ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
「我は専らにして一となり、敵は分かれて十とならば、これ十をもってその一を攻むるなり」(『孫子』)
「孫子の兵法」という言葉をご存じの方も多いことと思います。『孫子』とは中国古典の兵法書で、ビジネスにも応用できる内容が詰まっています。
古今東西、戦いにおいて兵士や兵器など物量で相手を圧倒することが、勝利を手にする最も確実な方法でした。現代のビジネスでも、人材が豊富で資金力に優れる大企業が市場で高いシェアを握り、多くの利益を得ているケースは珍しくありません。
しかし、戦力の大きいものが必ず勝つわけではありません。戦力差があっても逆転に持ち込み勝利する戦略があるのです。「孫子」にこんな言葉があります。
「我は専らにして一となり、敵は分かれて十とならば、これ十をもってその一を攻むるなり。すなわち、我は衆くして、敵は寡なし」
(訳)こちらは集中して一つになり、敵は十に分散したとすれば、こちらは十の力で敵の一の力に当たることになる。すなわち味方は多数、敵は少数なのである。
「専」とは集中するという意味です。単純ではありますが、この方法は相手の勢力を分割させて個別に撃破していくことから、後に「各個撃破(かっこげきは)」と呼ばれる有名な戦略となりました。
各個撃破は、世界の多くの名将たちが実践しています。ナポレオンは率いる歩兵部隊の行軍スピードの驚異的な速さを生かして戦力を集中します。そして両翼を広げるなど、分散した布陣をとった敵を各個撃破していったといわれています。日本の戦国時代も、多くの武将がこの各個撃破で戦果を上げています。
各個撃派のポイントは自軍戦力の集中と、敵戦力の分散にあります。それをビジネスに応用するなら、大きな市場を狙わずに小さな市場に自社のリソースを集中することに当たります。小さな市場の場合、大きな投資をしても費用対効果が悪いので、大企業もそれなりの取り組みしかしません。つまり、大企業の戦力も分散している状態なのです。
分析計メーカーの堀場製作所を創業した、元祖・学生ベンチャーだった堀場雅夫さんはこう語っています。「例えば、資本金100億の大企業が100平方センチのところの仕事をしておったら、資本金1億の会社は、100分の1、つまり1平方センチより少し小さい面積のところに全エネルギーを集中する。こうすれば、単位面積当たりのプレッシャーは資本金の額が100億の企業よりも強いことになる。これが、我々中小企業が大企業に対抗する原理だと私は考えています」。
大企業が力を入れていない、いわゆるニッチ市場を見つけて攻略し、それをバネに飛躍を遂げた企業は少なくありません。孫子が唱える各個撃破(一点集中)は、ベンチャー企業や中小企業においては積極的に活用すべき戦略の一つといえるでしょう。
【T】
ビジネスに生かす中国古典の言葉