ビジネスコミュニケーション手法の改善(第3回) 社内パソコンを社外で操作できれば業務効率は上がる

テレワーク パソコン働き方改革

公開日:2016.11.01

 営業担当者なら商談や納品、サービス担当者なら修理や点検など、外回りがメーンの仕事になっているビジネスパーソンは多い。朝、一度オフィスに出社して、日中は外出。社外での業務を済ませた後に、再度戻って会社のパソコンを使って見積書・提案書・報告書などの作成に取り組む。1日の流れはこんなところだろうか。

外回り後、パソコン入力で会社に戻るのは非効率

 外出先から会社へ戻らなければならない理由は、自席のパソコンを使わないと仕事ができないからだ。会社の業務システムを利用したり、過去の保存データを参考にしたりする必要があるケースだ。

 実はこうした作業は、必ずしも会社に戻って行わなければならないものではない。移動の時間とコストを考えれば、外出先でも実行できたほうが生産性は高くなる。そこで導入を検討したいのが、離れた場所からネットワーク経由でシステムを遠隔操作する「リモートアクセス」の仕組みだ。

 会社にいるのと同じような環境で仕事ができるようになるリモートアクセスは、インターネットなどを通じて外出先から会社にある自分のパソコンを操作する。パソコンのビジネス利用が本格化した1990年代以降、リモートアクセスの仕組みは絶え間なく進化を続けてきた。

 遠隔地から社内のパソコンを操作するためには、通信回線が必要だ。当初は専用線で各拠点を結ぶ方式が主流だったが、いまやインターネット活用が当たり前になってきた。通信速度の向上に伴い、モバイルによる接続でも十分実用に耐えられる。用いる端末もノートパソコンの小型化・軽量化が進んだだけでなく、スマートフォン・タブレットなど選択肢が増えた。手軽さが向上したといえる。

 また、近年リモートアクセスのメリットで特に注目されているのは、事業継続計画(BCP)への活用だ。大規模災害や感染症の流行などで、通勤や事業所の利用が困難になったとしよう。その際でも、従業員の自宅や別の事業所から業務を行い、事業継続が可能になるからだ。

使い勝手が格段に向上した、現在のリモートアクセス

 リモートアクセスを実現するため、利用目的やユーザー数に応じたさまざまなサービスやアプリケーションが提供されている。一例として、NTT西日本グループが提供する「マジックコネクト」(※1)で、自席端末にアクセスする基本的な手順を紹介しよう。同サービスを利用する場合、専用プログラムをインストールするだけで特別な装置の導入は不要だ。

 社外からアクセスする準備として、まず会社の自席にあるパソコンと社外で使うパソコンもしくはモバイル端末に専用プログラムをインストールしておく。次に自席パソコンの電源を入れたまま出掛け、外出先でモバイル端末のプログラムにアカウント情報を入力する。

 するとインターネット経由で中継管理サーバーにつながり、社外から操作できるパソコンの一覧が表示される。その中から、自席のパソコンを選択すると遠隔操作が可能になる。

 リモートアクセスを導入する際、一番注意すべきはセキュリティーへの配慮だ。インターネットに接続して外から社内のパソコンを操作できるようにすれば、情報漏えい・なりすまし・データの改ざんといったリスクも付きまとう。

 リモートアクセスのソフトウエアやサービスは、個人利用をメーンターゲットにしたものから、ビジネス利用を前提としたものまで幅広い。ビジネスで使用するなら、セキュリティーレベルの高さが選択条件の1つだ。

 マジックコネクトの場合は、セキュリティーを高いレベルに保つため、ユーザー認証はID・パスワードだけでなく、USBキーやパソコン本体にあらかじめ設定されている固有情報や電子証明書を組み合わせられる。また、社外からのファイル転送・コピー&ペースト・プリントアウトといった操作に関して、禁止や許可の設定ができ、情報漏えいのリスクを低減する機能も備えている。

 数年前までは、リモートアクセスというと操作性の部分でストレスがたまるイメージが少なからずあった。現在のものは格段に進歩し、スムーズ。通常のパソコン操作と遜色ないといえる。リモートアクセスの活用は、企業に幅広いメリットをもたらすことは間違いない。まず分かりやすいのが、外出先から会社に戻って行う仕事の量が少なくなり、移動に伴う時間的・経済的負担を減らせることだろう。

 会社のパソコンを遠隔で操作しているのだから、外出先で対応できる仕事の幅は確実に広がる。機会損失もおのずと減らすことにつながる。万一の災害時の事業継続にも役立つ。在宅勤務という、働き方の多様化にもひと役買うだろう。こうした多彩な効果が期待できるリモートアクセスの導入で、業務スタイルの変革に御社も挑んではいかがだろうか。

※1マジックコネクトの利用には、フレッツ 光ネクスト等、プロバイダー、マジックコネクトの契約・料金が必要

※「MagicConnect」はNTTテクノクロス(株)が運営するサービスです
※「Bizひかりクラウド MagicConnect」は、エヌ・ティ・ティ・スマートコネクト(株)が提供するサービスです
※ NTT西日本は、本サービスの販売取次ぎを実施します
※「MagicConnect」は、NTTテクノクロス(株)の登録商標です
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

執筆=林 達哉

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