ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
ITの発達の中でも、話題になるのがAI(人工知能)活用だ。ニュースでもAIという言葉を聞かない日はないほどの盛り上がりを見せる。
AIの歴史は古く、初めて登場したのは1950年代のこと。1980年代には実用可能な水準に達し、2000年代にはAI自身がデータを解析して法則性やルールを見つけ出す「機械学習」、対象を認識する際に注目すべき特徴をAIが自ら見つけ出す「ディープラーニング」で、広く注目を集めるようになった。
AIブームともいわれる近年の潮流では、巨大企業によるビッグデータの解析、膨大な医学的根拠を学習しての医療分野での利用がAIの活用例として取り上げられている。AIというと、こうした最先端の領域における高度な利用をイメージする人が多いかもしれない。
しかし最近、AIが身近になってきた。例えば、受発注業務を行う事業所でよく導入されているOCR(光学的文字認識)ソフト。これにAIを搭載し、性能アップを図るケースが増えている。
手書き文字やプリントアウトされた文字をデータ化するOCRの性能で、ポイントとなるのが読み取りの精度だ。それを向上させるのにAIが寄与する。AI搭載タイプの場合、使い始めは読み取りの精度がAIを搭載していないOCRソフトと変わらなくても、その後、学習機能で認識率が高まっていく。
AIを搭載していないOCRソフトも幅広い様態の文字を読み取ることができるように開発されているが、限界がある。近年はネット上で顧客情報を得るケースも多くなってきたものの、用紙に手書きで記入してもらうシーンも少なくない。注文書や送り状など企業間の業務連絡でも、手書きのケースはまだある。
こうした情報を手作業で入力してデータ化しようとすれば、人的リソースも時間的リソースも割かれることになる。AI機能が付いたOCRソフトを使えば、入力の手間が省けるだけでなく、AIの学習機能により、時間の経過とともに認識精度が向上し、より効率が良くなる。
ほかに近年、AI導入が著しい分野としてチャットボットが挙げられる。チャットボットは「対話(chat)」「ロボット(bot)」という2つの言葉を合わせた造語で、自動会話プログラムを表す。
それにAIを導入した「AIチャットボット」を、カスタマーサポートなどに活用する例が増えている。ネットや電話の顧客からの質問を受け付け、その質問にAIを取り入れたシステムで自動回答する仕組みだ。質問の内容と回答のマッチングをAIが学習し、時間経過とともに正答率が上がる。24時間、365日対応が容易にできるので、顧客満足度を高めるツールとして人気を呼んでいる。
AIチャットボットを、外部の顧客からの問い合わせだけでなく、社内の問い合わせに使うケースも増えている。例えば、情報システム部門には、パソコンに関する質問や複合機の不調を訴える問い合わせなどが次々に来る。情報システム部門が、こうしたトラブル対応に時間を割かれれば、業務に支障が出る。
ささいなトラブルの多くは定型化していて、あらかじめ用意していた回答で用が足りることが多い。その部分はAIチャットボットに任せ、自動で回答してもらえばよい。各種申請や手続き、制度についてなどの定型的な問い合わせが多い総務部も、同様にAIチャットボットの利用メリットが見込める。
●AIを活用したOCRやチャットボットの導入効果
最近、「働き方改革」が叫ばれる中、あらゆる企業に生産性アップが求められている。ただ、多くの企業は、従業員が現在どのような働き方をしているか、具体的に把握できていない。効率化するにしても何に手を付ければよいのかが分からない。そんな悩みに応えるのが、AIを活用した業務分析ソフトだ。
従業員の使うパソコンにソフトを組み込み、どんな作業をどのくらいの時間行っているかをデータ化する。複数の社員のデータを集め、組織全体で“同じような”作業をどれだけやっているかを、AIを使い分析するというもの。その結果、長時間行っている作業は、省力化できないかを検討する。従業員は特別なことをする必要はない。いつも通りパソコンを使って作業しているだけで改善点が浮かび上がる。
大企業や限られた分野でしか使われないと思われがちなAI。しかし、いまやAIはビジネスの現場に下り、日常的に使われるものになりつつある。その使い方は幅広く、多くの分野で業務効率向上に貢献する。働き方改革を後押しする強力なツールとして、AIの積極的な活用を考えるべきだろう。
執筆=山本 貴也
出版社勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。投資、ビジネス分野を中心に書籍・雑誌・WEBの編集・執筆を手掛け、「日経マネー」「ロイター.co.jp」などのコンテンツ制作に携わる。書籍はビジネス関連を中心に50冊以上を編集、執筆。
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