ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
パソコンやスマホを使って手軽にメッセージをやり取りするビジネス向けのサービス「ビジネスチャット」は、コミュニケーションを活性化させるツールとして注目されている。NTT西日本グループは、2020年4月に「elgana(エルガナ)」と名付けたビジネスチャットサービスの提供を始めた。NTTグループ公式チャットアプリとして活用されるソリューションを、外部に向けてサービスとして提供するものだ。提供はNTT西日本が行う。
こういったサービス、実際に使ってみないと便利なのかどうか分からない。そこで「初級編」では、サービスの導入から、メッセージを交換する「トーク」の使い勝手までを検証した。後編に当たる「応用編」では、ビジネスのコミュニケーションを支える多様な機能と、管理やセキュリティへの対応について使ってみた印象をお伝えする。
「初級編」で紹介したように、elganaのメインの機能は、チャットベースのコミュニケーションを手軽かつセキュアに行えるようにすること。LINEなどの一般向けSNSで多くの人が慣れたユーザーインターフェースを使いながら、文字やスタンプ、写真などを駆使したコミュニケーションを、会社が登録したユーザーに“閉じて”スムーズに行える。
アプリの起動時に電話の発信と管理を許可すれば(左)、スマホアプリ間で通話ができるようになる(右)
文字やスタンプでも、リアルタイムに情報はやり取りできる。とはいっても、直接話をしたいケースもビジネスでは少なくない。スマホのelganaアプリからは、すぐに相手と「通話」が可能だ。
連絡先から相手を選んで、「トークを開始」の代わりに「通話を開始」を選べば、すぐに相手のスマホを呼び出してくれる。トークをしている最中に通話したくなったら、画面右上の受話器のアイコンをタップすれば、トークから通話に切り替わるので、話の流れを途切れさせずに音声コミュニケーションに移行できた。
チャット中でも受話器アイコンをタップすればすぐに通話に切り替わる
言い換えれば、同じ企業で登録されたユーザー同士なら、スマホのelganaアプリから連絡先で選んですぐに電話が掛けられる。内線電話帳がスマホアプリに入っているようなものだ。個人のスマホに会社の関係者の電話番号をたくさん登録しておくのは、セキュリティ確保の観点から勧められないが、elganaならばID、パスワード認証をしないと使えないアプリ内からしか連絡先データを使えない。つまりセキュリティ対策になる。一方で、今どきはSNSでも手軽に映像付きのビデオ通話やグループ通話ができるのに、現時点では音声の1対1の通話に限定される点は、バージョンアップを待ちたい。
elganaはコミュニケーションだけでなく、共同作業のために「タスク管理」の機能を備える。チームワークでは、タスク管理も業務の一部を占める。elganaを導入することによって、場所が離れていてもタスクについての情報を共有し、対応や進捗の状態管理までを一元的にできるのだ。
パソコン画面でタスク管理を使ってみよう。まず、画面右上の「新規タスク」のボタンをクリックする。すると新規タスク作成の画面が開き、「何を依頼しますか?」と書かれた右のプルダウンメニューから、作成したいタスクを選ぶ。「簡易依頼」「営業報告依頼」「作業依頼」「打合せ依頼」の4つのメニューがあるので、今回は「打合せ依頼」を選んでみた。すると、担当者やタイトル、打ち合わせの日時や場所などを記入するフォーマットが表示されるので、必要事項を書き込んでいけばよい。「送信」ボタンをクリックすれば、担当者のタスクとして登録される。
タスク管理で「打合せ依頼」のメニューからタスクを作成
画面を見てもらうと分かるように、このタスク管理は「依頼」にとどまらない。右側に「出席者」「決定事項」「宿題事項」「要旨」を記入する欄もある。打ち合わせや会議の際に、決まったことや申し送ることを書き込んでいけば、共有できる議事録としても活用できるわけだ。
「簡易依頼」では、依頼内容と期日を書き込む手軽なタスク登録ができる。受け取った側にレポートの提出を求められるので、簡単なアンケートの代わりに使える。チャットと同じWebブラウザーの画面やスマホアプリだけで、タスク管理や簡易アンケートまでできてしまうのは、いちいち違うアプリを開く手間がなくシンプルでありがたい。
タスク管理で簡易アンケートも実現
ユーザーが手軽で便利に使えるサービスでも、管理者の負担が大きいと導入しにくい。情報システム部門の担当者を置けない規模の企業では、オーナー社長やITに詳しい社員が、サービスやシステムのお守りをしがちだ。elganaは、管理者向けの画面もシンプルで分かりやすく作られ、これならば本業の合間に初期設定やメンテナンスを行えそうだ。
ユーザーの登録は1人ずつ手入力しても構わないが、社員データベースなどからフォーマットに従ったCSVファイルを作成できれば、CSVファイルのインポート機能を使って一括登録や更新、削除できる。人数が多い企業でも大きな負担にはならなくて済みそうだ。管理システムの画面から「設定」を選べば、管理者の設定、システムの詳細な設定、クラウドベースの認証サービスの「Azure AD(Active Directory)」との連携設定の項目もあり、自社に合わせたカスタマイズにも対応する。
管理システムの画面で「ユーザー」「インポート」と進んだところ
「システム設定」画面で詳細なシステム設定が可能
管理者からは「メッセージ一斉通報」で、ユーザーにメッセージを届けられる。「明日の停電」といった社内の緊急なお知らせ事項や、「健康診断の案内」のような全員に周知したい連絡などを、管理システムから簡単に送れるのだ。
受信したユーザー側では「!」マークのアイコンが付いた「インフォメーション」としてトーク一覧に表示される。未読の場合は赤い●も付いて注意を喚起する。会社からのお知らせもelganaにまとめて任せられるわけだ。
一斉通報の送信画面
受信側の画面
ビジネスで使うチャットサービスだけに、セキュリティ面の対応がしっかりしていることも求められる。elganaの場合は、ユーザー登録は管理者だけが行え、アカウントの不正利用が防げる。
端末情報はいつでもチェック可能
CSVファイルで保存も
スマホアプリを利用しているユーザーは、端末の機種や識別IDなどの情報も管理システムで把握できる。承認した端末だけに利用を限定でき、他の端末からのなりすましによるアクセスにも対抗する。
端末情報は、管理システムからいつでも確認可能、登録端末の削除もできる。アプリ利用のスマホの場合は、端末のハードウエア上には連絡先情報を記録しない。そのため、端末紛失時にはアプリのアクセス権を削除してしまえば情報漏えいに対してのリスクを極力抑えられる。
管理システムの画面から簡単に管理できる機能、そしてビジネス利用で求められる高いセキュリティ対応。elganaを使ってみた印象は、何か1つの側面で特別な機能を持つエキスパートタイプというよりも、必要にして十分な機能がバランスよく使えるオールラウンダータイプのサービスということ。リモートワーク時代にコミュニケーション円滑化する実力を、実際に使ってみて垣間見た。
※「LINE」は、LINE株式会社の商標または登録商標です
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
※2023年11月より「elgana」の販売会社がNTTビジネスソリューションズ(株)から西日本電信電話株式会社に変更されましたため、記事および注釈を修正しました
執筆=岩元 直久
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