しい環境はむしろ喜ぶべき、ということを分からせましょう。

 良い環境、楽な環境で働きたいというのが、ゆとり世代の「ビニールハウス症候群」です。

 彼らがよくやっているのが、同期社員で集まっての上司の品評会です。「うちの上司は楽」「うちは無能」「うちは厳しくてさぁ」と他人への評価は一人前以上にします。そして、「楽な上司がよかったなぁ」と、自分を取り巻く環境への不満を口にすると同時に、本当にやる気を失ってしまうのです。

 そこに欠けているのは、周囲の環境を自分でどうにかしていこうという気持ちです。環境を自分で変えよう、自分が変わって環境に対応しようという気持ちが少ないですから、「キツい上司だ」と思っている相手から叱られると、「やっぱり」とさらにやる気を失っていきます。

 この「他責」の考え方を改めるには、「叱られる、怒られる」のは、仕事の能力を鍛え、実力を高めていくためだと認識させることです。上司である部長が正面切って話すと受け入れにくいでしょうから、先輩であるあなたからそれとなく伝えてみましょう。

 上司は部下を選べますが、部下は上司を選べません。それを「ツイてない」と諦めるのではなく、「この試練を乗り越えれば実力が付く」と前向きの自責サイクルに向けさせたいところです。厳しい上司=苦しい経験はその後の会社人生を過ごす、実力を身に付けるための筋肉痛なのです。

【対処法のポイント】
厳しい上司のほうが、仕事の実力が身に付く。

 

日経トップリーダー/柘植智幸(じんざい社

執筆=柘植 智幸(じんざい社)

1977年大阪生まれ。専門学校卒業後、自分の就職活動の失敗などから、大学での就職支援、企業での人財育成事業に取り組む。就職ガイダンス、企業研修、コンサルテーションを実施。組織活性化のコンサルティングや社員教育において、新しい視点・発想を取り入れ、人を様々な人財に変化させる手法を開発し、教育のニューリーダーとして注目を集めている。さらに、シンクタンクなどでの講演実績も多数あり、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、経済界、日経ベンチャーなど多数のメディアにも掲載される。

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