人手が足りない会社の業務効率処方箋(第3回) 多言語を操る人材、どう確保するか

雇用・研修 インバウンド対応

公開日:2016.12.21

 近年、訪日外国人旅行者(インバウンド)の数が急増している。日本政府観光局の発表によると、2013年に年間1000万人を突破して以降、年々増加が続いている。2015年には前年比47.1%増の1974万人と過去最高を記録した(日本政府観光局調べ)。

 今後も拡大が予想されるインバウンド需要を取り込むには、多言語に対応できる人材が不可欠だ。しかし、英語だけならともかく中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、タイ語など、複数の言語に対応する人材の確保は容易ではない。

多言語対応の強化が急務

 現在の訪日外国人は約8割がアジア系であり、そのうち中国と韓国だけで5割近くを占めている。英語だけではなく、中国語や韓国語が話せる人材がいないとインバウンド需要を呼び込むことは難しい。さらにいえば、2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会には、200を超える国が参加する予定で、多様な言語に対応しなければならない。

 一般の企業や店舗でも、せめて英語、中国語、韓国語に加え、公用語として広く使われているスペイン語やポルトガル語、近年訪日観光客が急増しているタイ語には対応しておきたい。

 問題は、多言語に対応できる人材が圧倒的に不足していることにある。多言語に対応する人材が求められているのは、インバウンドに関わる小売り・流通・宿泊・金融・運輸・医療だけではない。海外展開を進める製造業や商社など、日本全体でバイリンガル人材は取り合いの様相を呈している。

広がる語学力ニーズと人材確保手段

 多言語に対応する人材の確保には、社員あるいは契約社員として採用する方法、人材派遣を利用する方法、常駐ではなく必要なときだけ通訳・翻訳を利用する窓口アウトソーシングなどが考えられる。人材を確保する手段として、採用と人材派遣、窓口アウトソーシングそれぞれの特徴と注意点を比較してみた。

社員・契約社員の採用

[特徴]
・社内に常駐し業務や文化を覚えてくれるので、専門用語も理解して業務目的に沿った対応ができる。社内で教育してスキルアップさせることも可能

[注意点]
・費用が固定化する
・為替変動など外的要因でインバウンド需要が減少すると、人材過多になるリスクがある

人材派遣

[特徴]
・必要な人材を必要な期間、必要な人数だけ配置できるので効率的
・教育コストがかからない

[注意点]
・対応件数が少ない場合、コストパフォーマンスは下がる
・専門人材なので派遣コストが高い

窓口アウトソーシング

[特徴]
・人材を常駐させることなく、接客時のみ通訳・翻訳サービスとして利用できるのでコストが安い
・1つの契約で多数の言語に対応したサービスを受けられる

[注意点]
・対面に比べるとニュアンスの読み取りが難しいことがある(テレビ電話を使うことでカバー可能)

 訪日外国人数は、為替変動やオリンピックなど外的要因によって変動しやすい。固定費を抱える採用より、需要に応じてフレキシブルに利用できる人材派遣のほうが無難だ。さらにいえば、常駐型の人材派遣より必要なときだけ利用できる窓口アウトソーシングのほうがコストパフォーマンスは高いといえる。

 もちろん業種や用途によって費用対効果は変わってくるだろう。だが、人手が足りない中堅・中小規模の企業を中心に、コストパフォーマンスに優れる窓口アウトソーシングが今後の主流になっていくと思われる。

執筆=井上 隆文

【MT】

あわせて読みたい記事

連載バックナンバー