雑談力を強くする時事ネタ・キーワード(第16回) 日本の「旅行・観光競争力」大幅上昇、世界4位に

地域活性化 インバウンド対応雑学

公開日:2017.06.05

 観光やビジネスで日本を訪れる外国人の数が、年々増えています。プライベートで、または仕事で外国人に接する機会が多くなっているのを実感している人も少なくないのではないでしょうか。2016年の訪日外国人数は、前年比21.7%増の2403万9000人。4年連続で過去最高を更新しました。2013年には1036万3000人だったので、3年で倍以上。急激なペースで増えているのが分かります(数字はすべて日本政府観光局調べ)。

 訪日外国人が増加している要因として、世界的な観光競争力の上昇を裏付けるデータが4月に発表されました。世界経済フォーラム(WEF)の「2017年 旅行・観光競争力レポート」のランキングで日本が4位となったのです。前回のレポートである2015年の9位から大幅に順位を上げました。2013年には14位でしたから、旅行・観光競争力の向上とともに訪日外国人数が増えているのがうかがえます。

 WEFはビジネス、政治など世界のリーダーたちが連携し、世界情勢の改善に取り組む独立した国際機関。スイスのダボスで開催される年次総会は、「ダボス会議」としてよく知られます。

 WEFでは2007年から旅行・観光競争力レポートを出しています。この中で「ビジネス環境」「安全・セキュリティ」「旅客サービスインフラ」「自然資源」など、さまざまな観点から各国の旅行・観光競争力を評価し、ランキングを行っています。

最新の競争力指標向上度では世界トップ

 2017年のランキングのトップはスペインで、2位はフランス。3位がドイツで、続いて日本という順番です。アジア地域では日本が最上位で、オーストラリアが7位、香港が11位となっています。

 日本が高い評価を受けたのは、健康・衛生分野。「安全な飲料水へのアクセス」「人口1万人当たりの病院ベッド数」「マラリア感染率の低さ」など、「人口1000人当たりの医師数」以外のすべての項目で世界トップとして評価されました。

 そのほか「顧客志向度」がトップなのは日本の“おもてなし”が評価されたのでしょう。口承・無形の文化遺産が2位になったのも、日本らしさの表れかもしれません。面白いのは、スポーツのスタジアムの数まで評価対象になったところ。この分野では世界4位で、やはり上位に来ています。

 これまで日本のランクが低かったコスト競争力も、2015年の119位から94位にまで上昇しました。「こうしたコスト競争力の増加が、文化・自然資源に関するPRの増進とともに日本のパフォーマンス全体を押し上げる要因」とレポートで言及されています。

 2015年から2017年の競争力指標向上度では、日本が世界でトップでした。このランキングの上位はアゼルバイジャン、タジキスタンなど、ほとんどが発展途上国で占められました。先進国で大幅に競争力を上げた日本はユニークな存在です。

政府のテコ入れが奏功か

 こうした旅行・観光競争力向上の背景には、観光立国をめざす政府のテコ入れがあります。2017年度の観光庁関係予算は、前年比4%増の255億9900万円。文化庁、経産省など関連省庁にまたがるクールジャパン関連予算は、前年比22%増の459億円となりました。

 「爆買い」がひと息ついたといわれる中国人観光客のリピーター化など課題はありますが、「2020年に訪日外国人4000万人」という大きな目標を政府は掲げました。

 世界の全GDPに占める観光産業の比率は2013年の数字で9.3%。世界経済の中でも、観光産業のプレゼンスは大きくなりました。人口減少で国内市場が縮小傾向の日本において、重要な成長産業、また外貨獲得源として、今後も旅行・観光競争力が大きな意味を持つと思われます。

執筆=山本 貴也

出版社勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。投資、ビジネス分野を中心に書籍・雑誌・WEBの編集・執筆を手掛け、「日経マネー」「ロイター.co.jp」などのコンテンツ制作に携わる。書籍はビジネス関連を中心に50冊以上を編集、執筆。

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