人に語れるようになる“ITのツボ”(第1回) 無線LANとセキュリティを考える

Wi-Fi ネットワークセキュリティ

公開日:2015.11.05

 これからITを活用しようとしている中小企業の社長や社内ネットワークの担当者、あるいはSOHOの事業主の中には、まだ仕事場に無線LANを導入していないという方がいるかもしれません。

 今回は、無線LANとはどのようなものなのか、また導入によってどういったメリットがあるのかなど、いまさら聞けない無線LANの基礎について確認していきたいと思います。

 無線LANを理解するには、いくつかのポイントがあります。本記事では「1.無線LANのセキュリティ」「2.無線LANの周波数と規格」「3.無線LANの活用法」「4.有線LANと無線LANどちらにすべきか?」の4点に分けて紹介します。

1.無線LANのセキュリティ

 「すでに社内のネットワークはあるが、無線LANを導入するのにはためらう」という方のほとんどは、「無線LAN=無線だからセキュリティが脆弱(ぜいじゃく)」といったイメージを持っているのではないでしょうか。これはまったくの間違いというわけではありませんが、その脆弱性のイメージはもはや過去のものでしょう。

 無線LANは基本的に、第三者から傍受できないようにするために、パソコンなどで閲覧するWebサイトや電子メールといったデータのやりとりを電波に乗せる際に暗号化します。この暗号化技術として、かつては「WEP」というものが使われていました。しかしこのWEPは特定の方法を使うと第三者が解読でき、通信内容を盗み見されやすいという点が指摘されるようになりました。

 現在は、WEPよりもセキュリティレベルの高い「WAP」、あるいはその発展型の「WPA2」といった暗号化技術が使われています。新規に発売されている無線LAN機器はほぼWPAかWPA2に対応したものになっています。WPA/WPA2に関しては、第三者の傍受に関しては、現在ほぼ心配ないといえるでしょう。

・WEP:古い暗号規格 セキュリティ上の脆弱性あり
・WPA/WPA2:現在主流の暗号規格 セキュリティ面で堅牢

 また少し前までは、無線LANにID(SSID)とパスワードで認証をかけない、つまり第三者がつなぎ放題の無線LANのアクセスポイント(無線LANルーターなどの機器)が多く見られました。さすがに最近は、このような運用をしている家庭や企業は少ないと思いますが、無線LANを使う際はきちんと認証をかけて、誰もがアクセスポイントにつなげられる状況などにしてはなりません。これは情報が抜き取られる危険性があるだけでなく、ハッキングやクラッキングといった、インターネット上からの攻撃の手段に使われてしまうからです。

2.無線LANの周波数と規格

 無線LANには電波が使用されており、市販されている一般向けの無線LAN機器には、データの送受信を行う周波数が、現在は昔から使われている「2.4GHz」に加え、「5GHz」の2種類があります。

 迷った場合は2.4GHz対応の機器か、2.4 GHzと5GHz双方に対応した無線LANルーターを選択しましょう。5GHzは、2.4GHzとは違い電子レンジが出すマイクロ波の干渉を受けにくいという特徴がありますが、まだ対応している無線LAN機器やパソコンが少ない状況です。

 他にも無線LANで標準的に使われる周波数帯は、一部の航空無線など比較的短距離の無線通信でも使われています。あまり遠くには飛びませんし、地平線の向こうに届いたり、山を回り込んだりといった特性は持ち合わせていないため、大きなビルで電波が遮られるケースや、地上の基地局から地下に電波が届きにくいというケースもあります。一方で大容量のデータをやりとりするのには向いています。

3.無線LANの活用法

 無線LANの活用法は、備え付けのパソコンを無線でインターネットにつなげるということだけではありません。例えば、最近かなり浸透してきたスマートフォンやタブレットも接続できます。つまり業務システムと連携して倉庫の在庫管理を行ったり、プレゼンテーションに使ったりといった用途も可能です。

 また、出入りの多い営業がノートパソコンやタブレットを使って、機動的に社内業務と外出時の業務を切り替えられるメリットは大きいです。さらに、社内の机のレイアウトに縛られず、自由にインターネットにつなげられるという利点もあります。パソコンやタブレットといった無線LANに対応した機器が普及しつつある現在、その活用の幅も大きく広がっているのです。

4.有線LANと無線LANどちらにすべきか?

 有線LANと無線LAN、どちらを選択する場合も、まずは有線でネットワークを構築してから無線LANルーターを接続する、という方法が基本となるでしょう。10人前後の小規模の事業体であれば、光回線のルーターに市販の無線LANルーターを接続して、そのまま無線LANで各端末をつなげば十分に運用可能です。

 建物の構造上の問題(鉄骨や金属板などで遮へいされる)がある場合や、万が一、電波干渉などの現象が起こるようなら、そのときは緊急避難的に有線LANケーブルで接続できるようにしておけば安心でしょう。

 いかがでしたか? ポイントを押さえれば、無線LANは非常に運用上のメリットが大きいといえます。これから導入を検討される際は、ぜひ参考にしてみてください。

執筆=戸桝 茂哉

【MT】

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