ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
注文書や請求書など、中小企業の取引で紙の書類が行き交っているケースは少なくない。世の中はデジタル化への要求が高まっている。中小企業もデジタル化の流れに追随していかなければ生き残れない。しかし、実際のところ、デジタル化にはハードルがあり、変革の進展は容易ではなさそうだ。
経済産業省が委託した「令和2年度中小企業のデジタル化に関する調査」の報告書では、中小企業のデジタル化の現状が浮き彫りにされている。中小企業のデジタル化に対する社内の意識としては、「デジタル化を積極的に取り組む文化が定着している」のは1割、「デジタル化に積極的に取り組む文化が醸成されつつある」が4割強であるのに対して、「デジタル化に取り組む風潮もあるが抵抗感も強い」が4割、「全社的にデジタル化に対する抵抗感が強い」が1割弱となっている。約半数の中小企業では、デジタル化に抵抗感が強いのが現状だ。
課題としても「アナログな文化・価値観が定着している」「組織のITリテラシーが不足している」「長年の取引慣行に妨げられている」といった回答が上位を占める。デジタル化で経営の課題解決や目標を達成する以前に、旧態依然としたアナログ文化からの脱却が必要なのだ。
実際、郵送やFAXで届いた書類を確認するためだけに、テレワーク中に出社するのは効率的ではない。そもそも多くの資料や書類はパソコンなどで作成したファイルが原本になっていて、デジタルデータを受け渡しできれば業務はスムーズに進むはずだ。取引先からの要請、要望でデジタル化の必要性を感じた中小企業も少なくない。取引先から、データをデジタル化して受け渡してほしいという声があれば、中小企業の重い腰も上がりそうだ。
約半数の中小企業がデジタル化に抵抗感が強い
※出所:「令和2年度中小企業のデジタル化に関する調査」図表 2.1.39 デジタル化に対する社内の意識を基に作成
昨今では、請求書をPDFファイルで送るように要求する企業も増えてきた。商談がオンライン化すると、プレゼンテーション資料はデータで送付する。現況確認などの画像や動画データもデジタルデータでやり取りするケースが多い。
請求書のPDFファイルならばデータ量はそれほど大きくないので、メール添付でも送れる。それでも、メール添付では誤送信などのセキュリティリスクがある。大容量のデジタルデータとなるとメール添付では容量オーバーで送信できない場合もある。以前なら大容量データをUSBメモリーに記録して持参したり送付したりしていた。しかし、USBメモリーからマルウエアなどの悪意あるソフトが社内システムに感染するリスクが高まり、現実的な方法ではなくなってしまった。
大容量のデジタルデータを高セキュリティに企業間や拠点間などで受け渡すには、ファイル転送サービスを使う方法もある。しかし、無料サービスではセキュリティへの不安が残る上、取引先のセキュリティポリシーによっては利用できないケースもある。
手軽に高セキュリティで、大容量のデジタルデータを受け渡しできる環境を整えたいとき、チェックしたいのが企業向けのクラウドストレージだ。簡単な操作でデジタルデータをクラウド上のストレージに保管できる上、社内外の相手とのデータ共有も可能だ。
クラウドストレージ上のデータを暗号化できたり、閲覧や編集を権限が与えられたユーザーだけに限定できたりすれば、セキュリティ面の心配は少ない。メール添付に比べると、はるかに大容量のデータでも受け渡しできる。
中小企業のデジタル化の第一歩として、データをデジタル化したら、次はそのデータを受け渡す方法を検討しよう。その際、「手元にあるデータを送る」という発想から離れて、「クラウドストレージに保管したデータを共有する」という考えにシフトすると、デジタル化のハードルを下げられるだろう。
執筆=岩元 直久
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