雑談力を強くする時事ネタ・キーワード(第20回) ローソンが店内厨房、フードデリバリー参入

時事潮流

公開日:2022.03.23

 コンビニエンスストアといえば、何でもあっていつでもオープンしている便利なお店。だが、多くの場合は買い物をするにはコンビニまで出掛ける必要がある。そのコンビニが、出来たて料理を作って届けてくれるフードデリバリーの役割も果たす場へ進化しそうだ。2022年1月、ローソンが店内厨房を活用したフードデリバリー事業に参入すると発表した。

 ローソンでは、これまでもフードデリバリー大手のUber Eats(ウーバーイーツ)と協業し、店内の弁当や飲料、菓子、日用品などを宅配するサービスを手掛けていた。そこに、店内の厨房で調理した出来たての料理をUber Eatsの配達員が届けるサービスが加わる。フードデリバリーに対応できるレストランが少ない地域でも、ローソンがその地域のキッチンになって温かい食事を届けてくれそうだ。

急成長のデリバリー市場を開拓

 料理を宅配するフードデリバリーの市場は、コロナ禍による外食、アルコール提供の制限や在宅勤務の増加などを追い風に急成長を続けている。

 NPD Japan(エヌピーディー・ジャパン)の調べによると、2021年のデリバリー市場は7909億円に上り、前年比では26ポイントの増加、コロナ前の2019年の同期と比較すると89ポイント増と、約2倍の勢いで成長しているのだ。レストラン売り上げに占めるデリバリーの比率も、2019年の3.1%から、2020年には6.5%、2021年になると9.0%と、2年で3倍近くに伸びている。

【デリバリー(出前)市場規模推移】

出所:NPD Japan, エヌピーディー・ジャパン調べ

料理宅配の仕組み。Uber Eats経由で注文受付

 フードデリバリーが市民権を得るようになった背景には、デリバリー可能なエリアの拡大や対応する店舗の増加、フードデリバリーサービスの競争などで認知が進んだほか、使い勝手の向上がある。ローソンのデリバリーを担うUber Eatsはその代表的なサービスであり、知名度は高い。現在2500店舗以上で展開するデリバリーサービスに店内厨房で調理した料理を加え、利用者の利便性をさらに高めてビジネス拡大につなげる。

 ローソンは、店内厨房で調理した料理をデリバリーする「ゴーストレストラン」の実証実験を東京都内の1店舗で開始した。Uber Eatsのアプリから注文する利用者に対し、「ローソン」という表記を全面には押し出さない。実験店舗はローソン飯田橋三丁目店(東京都千代田区飯田橋)で、アプリに表示される店舗名(屋号)は「NY飯!チキンオーバーライス飯田橋三丁目店」となる。メニューは「NY飯!スタンダード」(税込1290円、配送料別)など。注文が入ってから店舗で調理を行い、出来たての料理を提供する。

店内の空き時間活用やドラッグストアとの競争に対応

 ローソンは今後の展開として、デリバリー専用商品のラインアップを拡充しながら2023年2月末に関東圏100店舗、2025年度に全国1000店舗への導入を視野に入れる。1000店舗となれば、牛丼チェーン店では約2000店舗のすき家には届かないものの、1200店舗前後の吉野家や松屋に近づく。フードデリバリーのアプリから注文する人にとって、幅広い選択肢の1つになる可能性は高い。

 実証実験ではチキンオーバーライスの店舗として食事を提供するが、今後は外食チェーン店のメニューなどを取り入れながら、中華料理、カレーなど複数の店舗(屋号)を組み合わせて提供していく。エリアや個店のニーズに合わせた販売、飲食店が少ない地域のレストラン代わりになるデリバリーをめざすという。

 コンビニは、コロナ禍のライフスタイルの変化やドラッグストアとの競合などによる外部要因、オーナーの長時間労働などの内部要因で、経営環境に逆風が吹いている。ローソンでは、全国8000店舗にある店内厨房を活用したサービスの1つとして、ゴーストレストランの提供を拡大する。店内厨房の空き時間を有効に活用できるゴーストレストランの業態で、顧客への便利とおいしさを提供すると同時に、新規の成長分野の開拓を視野に入れている。

執筆=岩元 直久

【TP】

あわせて読みたい記事

  • IT時事ネタキーワード「これが気になる!」(第156回)

    AIによるサーバー攻撃をAIで防衛。Googleが進めるサイバーセキュリティ対策とは?

    時事潮流 デジタル化

    2025.02.07

  • IT時事ネタキーワード「これが気になる!」(第155回)

    IT導入補助金の不正受給が続々~「意識せず不正」も多数、支援事業者の「甘言」に注意

    時事潮流 デジタル化

    2025.02.05

  • 知っ得!生成AIの意外な業務活用(第4回)

    ついにきた。「パーソナルAI」の時代へ

    時事潮流 デジタル化

    2025.02.05

連載バックナンバー

雑談力を強くする時事ネタ・キーワード