人手が足りない会社の業務効率処方箋(第6回) 生産性向上のコツは業務棚卸しと見える化

見える化 人手不足対策働き方改革

公開日:2019.02.20

 長時間労働の是正、賃金格差の解消などを柱とする働き方改革関連法が、いよいよ2019年4月から施行される。同時にクローズアップされているのが「生産性向上」というテーマ。残業を減らし、従来の業務をより短時間に、より少ない人数でこなすためには、生産性を高める取り組みが欠かせない。具体的にどうすればよいのだろうか。

進む社員の「個業化」と「属人化」

 工場の生産ラインといった「ものづくり」の現場では、以前から生産性向上を意識した取り組みが進められ、着実に効果を上げている。しかし、事務作業などのデスクワークに関しては、社員ごとに担当業務が異なるだけでなく、同じ作業でもやり方が違うケースが多い。デスクワークは生産性向上があまり進んでいないのが現状だ。中でも問題になっているのが、デスクワークの「個業化」である。

 個業化とは、文字通り「1人で仕事する」という意味だ。最近はチームで働くにしても、個々の社員に仕事を振り分け、各自が与えられた役割をこなすスタイルが一般化している。当然ながら負担の大きさには個人差があり、同じ作業でも必要な時間は人によって変わる。仕事中は黙々とパソコンに向かい、社員同士のコミュニケーションが希薄化している企業も少なくない。「管理職すら各社員の仕事内容を知らない」状況では、職場全体の生産性向上を考えられるはずがない。

 また、個業化と共に、デスクワークの生産性向上を妨げている問題として「属人化」が挙げられる。特定の社員にしか仕事の手順が分からない状況では、仕事のノウハウを熟知した社員の欠勤、もしくは退職によって一気に生産性が低下する。

業務の「棚卸し」と「定型作業の見える化」を進めよう

 「個業化」と「属人化」が進むデスクワークの生産性向上を考える最初のポイントは、誰が、どんな仕事をしているのかを洗い出すこと、いわゆる業務の棚卸しだ。各自が担当する業務の種類と内容、処理に要した時間などを、目に見える形で示す。

 業務の棚卸しが終わったら、次の段階として生産性が低いと思われる業務をピックアップする。異常に時間がかかっている業務や、同じ作業なのに1人だけ何倍も時間がかかっている業務などを探す。特に、定型作業に注目すると、時間がかかり過ぎている業務を見つけやすい。例えば、注文書の内容登録に時間がかかっていると分かれば、転記手順を見直せばよい。個人のスキルに課題がある場合は、ベテランの作業方法を教えれば時間短縮ができるかもしれない。このように定型作業を見える化できれば、具体的な対策を考えられる。

ITを活用した「自動化」で改善推進

 業務の棚卸しと見える化を進める上で、活用したいのがITツールだ。例えば、多くの企業で使われているグループウェアは、個々の社員が担当する業務内容やスケジュールを把握できる。「会議」「外出」のように簡単な項目を並べるだけでは、グループウェアのメリットを生かし切れているとはいえない。作業内容や時間を記入してもらえば、業務を見える化できる部分もある。

 最近では、AIを活用してパソコン操作のログを分析する方法ができた。情報を出し渋る社員への対策にもなる。情報公開は改善の前提として、欠かすことができないと認識しよう。

 見える化に成功したら、定型作業はアウトソースしたり自動化したりするのを考えたい。生産性を低下させる原因が、入力、転記、参照といった業務に該当する場合、ロボットに担当させるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入によって解決する選択肢もありだ。ロボットと聞くと大掛かりな仕組みを思い浮かべる方も多いだろうが、RPAの仕事は「アプリ起動」「データ転記」「メール送信」といったパソコン操作を自動化するもので、決して難しいものではない。プログラミング知識のないユーザーにも扱えるツールもある。

 生産性向上にはIT活用が有効だ。業務の棚卸しと見える化に成功すれば、ロボットと分業して生産性向上を図れる時代になっている。

執筆=林 達哉

【MT】

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