ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
ビジネスシーンにおいて、Web会議やオンラインセミナーなど映像を使ったコミュニケーションが一般的になりつつあります。しかし、映像のやり取りには多くのデータ通信を必要とするため、画面がフリーズしたり、音声が途切れたりといったトラブルを経験した方もいるでしょう。
こうしたトラブルは「ネットワークの帯域が狭い」ことが原因として考えられます。「ネットワーク帯域が狭い」とは、どういうことなのでしょうか? そして、どうすれば解決できるのでしょうか?
「帯域」とは、通信に使用される周波数における「最高周波数」と「最低周波数」の範囲のことです。元々は無線電波の周波数が専有している範囲を表す言葉として使われていましたが、現在ではPCやスマートフォンなどでインターネットを利用する際、それらの端末から送られる電波や電気信号の周波数の幅の意味としても用いられます。
帯域は、道路の道幅のように「広い」「狭い」と表現されます。「帯域が広い」と一度に送信できる情報量が多く、「帯域が狭い」と情報量は少なくなります。言い換えると「帯域が広い回線=通信速度が速い」、「帯域が狭い回線=通信速度が遅い」ということになります。
インターネットにおける通信は「ネットワーク帯域」と呼ばれ、単位は「bps(ビット/秒)」で表します。この「bps」はネットワーク速度(ネットワークスピード)と同じ単位なので、帯域幅=通信速度と置き換えて考えられます。厳密には、帯域幅と通信速度は違うものですが、帯域幅の広さはデータ容量の多さと関係します。例えば、光回線の帯域幅が1Gbpsというのは、1秒間に1ギガビットのデータを送ることができるという意味です。
帯域幅が十分に広く、一度に大量のデータを伝送することができれば、短い時間でデータのやり取りができるようになります。つまり、帯域幅が広ければ広いほど通信速度が速くなるというわけです。
ネットワーク帯域を測定(計算)したい場合は、「スピードテスト」と検索すれば、測定できるWebサービスが見つかります。また、契約しているインターネット回線の情報を見れば、契約した回線の帯域最大値(例: 1Gbps)が記載されているでしょう。ただし、ベストエフォート型(最良の条件がそろわないと、その通信速度が出ない)のサービスとなるため、常に最大値が出るわけではありません。
ネットワーク帯域のうち、どの程度の帯域が使用されているかを割合で示す「帯域使用率」という指標もあります。帯域使用率は、最大量の帯域を分母とし、実際に流れているデータ転送量を分子とすることで算出できます。
ネットワーク帯域不足とは?
帯域使用率が高くなると「Web会議で動画の反応が遅い」「Webページがなかなか開かない」といった事象が発生します。こういったインターネットの遅延が頻出する場合は、日ごろの用途に対してネットワークの帯域が足りていない状況といえます(ネットワーク帯域不足)。
ネットワーク帯域不足を改善するためには、Web会議システムなど帯域の占有が大きなツールの使い方やネットワーク環境を見直すことが必要です。とはいえ、業務システムに対して「Web会議システムで動画をオフにする」「時間帯を決めて利用する」といった制限を設けてしまうと、業務の効率が低下してしまいます。そのため、まずはネットワーク環境を見直すのがよいでしょう。
帯域不足を解決する実際の例
自宅でのテレワークで帯域不足を感じた場合は、より大容量な回線への契約を検討する、Wi-Fiの設定や設置場所、機器を買い替えるといったやり方で、通信環境を改善できます。プロバイダーによりさまざまな利用プランがありますので情報を集め、相談するとよいでしょう。
自宅と異なり、従業員が集まるオフィスは、個人の判断でインターネット回線を見直すことは困難です。もし「通信が遅くて仕事が進まない」「Web会議に参加できない」といった帯域不足を感じた場合は、帯域の改善を検討するのがよいでしょう。
例えば、LAN環境が帯域の異なる複数の回線で構成されている場合、全体の通信は狭いネットワーク帯域が最大値となります。最適な経路でネットワーク構築をすることで帯域不足を解消できるケースもあります。そのため、オフィスのLAN経路を見直すと帯域不足を解消できることがあります。
自社のネットワークが新しいインターネット接続プロトコル「IPv6 IPoE」に対応していなければ、対応可能なプロバイダーへ乗り換えることで、状況の改善が期待できます。すでに対応済みであっても、PCなどの端末が対応していない場合、IPv6接続は利用できないため確認するとよいでしょう。
さらに、拠点がある企業の場合、VPN(インターネット上に仮想の専用線を設定し、特定の人のみが利用できる専用ネットワーク)で拠点と本社をつなぎ、本社から外部のネットワークを利用する仕組みとなっているケースがあります。拠点から直接外部のネットワークに接続する手法に変えることで、帯域不足の改善が期待できます。
ビジネスを進めるうえで、ネットワークを利用したコミュニケーションは不可欠なものとなりつつあります。ネットワークの帯域不足を解消することで、Web会議での音切れや画面が停止する問題などの発生頻度が減少し、従業員同士や顧客とのコミュニケーションも円滑に進む可能性が高くなるでしょう。
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆= NTT西日本
【MT】
覚えておきたい情報セキュリティ&ネットワークのキホン