ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
前回は、SNSを活用する際のNGと、担当者に求められる資質について紹介しました。今回と次回は、いよいよ個別のSNSの特徴と使い分けについて解説します。一口にSNSといっても、ツイッターにフェイスブック、インスタグラムなどいろいろな種類があり、それぞれ特徴があります。
まず、それぞれの利用者の年代や性別が違います。詳しくは図1のデータでご確認ください。こうしたデータを知っておくのは大切ですが、さらに、もっと本質的な違いを理解する必要があります。ここでは、その違いを理解する判断軸を、ぜひつかんでいただきたいと思います。
●図1 SNS種類別ユーザー数&年齢層
本質的な違いを理解するのに役立つのが、第3回でも紹介したAISASのフレームワークです。消費者が特定の商品を認知し、購入するまでには
【A】 Attention(注目)
【I】 Interest(興味)
【S】 Search(検索)
【A】 Action(購入)
【S】 Share(シェア)
というプロセスがある、ということです。
SNSに共通するのは、情報を共有・拡散すること、すなわち「シェア」です。しかし、そのほかの機能には違いがあります。
例えば、フェイスブックは、「注目」。つまり商品やサービスを最初に認知させるのに向いています。昔は、主に広告やチラシが担っていた役割です。さらにフェイスブックでは、しっかりした文章と複数の写真を組み合わせて紹介される場合が多く、「興味」を深めてもらえます。
一方、ツイッターは文章が短く、インスタグラムは画像がメイン。なので、フェイスブックのように「しっかり読まれる」場面は少ない代わりに、「1秒で目を引く」という瞬発力が強いのが特徴です。AISASのモデルで考えると、「注目」を引くのに向くといえます。
そして、既にビジネス利用が定着し、機能のアップデートでさらに企業が導入しやすく増加を続けているのが、LINE@(ラインアット)。個人間でメッセージをやり取りするLINEに組み込まれたメルマガ、と考えていただくと分かりやすいと思います。不特定多数にアプローチができないので、広く「注目」を集める力は大きくありません。ですが、確実に読まれやすいので「興味」を引くのには向きます。
このようにAISASのモデルで考えると、「SNSで売り上げを上げる」ために、注意すべきポイントが浮かび上がります。SNSは消費者の注目や興味を引き、情報を拡散するのには非常に向いています。けれど、それだけでは売り上げにつながりません。これは、広告やチラシと似ています。
けれど、SNSで消費やサービスに興味を持った人が「検索」したときに、思わず「買おう!」となるような情報や場所が用意されていれば、売り上げにつながります。そこで必要なのが、ネット検索した人に情報提供するホームページや、実際に購買できる通販サイト。これらとセットで使ってこそ、SNSは最大限の威力を発揮します。
●図2 SNSの役割とは?
もう1つ、SNSの使い分けで役立つ視点があります。「浅く広く」が得意なものと、「深く狭く」が得意なものという違いです。下図を見てください。
●図3 「浅く広く」と「深く狭く」のどちらのSNSか?
浅く広いSNSの代表格は、ツイッター。できるだけ多くの人に認知してほしい企業が活用したいSNSです。一方、人数は少なくても、確実に情報を届けたいと思う人は、LINE@というふうに、使い分けるといいと思います。
では、浅く広いものから、順番に解説していきます。とにかく自分の会社の名前をたくさん知ってもらいたいなら、ツイッターが1番です。ツイッターでは面白い投稿があると、リツイートでどんどん拡散されていきますし、ユーザーの年代や性別など属性も幅広いので、自社をまったく知らない人にもリーチできるチャンスをつかめます。
最近では、「#(ハッシュタグ)」を使った投稿の検索も盛んです。「#」は、SNSで特定のトピックを分類する記号。詳しくは、この後のインスタグラムでご紹介します。
お客さまとのコミュニケーションが取りやすいのもツイッターの特徴です。例えば、「エアウィーヴ、買おうかな。どうしようかな」といった投稿を見つけたら、すぐフォローして、「横浜にお住まいなら、横浜高島屋でお試しできますよ!」と、お伝えできます。
一方で、ツイッターの大きな特徴でもあり、リスクでもあるのが匿名性です。匿名だから気軽に登録できて利用者も多いのですが、その分、安易な気持ちで他の利用者を傷つける投稿をする人も目立ちます。要するに、他のSNSよりたたかれやすいのです。
2022年の今、匿名での誹謗(ひぼう)中傷を取り締まる法律について検討されているものの、まだまだ十分とはいえません。濃いファンを増やしたい小さな会社にはツイッターよりも、次回紹介するインスタグラム、LINE@のほうが向いているかもしれません。
執筆=笹木 郁乃
山形大学工学部卒業後、アイシン精機で研究開発に従事。その後寝具メーカーのエアウィーヴの第1号正社員として転職し、PRに注力。売上高を5年で1億円から115億円に伸ばす急成長に貢献。鍋メーカー・愛知ドビーでもメディア露出により注文殺到でお届けまで12カ月待ちに貢献。その後、2017年ikunoPRを設立、2019年LITAに社名変更。企業のPR支援のほか、経営者や個人事業主、広報担当者などにPRスキルを伝える「PR塾」も主催し、約1000名が長期講座で学ぶ。これまで5年間常に満員御礼開催。2021年7月に2冊目となる著書「SNS×メディアPR100の法則」(日本能率協会マネジメントセンター)を上梓。発売日即日重版。プライベートでは一児の母。
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