ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
明日の会議資料を作成中、時計を見たら22時を過ぎている。できるだけ時間外勤務を減らすよう通達が出ていることだし、会議資料はUSBメモリーにコピーして続きは自宅のパソコンで作成しよう……。こんな経験を持つビジネスパーソンは少なくないだろう。現在は情報セキュリティー対策の観点から、業務文書やデータをUSBメモリーなどの外部記憶メディアに保存することを禁止、制限している企業が増えている。
USBメモリーなどの外部記憶メディアは持ち運びに便利なものの、盗難・紛失による情報漏えいは後を絶たない。そこで、USBメモリーなどの外部記憶メディアへのデータ書き込みを禁止するさまざまなセキュリティー製品が市場に出回っている。USBメモリー経由の情報漏えい防止に役立てられる。
こうしたセキュリティー製品は情報漏えい対策に効果的なものの、業務用パソコンの社外持ち出し禁止やUSBメモリーの使用禁止がルールとなれば、仕事にならないとの声も聞こえてきそうだ。冒頭の例でいえば、会議資料を完成させるために早朝の出勤を余儀なくされるかもしれない。また、社外での仕事が多い営業担当者にパソコンの持ち出しを禁止するわけにはいかない。万一のパソコンの盗難・紛失による情報漏えいを防ぐため、データの暗号化やデータ共有が可能なハードディスクなどを利用する方法もある。
データ保存先として一般的に利用されているのがパソコン内蔵のハードディスクや外付けハードディスクだ。外付けハードディスクは大量のデータを保存するには適しているものの、パソコンとハードディスクを直結して使うため、社内のデータ共有には不向きである。一方、大量データの保存と共有に適したネットワークハードディスクもある。
NASとも呼ばれ、バッファローやアイ・オー・データ機器などのハードディスクメーカーが販売に力を入れている。NASは社内ネットワークやインターネットなどを介して複数のパソコンやタブレット、スマートフォンなどからデータを利用することも可能だ。
NASをファイルサーバーとして利用するケースも多い。勤務時間中にパソコンで作成した文書をファイルサーバーに保存し、帰宅後、自宅のパソコンからアクセスして文書を参照できる。USBメモリーなどの外部記憶メディアを使用することなく、社外でデータを活用可能だ。
仕事と生活を両立するワーク・ライフ・バランスの観点から、多様な働き方への対応が中堅・中小企業にも求められている。従業員の自宅から会社のファイルサーバーにアクセスして仕事をする在宅勤務の推進や、遠隔地の拠点にいるメンバーとファイルを共有、交換しながら共同作業を行うコラボレーション環境づくりなどにもNASの効果が期待できる。
ハードディスクとNASの違いは、ネットワークを介したデータ活用の可否だけではない。例えば、ファイルサーバーで利用されるNASはデータ保存専用に設計され、ハードディスクに比べて高い信頼性と耐久性を確保できる。ハードディスクのトラブルで業務データが消失するような事態になれば、それこそ取り返しがつかない。ハードディスクのデータ復旧は総じて高額だし、復旧できる保証もない。重要データはNASに保管するほうがデータ管理の面でも好ましいだろう。
また、ハードディスクは停電や落雷などによってデータの破損や、データが正しく記録されないケースがある。そこで、NASとUPS(無停電電源装置)を組み合わせて導入すれば、停電時に安全にシャットダウンするなどにより、データ消失のリスクを低減できる。
在宅勤務や遠隔地同士のコラボレーションにおいて欠かせないのが、データバックアップだ。パソコンの操作ミスや、地震や浸水、火災などの災害、不正アクセスによるデータの改ざん・破壊で重要データが消失すれば、仕事がまったく進まなくなる。
NASによるデータ管理とバックアップのソリューションの1つに、NTT西日本の「データ安心保管プラン スタンダード」(※1)がある。事業所のデータを自動でバックアップし、万一のデータ消失時にも復旧が可能だ。また、データのアクセス権を設定でき、ファイルを共有する相手を指定することにより閲覧を制限する。さらに、ファイル操作ログにより、「Biz Box Server(NAS)」に保存したファイルに対して、いつ誰が何をしたのか、ファイルの取り扱い状況を記録できる。ログ管理により、ファイルの不正操作の抑止や、問題発生時の原因究明や証拠として利用も可能だ。
事業所内のBiz Box Serverに保存されたデータを、クラウド上でバックアップする「Serverバックアップ」もある。クラウド上に分散してデータを保管し、大規模な自然災害発生時にも事業継続が可能になる。さらに、Biz Box Serverとクラウドによる二重のバックアップによりデータ消失のリスクを大幅に軽減できる。
運用保守に不安な企業には「Serverサポート」がある。24時間365日(設備の保守、メンテナンスなどにより、サービスが停止する場合を除く)、事業所に設置されたBiz Box Serverを遠隔監視し、異常検知をメールで通知する。また、バックアップ方法などのサポートについては、サポートセンターが日曜・祝日、年末年始を除く9時~18時、電話やメールで対応する。
クラウド上にデータを保管すれば、在宅勤務(※2)に役立てられるだけでなく、情報セキュリティー対策にも効果がある。クラウドサービスを提供する事業者に最新の対策を任せられる利点がある。ワークスタイルの変革とともに、情報セキュリティー対策も向上できるのだ。
※1データ安心保管プランのご利用には、フレッツ 光ネクスト等、プロバイダーの契約・料金が必要
※2 「データ安心保管プラン スタンダード」を利用する場合、自宅など社外からアクセスするには、リモートアクセスサービスなど他のサービスと併用する必要がある
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=山崎 俊明
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ビジネスコミュニケーション手法の改善