重要情報の扱いを考え直す(第4回) パソコンをデータレスにする

脅威・サイバー攻撃 データ保護・バックアップ

公開日:2019.06.26

 規模や業種を問わず、生産や販売、顧客情報などさまざまなデータがパソコンで管理されている。紙による情報管理に比べ、パソコンのデータは社内で容易に共有できる。販売状況や在庫などのデータを参照しながら迅速・的確に販売戦略を立てられれば、競争力強化にもなる。パソコンに保管されたデータの重要性は増すばかりだ。一方、万一データが消失したときのリスクも大きくなる。

データが消える原因はさまざま。バックアップが必須

 パソコンのデータが消失する要因は多岐にわたる。パソコンの操作ミス、パソコン本体の故障といった予期せぬトラブルのほか、パソコン本体の盗難・紛失、ウイルス感染や不正アクセスによる情報漏えいといったセキュリティ事故もある。台風や集中豪雨による水害で事業所のパソコンが壊れるといった自然災害も、データ消失の要因になる。

 原因は何であれ、万一、重要な業務データが消失したり、情報漏えいしたりする事態になれば、社会的な信用を失いかねない。事業の継続そのものに大きな影響が出る恐れがある。セキュリティや事業継続計画(BCP)の観点からも、対策を考える必要がある。

 パソコンのデータ消失や情報漏えいのリスクを低減する対策には、パソコン以外の記憶媒体にデータを保管し、バックアップする方法がある。パソコンのデータが消えても、バックアップデータがあれば復元でき、業務への影響を小さくできる。

 データバックアップにはいくつかの方法がある。手軽にデータをバックアップできるのが、パソコンにハードディスク装置を外付けする方法だ。ただし、複数ユーザーでデータを共有できないデメリットがある。盗難による情報漏えいや、うっかり落としてしまって故障するリスクもある。

クラウドでデータを保管する選択肢も

 複数ユーザーがデータを共有でき、大容量データのバックアップにも適しているのがネットワーク対応ストレージのNASだ。ファイルサーバーなどで利用されることが多い。バックアップデータの世代管理(過去のバックアップデータを複数保管)ができる製品・サービスもあり、操作ミスで重要データを上書きした場合にも、世代を遡ってデータを復元できる。ただし、NASは社内に設置されるケースが多く、パソコンと同様に自然災害などのリスクもある。社内のNASにデータを保管するほか、クラウドにデータをバックアップすればデータの安全性を高められる。

 パソコンの盗難や紛失、自然災害などのリスクを回避するには、社外のクラウドサービスを利用する方法がある。クラウドサービスは、自然災害への備えやセキュリティ対策が整ったデータセンターが基盤だ。データバックアップに適している。

 パソコンにデータを保管せずに、離れた場所にあるサーバーでパソコン環境を一元管理するのが仮想デスクトップだ。OSやアプリケーション、データを含むすべてのパソコン環境はサーバー内にあり、ユーザーはネットワークを介してパソコン環境にアクセスする。クラウドサービスで仮想デスクトップ環境を利用できるソリューションも提供されている。

 また、パソコン本体にデータを保管しないデータレスパソコンを使う選択肢もある。データレスパソコンでは、OSやアプリケーションは通常のパソコンと同様に本体にあり、データの加工・編集後、ネットワークを介してデータのみクラウド上のストレージに保管する。パソコンにデータを置かないので、盗難・紛失時の情報漏えいや、データ消失による業務の停滞などを回避できる。セキュリティ対策やBCP対策の1つの選択肢として認識しておくとよいだろう。

執筆=山崎 俊明

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