万一の備え、事業継続計画策定のススメ(第5回) 回線のトラブル、「仕方がない」では済まない

データ通信 サポートサービストラブル対応

公開日:2018.12.05

 現在、企業の業務すべてが、情報通信ネットワークに支えられているといっても過言ではない。技術の進歩によって、情報通信ネットワークは空気や水のように当たり前のものになっている。それだけに、トラブルが生じたときには被害は深刻になる。平時から万一に備えたい。

 現代のビジネスには、インターネット接続やクラウドサービスの利用が必須だ。情報通信ネットワークは欠かせない。社内にLANを敷設し、パソコンや各種の端末を接続する。通信会社の光ファイバーの高速アクセス回線を契約し、社外と情報のやり取りをするだけでなく、Webサービスとして提供される営業支援ツールやクラウド型のストレージを利用して業務効率を上げる。現在の企業経営は、情報通信ネットワークが正常に機能するのを前提としている。

 もしも、その前提が崩れたら大変だ。例えば、ネットショップを運営している企業にとって、ネットワークがつながらない時間帯があれば、そのまま機会損失となるだろう。

 「うちはネットショップなんてやっていないから、そんなに心配しなくても」と考えるのは浅はかだ。企業の多くは、ネットワークによって取引先とつながり、業務が成り立っているのを忘れてはならない。中小規模の企業でも、いまや大企業も含めたサプライチェーンの一翼を担っている。企業規模や業種・業態を問わず、あらゆる企業が情報通信ネットワークトラブルのリスクを減らさなくてはならない。

 情報通信ネットワークで大切なのは、「常につながっている」ことだ。受発注など、取引情報はすべてオンライン上でやり取りされ、多くの企業が連携しながらサプライチェーンは動く。「つながっている」状態でなければ、サプライチェーンの一員でいられない。

 裏を返せば、あなたの会社が万一、「つながらない」状況になったら、サプライチェーン全体に影響を及ぼす事態にもなりうるのだ。その責任が取れるだろうか。

今こそ24時間365日のネットワーク保守体制に目を向ける

 こうしたリスクが十分に分かっている経営者はすでに手を打っているはずだ。サーバーを二重化したり、LANを冗長構成にしたりと、さまざまなシステムの安全対策が考えられる。

 しかし、これらは基本的に情報ネットワークのうち、社内部分の対策にすぎない。社内と社外のシステムをつなぐ通信事業者の回線トラブルに対しても十分な対策を講じているだろうか。

 日本の通信事業者のサービスは、安定していて品質も高い。基本的には、そうした企業が提供する光ファイバーのアクセス回線サービスなら、支障なく業務を行える。しかし、故障や事故などのアクシデントで、回線サービスが止まる可能性はゼロではない。

 「通信事業者が管理する回線のトラブルは、通信事業者の責任で解決すべき。うちの責任ではないし、手の打ちようもないので仕方がない」と考える経営者もいるもしれない。確かに、正論ではあるが、それで必要な情報が届かず事業に差し障りが出たら、困るのは自社であり、また他社にも迷惑をかける可能性がある。

 トラブルが発生したのが、平日の9時から17時といった通信事業者の一般的な業務時間内なら、まだ救いがある。通信事業者の故障受付に連絡すれば、保守対応をしてもらえ、「つながらない」時間は最小限に抑えられるからだ。

 一方、夜間や休日のトラブルは、翌日対応となってしまう場合が多い。もし土曜日の夜にトラブルが発生したら、1日以上も「つながらない」時間ができてしまう可能性がある。それによって大切な情報を受け取り損ねたり、注文を逃したりする可能性を考えれば、経営者ならぞっとするはずだ。

 こうした通信事業者の管理する契約回線のトラブルリスクを減らすために、すでに複数の事業者のサービスを導入している大企業は少なくない。それに加え、24時間365日対応のネットワーク保守管理サービスを検討するなど、できる限りの備えをしたい。それが情報ネットワークなしにはビジネスが成立しない時代の、より確実なリスクマネジメントといえる。

執筆=岩元 直久

【MT】

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