制度活用でお得マネジメント(第6回) 令和の補助金。中小企業IT化に朗報

法・制度対応 デジタル化

公開日:2019.07.22

 2019年秋に消費税アップが予定されている。売り上げの維持・拡大に不安を持つ中小企業は多いだろう。だが、マイナス要因だけではない。中小企業・小規模事業者のIT化を支援する「IT導入補助金2019」の二次公募が7月17日~8月23日まで受け付けられている。IT導入補助金事業は平成時代の2018年度にも実施された。令和時代の2019年度のIT導入補助金事業は、補助金額が大幅にアップする。2018年度の上限額100万円から同450万円に増額された。交付が決定すれば、導入するITツール(ソフトウエア費・導入関連費など)の1/2以下の補助が受けられる。費用面からIT化の取り組みを諦めていた中小企業はチャンスだ。

ハードウエアや、独自のシステム開発は対象外

 IT導入補助金事業の目的は、大企業に比べて遅れる中小企業・小規模事業者の生産性向上だ。自社の経営課題やニーズに合ったITツール導入費の一部を政府が補助し、業務効率化や売り上げアップを支援する。

 例えば、販売管理や受発注処理を効率化させるITツールや、情報の一元管理に役立つグループウェアなどの導入に活用できる。

 ここでいうITツールとは、ソフトウエア・サービスなどだ。企業の課題・ニーズに対応するものが登録されている。補助対象となるITツールおよびIT導入支援事業者はIT導入補助金2019のWebサイトで確かめられる。

 ITツールは、勤怠管理や在庫管理などの業務パッケージソフトや、RPAなどの効率化パッケージソフト、グループウェアなどの汎用パッケージソフトのほか、セキュリティ製品やデータ連携ツールなどのオプション、導入コンサルティングや保守サポートの役務に関わる費用も補助対象となる。

 一方、パソコンやタブレットなどのハードウエアや、独自のシステム開発、ソフトウエアの大幅なカスタマイズは対象外となる。注意が必要だ。

最大450万円まで補助金を増額

 補助金はA類型が40万~150万円未満、B類型が150万~450万円まで。補助率は1/2以下となっている。A類型とB類型の違いは、まとめて導入する必要のあるプロセスの数だ。補助金を受け取るには、申請、審査を経て、採択・交付の通知を受けた後、IT導入支援事業者と契約し、ITツールを購入するといった手順が必要になる。

IT導入補助金2019の概要

RPAにも補助金が出る。経営判断もスピードアップ

 人手不足が深刻な中、従業員が手作業で行っている帳票などの処理を効率化したい企業は多い。そうした課題に対応するITツールの一例にOCR(光学的文字認識)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)がある。

 例えば、取引先から郵送やFAXで送られてくる大量の発注書や請求書の処理。従業員が受注日や取引先、商品、数量をパソコンに入力してデータ化し、販売管理システムなどでデータを管理している企業は多いはずだ。

 発注書や請求書など帳票のデータ入力には、OCRを活用する方法がある。スキャナーやFAXサーバーで帳票の文字をOCRにより画像データに変換。取引先別に振り分け、データ出力する。人手で行っていたデータ入力作業の効率化に加えて、人手によるデータ入力ミスを防ぐ効果も期待できる。

 定型業務を自動化するRPAを活用すれば、さらに大幅な業務効率化が可能になる。OCRでデータ化した発注書や請求書などの情報を、RPAで自社のフォーマットに入力。請求金額などの計算も自動化し、処理が集中する月末の残業時間を削減できる。また、週次、月次の販売データの集計が早くなるので、経営判断もスピーディーになる。

 RPAなどITツールを活用する場合、どの業務にどのITツールを適用すれば効果的か検討が必要だ。IT導入補助金制度では、導入したいITツールを販売しているIT導入支援事業者と相談の上、ITツールを選び、補助金を申請する仕組みになっている。IT導入支援事業者に相談すれば、的確なアドバイスを受けられるはずだ。補助金をうまく活用し、“デジタル化”の契機にしたい。

執筆=山崎 俊明

【MT】

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