“新常態”に対応せよ(第10回) 半導体不足でオフィスの電子機器が消える?

時事潮流

公開日:2022.04.18

 パソコンや5G対応スマホ、ゲーム機などの電子機器市場が大変な状況になっている。「売りたいが品物がない」「人気モデルは数カ月待ちもザラ」といった悲鳴が販売店から聞かれる。原因は、長引くコロナ禍の巣ごもりで電子機器の需要が拡大する一方、アジアなどの半導体・電子部品工場の操業停滞もあり、世界的に半導体が不足しているためだ。電子機器に限らず、半導体不足は日本の自動車産業などにも大きく影響する。業績予測の下方修正を余儀なくされるメーカーもある。

先端半導体は海外からの輸入に依存

 経済産業省の「半導体戦略(概略)」では、半導体を「デジタル社会を支える重要基盤であり、安全保障にも直結する死活的に重要な戦略技術」と位置付ける。1980年代に日本の半導体メーカーは世界で大きなシェアを持っていたが、日米半導体協定による貿易規制や半導体の技術進化に取り残されて衰退。現在の日本では、高度な制御や演算処理を担う先端半導体は海外からの輸入に依存しているのが実情だ。

 半導体不足の影響はビジネス関連機器にも及ぶ。情報通信産業の業界団体、情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)では「2021年度第1四半期(4~6月)の通信機械生産・輸出入概況」を取りまとめている。「ボタン電話や構内用電子交換機などのビジネス関連機器は、新型コロナ禍の影響による中小企業などの業績悪化や、半導体不足の影響を受けて受注活動や設置工事が停滞した」と分析する一方、「携帯電話は、第5世代移動通信システム(5G)対応スマートフォンの新製品発売や、3G機種からの買替販売促進によって需要が回復」としている。

ビジネスフォンの導入に時間がかかるケースも

 半導体不足の影響はオフィスで利用されるビジネスフォン主装置にも現れている。先端半導体を利用する高機能ビジネスフォンの場合、5Gスマホや自動車などと競合し、メーカーは半導体を入手しにくい状況が続いているためだ。その結果、ビジネスフォンの機種によっては注文しても在庫が少なく、新規導入や更新まで相当の期間がかかるという事態が現実的に起こっている。

日本の半導体を巡るグローバルな構造変化

出所:経済産業省「半導体戦略」(概略)P6を基に作成

機能を絞り込んだ機種を選ぶ方法も

 こうしたビジネスフォンの品不足に対応するには、導入を検討する企業の発想転換も必要だ。中小企業や店舗では、外線・内線数や機能を絞り込んだ機種を選択する方法がある。機能を絞り込んだ分、使用する半導体や電子部品も入手しやすく、それほど待たずに導入できる可能性も高くなる。

 例えばスマホの場合、最新機種では3つのレンズ(望遠、広角、超広角)が搭載される。こうした最新機種では先端半導体を使うため、半導体不足からメーカーも減産を余儀なくされ、ユーザーも思うように入手できないケースがある。

 高精細で超広角の動画撮影の機能が必要なユーザーは別にして、業務報告用に現場写真などを撮影する目的であれば、機能を絞り込み、高性能なレンズも3つは要らないという判断もできる。従来型の機種であれば入手も容易だ。

 スマホと同様に、ビジネスフォンも進化し、多様な主装置や多機能電話機が提供されている。その中には比較的入手しやすいビジネスフォンもある。今の状況では事業者選びが重要だ。オーパースペックにならないように気軽に相談できたり、ビジネスフォンのラインアップを拡充したりしている事業者を選びたい。

 コロナ禍でテレワークが新常態になったように、半導体不足といった新常態の中でビジネス機器をどう選び、どう更新していくか。その創意工夫、経営判断が求められる。

執筆=山崎 俊明

【MT】

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