“新常態”に対応せよ(第5回) コロナ禍で進む紙資料のデジタル化の波

自動化・AI デジタル化

公開日:2021.08.04

 コロナ禍はビジネスのさまざまな側面に変革を求めてきた。人の移動制限が多くなり、在宅勤務が広がる一方で、リアルイベントの激減や対面接客の減少といった状況が継続している。

 そうした中での在宅勤務やリモートワークの広がりは、紙の書類のデジタル化やペーパーレス化がビジネス変革に欠かせない流れを実感させた。書類が会社にあるから、書類にハンコを押さないといけないから、といった理由で出社を余儀なくされた人も多い。紙に縛られて、ビジネスの変革について行けない状況は打開したい。

 こうした状況では、「デジタル」にコミュニケーションや情報共有の主軸をシフトしていかないと、ビジネスの継続すら難しい。在宅勤務ではオフィスの紙の書類にアクセスできないし、バーチャルなイベントやオンライン販売ではデジタルのコンテンツがないと実施できない。デジタル化の波は、企業規模の大小にかかわらず大きく押し寄せている。

デジタル化、無人化する波に対応する

 スーパーのレジ、ホテルのチェックイン、携帯電話の申し込みなど、世の中ではデジタル化や無人化が圧倒的なスピードで浸透している。まだまだうちは紙だと言っていると、気付いたときに社会や業界の流れに取り残されてしまう。

 ここで、業務のデジタル化や無人化にとって“抵抗勢力”になりそうな、紙の書類について考えてみよう。皆がオフィスに集まって仕事をする時代ならば、伝票でも申込書でも書類を物理的にファイリングしておけば、誰もがアクセスできた。ところが、業務フローの中の「誰か」が在宅勤務をせざるを得なくなったときに、紙の書類前提だと業務は滞る。多くの従業員が在宅勤務なら、なおさら業務が進まない。

 そうしたとき、紙の書類や手書きの書類を簡単にデジタル化する方法があれば、業務で紙を扱う必要がなくなる。そう考えるとオフィスには複合機があり、PDF化はさほど難しくない。PDF化もデジタル化の一種だからだ。

 しかし、PDFでは必要なデータにアクセスするのにいちいち人間がファイルを開いて、目視で情報を確認しなければならない。情報のデジタル化はできているが、データとして有効活用して変革(デジタルトランスフォーメーション、DX)させるにはまだ遠い。紙の書類やFAXのプリントアウトなどに記載されていた情報を、デジタルデータとしてテキスト化したりExcelに取り込んだりできてこそDXへの一歩というものだ。

紙書類のデジタルデータ化の一例

情報の収集から活用までデジタル化に乗り遅れるな

 そんなときに注目したいのが「OCR」である。OCRとは光学的文字認識のことで、紙の書類に記載された文字を認識して、デジタルデータに変えてくれる機能を提供する。「それなら昔から知っている。でも誤認識が多くて使い物にならないんだよね」。そういう印象を持っている方も多いだろう。

 ところが技術は進歩し、AI活用によって手書きのクセ字なども高い精度で読み取れるAI OCR製品が登場している。紙の書類からデジタルデータへの変換を、正確かつ手軽に任せられるのだ。

 AI OCRで高精度の文字認識ができるようになったOCRは、デジタル変革、いわゆるDXを推進するツールになり得る。これまで紙の中や、PDFファイルの中に閉じ込められていた情報が、パソコンやスマートフォンで普通に取り扱えるデジタルデータになる変化は大きい。OCRで処理したデジタルデータならば、集計や検索の対象になり格段に活用が広がる。例えば、過去の資料をデジタル検索できる形式で保管すれば、資料アーカイブとしても活用できる。埋もれていた資料のデジタル化はDXの一環といえるだろう。

 ビジネスの根幹を紙の書類に依存していると、コロナ禍のような環境の変化にも乗り遅れがちになる。デジタルデータを活用してビジネスを効率化したり新しいビジネスの芽を育んだりできない。コロナ禍は多くのビジネスにとって逆風なのも事実だが、DXへの流れに取り残されないチャンスとも捉えられる。第一歩として「紙→データ」を手軽に正確に実現するAI OCRに着目してみてはいかがだろうか。

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執筆=岩元 直久

【MT】

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