ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
「多く聞きてその善なる者を択 びてこれに従う」(『論語』)
あなたは人の話をちゃんと聞いていますか。人間はとかく、自分のことを聞いてほしい、聞いてほしいと言いがちです。しかし、多くの人がそうだからこそ、できるビジネスパーソンになるには聞く耳を持たなければなりません。
反面教師は、強い先入観や固定概念にとらわれて回りの言うことに耳をかさないというタイプ。裸一貫で身を起こし成功を収めた経営者や、バリバリ仕事をこなして部長や役員に駆け上がったようなビジネスパーソンに見受けられます。
もちろん、こうした行動は実力と自信の表れでもあるのですが、行き過ぎると周囲が必要以上に気を使ってしまい、当人には耳触りの良い情報しか入ってこなくなります。これでは正しい判断もできず、ビジネスはうまく進みません。成果も上げられず、場合によっては失敗して損失を出してしまうことにもなりかねません。
『論語』に「多く聞きてその善なる者を択(えら)びてこれに従う」という言葉があります。まず、前後の文章を含めて書き下し文と現代語訳をご紹介します。
子曰く、蓋し知らずしてこれを作る者あらん。我はこれなきなり。多く聞きてその善なる者を択びてこれに従い、多く見てこれを識す。知の次ぎなり。
(訳)先生が言われた。「世の中には、十分な知識もなく、直観だけで素晴らしい見解を打ち出す者もいるであろう。だが、私の方法は違う。私は、なるべく多くの意見に耳を傾け、その中から、これぞというものを採用し、常に見聞を広げてそれを記憶にとどめるのである。これは最善の方法ではないにしても、次善の策とは言えるのではないか」
(『論語』述而篇)
要するに、なるべく情報にたくさん触れ、そのなかから良いものを選んでいけば間違いが少ないという教えです。多くの選択肢の中から、最善と思えるものを選び、実行していくのは現代のビジネスでも通じるスタンスですね。
経営の神様と言われた松下幸之助もこんなふうに指摘しています。「人の話を聞けない人は、人の知恵を生かすことができない。人の話を聞かない人は、人がそのうち話をしてくれなくなる」と。
とはいえ、人の話を聞くのは意外と難しいのも事実。幸之助は、そのためには素直になることが大切だと言っています。幸之助は9歳までしか学校にいっていません。だから、周りの人はみんな自分より知識や学問がある、と考えて周囲と接したのだそうです。
松下電器産業(現パナソニック)が世界的企業になっても、幸之助は新入社員の話を聞き、さらに最後には必ず「ありがとう」といったそうです。人の話に耳を傾けるには、素直さと謙虚さが大切だと言えるのです。
【T】
ビジネスに生かす中国古典の言葉