“新常態”に対応せよ(第11回) 御社は大丈夫?リモート新時代の人材育成

業務・勤怠の管理 働き方改革

公開日:2022.06.20

 コロナ禍でリモートワークが身近になった。2022年春からの行動制限の緩和により、ひところよりも出社する人が増えてきた印象もあるが、働き方の選択肢としてリモートワークが定着してきたのは確かだ。通勤時間削減や場所を問わずに作業ができ、家族との時間を有効に過ごせる点は、働き方改革の潮流に沿ったメリットとして受け入れられている。

リモートだと業務状況が見えにくい

 国土交通省の「令和3年度テレワーク人口実態調査」によれば、全就業者の中で勤務先に出社せずに自宅などで仕事をする「雇用型テレワーカー」は27.0%に上る。特に首都圏では42.3%が雇用型テレワーカーという数字で、調査した2021年10月から11月時点ではかなりの人がリモートワークを日常的に行っていた。

 一方で、リモートワークには課題もある。総務省の「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」(2021年)では、テレワーク実施の課題・障壁として「テレワークに適した仕事ではないため」(36.3%)、「勤務先にテレワークできる制度がないため」(27.9%)といった本質的な課題に続いて、「社員同士のコミュニケーション」(17.8%)や「上司からの確認・指示を得にくい」(10.8%)といった業務状況をはじめとした情報共有の難しさが課題として挙げられた。

リモートワークにおける課題例

 リモートワークが増加すれば、当然ながらオフィスでお互いが見えていたときに比べると業務状況が見えにくくなる。特に管理職からすると、部下が「どんな仕事をしているのか」「いまどんな状況なのか」「何に困っているのか」などの状況が分からず、声を掛ける頻度も下がりがちになる。

アドバイスやアサインをしたいが実態が分からない

 誰かに新しく業務をアサインしたいときに、業務状況が分からなければ適切なアサインができない。オフィスならば、「調子はどう?」などと声掛けがしやすかったのに、リモートではちょっとした雑談からのアドバイスも難しい。  リモートワーク時代になって、業務状況が分からないことで人材の評価や人材育成がうまくいかないと感じる経営者や管理職は多い。オフィスに集まっていたときのように、顔色を見たり、声掛けしたりという情報収集はできない。これまでとは異なるインフラの上で業務を遂行するのだから、リモートワーク時代に合ったツールが必要になるわけだ。  そうした中で1つの解決につながる道具が、業務の可視化ツールだ。従業員のパソコンの操作ログを基に、作業の状況や内容を分析してレポートとして提供してくれるものなどが存在する。

定量的な実態把握できめ細やかな人材育成・評価に

 業務可視化ツールの活用によって、1日のうちでどれだけの時間をパソコン作業に費やし、その中でどのような種類の作業を、どれだけの時間をかけて実施しているかが一目で分かるようになる。従業員ごとの作業の得意不得意も分かるし、業務が急に忙しくなっていることや逆に手が空いてきていることなども分かる。  最近ではパソコンの操作ログを分析して、多様なレポートを出してくれるツールも登場している。例えば、当月の働き方の全体像や、社員ごとの業務時間やその内訳、繰り返し作業のパターン分析と作業時間など、業務内容そのものの視える化が実現する。  ツールによっては、単なる分析から一歩踏み込んだ提案もしてくれる。繰り返し作業と判定された業務に関する「この作業はRPAで○○時間短縮可能」という提案や、「この作業は重複しているので○○時間削減可能」といった業務改善効果に向けた提案も得られる。リモートワークが広く受け入れられてきた現在、人材を適切に評価・育成していくために業務状況を可視化することが不可欠ともいえる。ツールを有効に活用することで、さらなる業務効率化へのヒントも得られる。「リモートワークでは人材評価、育成が難しい」と嘆く経営者や管理職は、"オフィス回帰"を大前提として捉えるのではなく、業務状況の可視化ツールを導入で自社の働き方を客観的に分析してみるという選択肢もある。

執筆=岩元 直久

【MT】

あわせて読みたい記事

連載バックナンバー