ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
いわゆる「ゆとり教育」を受けた若者が大学を卒業し、社会人になって6年目を迎えました。彼らは様々な企業や団体で、驚くような問題を起こしています。それにもかかわらず、彼らは
「何もできないのに、自信だけはすごい」
「ちょっと怒るとすぐ落ち込んで、『会社を辞める』と言う」
企業の人事担当者からは、こんな声がたくさん聞こえてきます。この「ゆとり教育世代」(以下、ゆとり世代)をどうやって教育し、企業の戦力にしていくかに、日々頭を悩ませている方々は多いでしょう。
「でも、ゆとり教育はもう終わったんだよね?」と思った読者の方もいるかもしれません。確かに2013年度までに段階的に「ゆとり教育は見直された」と報道されていますが、実態は違います。
ゆとり教育は小学校から高校まで、授業時間を2割、授業内容を3割カットしました。今回の見直しではそのうち授業時間の約5%を元に戻しただけです。表向きは「ゆとり教育は終わった」と言いながら、大筋ではほとんど変わっていないのです。
現在大学を卒業し、社会人になっているゆとり世代は、一番長い人でも小学4年生からゆとり教育を受けた世代に過ぎません。小学1年生からたっぷりとゆとり教育に浸かった〝純粋ゆとり世代〞が大学を卒業し、社会人になるのはこれからなのです。
ところであなたは、ゆとり世代のことをどれだけ知っているでしょうか?
「円周率を3で計算するんでしょ?」
「学校が週休2日制になったんだよね?」
こうした断片的な知識はあっても、ゆとり世代が従来の世代と何が違うのか、その本質を知っている方は少ないのではないでしょうか?企業の人事担当者でも、ゆとり世代を漠然と捉えている方は多いようです。
その結果、「彼らはゆとり世代だからね」――。こんな一言でゆとり世代を否定したり、自分たち上司世代との間に一線を引いてしまうことになります。しかし彼らの本質をしっかりと把握し、それに合った教育をすれば、ゆとり世代は間違いなく、企業にとって役に立つ戦力になってくれるのです。
「素直で真面目」
「教えたことを吸収する能力が高い」
これもまた、ゆとり世代の特徴です。
ゆとり世代を戦力化するには、大きく分けて次の3つのステップが必要です。
1 「上司世代がゆとり世代の社会的背景をよく理解する」
2 「ゆとり世代も学び、上司世代の考え方に近づく」
3 「会社がゆとり世代の受け入れ態勢=教育体制をしっかりと整える」
特に大切なのが「1」です。若者に迎合するのではありません。敵を漠然と捉えていたのでは、いつまでも勝てないということです。
「ゆとり世代」がどのような社会背景で育ち、どのような教育を受けたのか、またどのような特質を持っているのかを徹底的に知ることが必要です。繰り返しになりますが、彼らの発想や行動の背景を知ることが、何よりも重要です。
次に、そうした環境で育った彼らに欠けている、ビジネス社会で生きていくための心がまえを叩き込みます。この心がまえを持たせることで、これまでの常識から考えれば「マイナスからのスタート」であるゆとり世代を、ようやく社会人としてのスタートラインに立たせることができるのです。
「こんなことから教えなければいけないのか」――。
読者の多くの方はきっとこう思われるでしょう。まさに、「こんなことから教えなければいけない」のがゆとり世代の教育の本質です。
しかし、ゆとり世代の彼らが悪いわけではありません。彼らもまた被害者なのかもしれないのです。だからこそ、ゆとり世代に至るまでの背景やゆとり教育に対する本当の認識を深めていただき、ゆとり世代を理解した上で、どのように育て、一緒に働くのかを考えていただくきっかけとしてください。
執筆=柘植 智幸(じんざい社)
1977年大阪生まれ。専門学校卒業後、自分の就職活動の失敗などから、大学での就職支援、企業での人財育成事業に取り組む。就職ガイダンス、企業研修、コンサルテーションを実施。組織活性化のコンサルティングや社員教育において、新しい視点・発想を取り入れ、人を様々な人財に変化させる手法を開発し、教育のニューリーダーとして注目を集めている。さらに、シンクタンクなどでの講演実績も多数あり、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、経済界、日経ベンチャーなど多数のメディアにも掲載される。
【T】
“ゆとり君”と働くために覚悟しておくこと