ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
私たちは集団の中にいて「私はここにいていいのだ」と安心したい生き物です。その中で、できれば高い評価をもらいたいし、必要とされ、大切にされたいと思っています。また、誰かの役に立ちたいとも思っています。
これを感じることができれば、チームの人間関係も変わってきます。
ここまで1人ひとりには違うパターンがあり、お互いのパターンを“見留め合う”ことが大切だと知っていただけたと思います。こうした自分のパターン、相手のパターンを強みとして生かし合い、相乗効果を高めていくのが、チームで働くときなのです。
この章では、複数のメンバーで、円滑に、よりよい仕事をするときに大切なことをお伝えします。
チームで仕事をする際に最も大切なことは、全員が同じゴールをめざすこと。そして、達成に向けて、ブレることなく各自の仕事を進めていくことです。
あるとき、私はPTAの役員に立候補したのですが、とてもやりにくい相手と組むことになりました。本当は、中心にいて主導権を握りたかった私。でも、あのときはそのスイッチをオフにしたのです。なぜそれができたかというと、ゴールを見ていたからです。
PTAの仕事のゴールは子どものため。決して私の自己実現の場ではありません。子どもや学校のためになるのであれば、その彼女が中心でも問題ないのです。
一生懸命やればやるほど、うまくいかないときというのは、大抵はこのゴールを見失っていることが多いと言っても過言ではありません。
チームで働くときにみんながゴールを共有できなければ、そのプロジェクトはうまくいきません。特に、長期間にわたるプロジェクトになると、ゴールを見失ってしまいがち。ゴールは何か。ここを何度も確認してください。そうすれば、自分がどうあるべきかが見えてきます。
同じゴールに向かってみんなの心が1つになり、大きな仕事を達成する喜びや楽しさは、1人だけの仕事では決して味わえません。1人だけだと1馬力ですが、10人集まれば10馬力になる。さらに、お互いにいい影響を与え合うことができれば、そのパワーは10馬力以上にもなります。
私と彼女のように、相手のパターンによってやりにくいと感じた経験が皆さんにもあるのではないでしょうか?
同じ役員の彼女はとても仕事ができて、人望の厚いすてきな女性です。だから、私が忙しくても1人で全部こなせてしまうのです。もともと私自身は仕事をしながらのPTA活動でしたので彼女の存在は本当に頼もしく、ありがたいと思っていました。でも、いつしかそれが面白くないと感じる自分がいることに気付きました。
ここでさらに付け加えておきたいことは、そのパターンは時にプラスになったり、マイナスになったりすることがあるということ。物事には必ず二面性があり、関わる相手によって受け取り方も変わるのだ、ということです。
とても仕事のできるパートナーのことを面白くないと感じた理由は、簡単です。「私、役に立ってない。必要とされていなくて悲しい」と感じたから。
もし、これがPTA活動に消極的な人、もしくは、嫌々参加している人だったら、何でも積極的に進めてくれる彼女は「とてもいい人」になります。
しかし、私のように、仕事をやりながらもPTAでも活躍したい、役に立ちたいという場合においては、彼女は私から仕事を奪う「悪い人」になります。
そう。私たちがよく言う「いい人」「悪い人」というのは、自分にとってただ都合のいい人か、悪い人かなのです。
チームで何かを始めるときに私が必ずやっていること……。それは、メンバーに自分のパターンについて挙げてもらうことです。例えば、私なら「(1)中心にいたい」「(2)フィーリングで決める」「(3)思ったことを素直に言葉にしてしまう」――これを最初に伝えておきます。うまくいかないときには、大体このいずれかのパターンがマイナスに作用しているからです。
自覚していれば自分でも気付きやすいですし、また、同じチームの人も、「この人は中心にいたい人だから、すべて仕切ってやってしまうとやる気をそいでしまう」と分かり、パワーバランスを意識できます。そして「ある程度の仕事をしっかり任せよう」などと、相手を生かすこともできるようになります。
私は思ったことを素直に言葉にするタイプですが、講師という立場ではこの性格がプラスに働きます。例えば、講座の後に実施する受講生とのランチ会などでも、私はズバズバと言いますが、受講生には「個別にアドバイスしてもらえてうれしい」とプラスに受け取ってもらえます。ところが、コーチではなくママ友に、同じようにズバズバと意見を言ってしまうと、上から目線になり、あまり感じが良くないですよね。
それは、セミナー受講生とママ友グループとでは、「私に求められている役割が違う」からです。ママ友にとって、私はコーチではありません。そもそもアドバイスなど求めていないので、余計なことを言われると気分を害してしまうのです。
ちなみに私は、このパターンを知っているので、ママ友と付き合うときには事前に「私、悪気なく思ったことを言ってしまうことがあるの。時々ぶしつけな言動をすることがあるかもしれないけど、そういうときは遠慮なく言ってね」と伝えるようにしています。先に伝えておけば、「あの人はキツい人だね」と言われることもなくなります。
チームで仕事をするときでも、メンバーの中で自分はどんな役割だとうまくいくかを考えてみましょう。リーダーシップを取ったほうがいいのか、サポートに回ったほうがいいのか、どんな役割を期待されているのかを考えてみてください。また自分だけでなく、チームのみんなにも考えてもらい、プロジェクトを始める前に、役割の共通認識を持つとチーム力がグンと増します。
逆にうまくいかないときには、自分のパターンを意識的にオフにするという選択肢が生まれます。1人ひとりが自分のパターンを見直すことで、チームが円滑に回り始めるようになるのです。
チームでのコミュニケーションが円滑になる、とっておきの方法を紹介しましょう。リーダー役であっても、サポーター役であっても、誰でも使うことができます。
それは、メンバーの長所や存在意義をきちんと言葉で伝えること。「○○さんがリードしてくれたから、みんなが動きやすくなってるよ」「××さんのサポートのおかげだよ」など、心の中で思っていることを、直接、本人に言いましょう。
私たちは普段、なかなか人に気持ちを伝えることができていません。お互いのいいところを伝え合うことで、1人ひとりのモチベーションを上げ、チーム全体の雰囲気をよくする方法です。
特にチームの中で「元気がないな」「行き詰まっているのかな?」と感じる人にこそ、声を掛けてみてください。メンバーとのコミュニケーションが評価やダメ出しばかりになっていませんか?
また、人を介して褒めるのも効果的です。
例えば、Bさんを褒めるときに、直接伝えるだけでなく、Aさんにも「Bさんがこんなふうに頑張ってくれたので助かった」と伝えると、大抵AさんがBさんに「山﨑さんがこんなふうに言ってたよ」と伝えてくれます。私はこれを、ささやき戦法と名付けました。
直接褒められるのもうれしいものですが、自分のいないところで誰かが自分のことを評価してくれていると知ると、さらにうれしいものです。役に立っている、と実感できる場面をたくさんつくることで人は頑張れるのです。
マイナス面や否定の言葉ばかりを言い合うチームだと、みんなが萎縮して意見を言わなくなってしまいます。そんなチームからは良い商品やサービス、アイデアは生まれません。反対に、チームの雰囲気が良ければ、成果も必ず上がります。
執筆=山﨑 洋実
コミュニケーションコーチ。1971年静岡県生まれ。大手英会話学校勤務時代に、接客&人材育成の楽しさを知る。2000年にコーチングに出合い体系的に学ぶうちに、これまでやっていたことがコーチングだったと知る。出産後、身近なママ友向けに始めた講座「ママのイキイキ応援プログラム」は常に笑いあり、涙ありで心に響き、かつ本質を伝える講座として瞬く間に全国区へ。講座内容が仕事にも役立つことから企業研修、講演会を全国で開催。
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