「釜めし」最前線!(第2回) 明石ダコを満喫!淡路屋「ひっぱりだこ飯」

雑学

公開日:2017.10.26

 釜めし連載の第2回では、特産品を使ったユニークな「海鮮」釜めしを紹介します。兵庫県神戸市にある淡路屋の「ひっぱりだこ飯」です。蛸壺(たこつぼ)風の陶器の釜に入ったユニークなルックスに目を引かれました。

神戸駅の釜めし蛸壺仕様の“ひっぱりだこ飯”

 淡路屋は、1998年に兵庫県明石市の名産である明石ダコを使った釜めし駅弁「ひっぱりだこ飯」を発売しました。ちょうど神戸市と淡路島をつなぐ自動車道、明石海峡大橋が開通した年です。

 その容器は、タコを捕獲する漁具「蛸壺」をモチーフにしています。陶器製で、淡路屋が独自に焼き上げたものです。ささやかではありますが、事前に蛸壺風の陶器を見ないように努力し、形をあれこれと想像してワクワク感を高めてから、取材日を迎えました。

 手にした「ひっぱりだこ飯」は、思ったよりも小さくて、直径10㎝、深さ10㎝の手のひらサイズでした(調べてみると、地方によって違うのかもしれませんが、漁で使うタコつぼもこのくらいの大きさだとか)。陶器の重さは350gで、前回の「峠の釜めし」は約700gでしたので、半分くらいになります。

 掛け紙を外すと、蛸壺風の陶器には「淡路屋」「ひっぱりだこ飯」の文字に加え、明石海峡大橋の開通日まで刻印されています。掛け紙にも「明石海峡大橋記念」の文字やイラストが印刷されおり、当時の神戸にとって橋の開通は大きなニュースだったことを伺わせます。

 2017年1月には、累計販売数が1000万個を突破した記念として、金色の蛸壺風の陶器に入った「金色のひっぱりだこ飯」が販売されました。

 掛け紙の裏面には、ひっぱりだこ飯の説明が書き込まれています。食材の説明に加え「おいしい召し上がり方」という電子レンジでの調理法(加熱)の説明があります。電子レンジで温められるようですが、今回は旅の駅弁風情を楽しむために、温めずに食べることにしました。

明石たこの存在感はさすが!そしてカラフル!

 フタを開けると、タコ、アナゴ、クリ、ニンジン、シイタケ、タケノコ、菜の花、錦糸卵という8種類の具材がお目見えしました。タコはうま煮、アナゴはしぐれ煮です。ニンジン、シイタケ、タケノコは煮付けられており、クリは甘露煮です。豪華な具材ですね。

 明石タコは大きな足が2本入っていました。口当たりは柔らかく、かむと明石タコの特徴でもある甘さが広がります。明石タコの取れる明石海峡は潮流が激しいことでも知られており、エサの稚ガニも豊富。海中を泳ぐタコがモリモリ食べている姿を思い浮かべてしまいます。

 電子レンジで温めなかったので茶飯が固いかなと心配しましたが、予想に反して柔らかく、冷めてもおいしく食べることができました。関東出身の筆者にとっては、やや薄味に感じられましたが、具材と一緒に食べるとタコやアナゴなどうま味が引き出すために薄味になっているのだと気付かされます。まさに混然一体としたタコつぼ料理です。

 さらに食べ進めると、ご飯の中からタコの練り物を揚げたタコ天が出てきます。タコが再び登場するだけですが、意外と飽きさせない演出です。出張者や旅行者にとっても、タコ天を頬張る瞬間はニヤリとしそうです。容器の小ぶり感という先入観から、食前は「量が少ないのでは?」と心配しましたが、具材と茶飯がぎっしりと詰まっているため、十分におなかが膨れます。

 荻野屋の峠の釜めしでも感じた、陶器釜のフタを開けたときに「目で楽しませる」という釜めしならではの演出やギミックは、ひっぱりだこ飯にも感じました。やはり、陶器釜のインパクトは大きいのでしょう。味はもちろんですが、その演出によって累計1000万個という全国から「ひっぱりだこ」の駅弁になったことに納得です。

会議用に「駅弁のお取り寄せ」はできるのか?

 ひっぱりだこ飯は、JR西明石駅、神戸駅、新神戸駅に淡路屋の直営店で販売されており、さらに新幹線が通る東京駅や新大阪駅、京都駅、上野駅、仙台駅のような巨大ターミナル駅でも委託販売されているそうです。

 最近は百貨店などの駅弁フェアで遠隔地の駅弁を購入できたり、お取り寄せサービスもあったりします。ひっぱりだこ飯は「駅弁図鑑 西日本編」というウェブサイトにある「とりおき・宅配サービスガイド」でも取り扱っています。この宅配サービスは、本州の関東以西および四国4県で受けることができます(品質保持のためサービス期間は10月1日~3月30日に限定)。

 例えば、この宅配サービスを使って会議や社内イベントなどに地方の駅弁を提供すれば、あなたの株が上がるかもしれません。もしくは私のようにコッソリと楽しむこともできます。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2017年10月11日)のものです

執筆=松田 謙太郎

1979年、長野県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了後、経済団体に就職。検定試験の企画・運営、中小企業のコンサルティング、経営相談・融資に留まらず、経済法規、経済政策、税制などの要望書の作成業務を行う。その後、独立開業しフリーライター業と講師業を始める。旧姓・松本謙太郎名義の記事多数。

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