ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
働く環境が変化しても、依然として業務で不可欠なのは人と人とのコミュニケーションだろう。オフィスへの出社が復活した職場でも、リモート中心の職場でも、外出先で業務をこなすメンバーが多い職場でも、報告や連絡、相談は仕事の基本だ。
今、職場の人手不足が深刻化を増している。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行してから、対人サービス業を中心に新規求人数が増加し、人手不足感が強まっている。帝国データバンクのレポートによれば、2023年7月時点における全業種の従業員の過不足状況では、正社員の「不足」を感じている企業は51.4%だった。これは7月としては過去最高の数値だという。人手不足割合が上位の業種は、1位が「情報サービス」、2位が「旅館・ホテル」で、「建設」「メンテナンス・警備・検査」「飲食店」と続く。これらの業種はいずれも65%以上の企業が人手不足だと回答している。
人手不足などによる多忙の中で、コミュニケーションを十分に取らずに現場の担当者が業務を遂行すると、属人化が進んでしまうリスクがある。業務が回っている間はそれでも良いかもしれないが、急な欠勤や退職といった不測の事態も起こりうる。では、欠勤した人の業務は誰かが肩代わりできるだろうか。業務の情報はどこかで共有されているだろうか。
業務を属人化させないためには、日頃からコミュニケーションを円滑にしておくことが大切だ。とはいえ、口頭のやり取りでは履歴が残らず、教わった人の記憶力に頼るという情報共有になってしまう。人の記憶に頼らず情報を共有する方法として、デジタルデータを活用するのも一案だ。
例えば資料を紙に印刷して業務に使用しているようであれば、作成した資料を印刷せずデジタルデータのままクラウドストレージに保存する。共有すべき情報がクラウドストレージにフォルダ分けしてあれば、必要な人がすぐに情報にアクセスできるので、会社を休んでいる人に電話をして、「あの資料はどこ?」「◯◯のキャビネットの▲▲のファイルの中にあると思います」といったやり取りもなくせる。
クラウドストレージは、インターネットに接続できれば外出先からもアクセス可能だ。パソコンやスマートフォンからデータにアクセスし、ファイルの参照などができるため、時間の節約になり業務効率化にもつながる。
クラウドストレージに資料を保存すれば、外出先でもスマートフォンなどから確認できる
属人化を防ぐ情報共有の仕組みとして、これまでの社内コミュニケーションにチャットツールを追加すれば、コミュニケーションの質が変化し、情報活用を促進できるだろう。
ビジネス向けのチャットツールも、プライベートで利用されている無料チャットアプリなどと同様に文字やスタンプを使ったコミュニケーションが可能だ。誰もが使いやすいユーザーインターフェースで、パソコンでもスマートフォンでも利用できるため、デバイスや場所を選ばず、常に情報を確認できる。メッセージが読まれたのか、既読確認できる機能もある。
外出が多い従業員やオフィスで業務をする従業員、さらに在宅で仕事をする従業員が混在するハイブリッドな業務環境では、ちょっと集まって話をすることや雑談もままならない。チャットツールを導入すれば、これまで口頭で行っていた情報伝達や雑談もチャット上で行える。チャットツール上に資料をアップロードすれば、後から紙の資料を探す必要もなく、情報へのアクセスが容易になる。既読管理を併用したり、重要な情報をチャット画面の上部にピン止めする機能を使ったりして、情報伝達をより確実にする方法もある。チャットツールによってはタスク管理機能も備えており、案件の進捗(しんちょく)管理などにも活用できる。
従業員間で情報を常に共有できるのはビジネス向けチャットツールの大きなメリットだ。機密情報を扱う場合も、国内データセンターの安全な回線を提供する事業者のサービスを利用すれば、セキュリティ面の不安を減らせる。
誰とでも簡単に情報共有できる環境は、人手不足の中での急な欠勤などへの備えになる。さらに、情報をオープンにし、柔軟な働き方ができる企業として認知されれば、人材募集への効果も期待できそうだ。
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=岩元 直久
【MT】
人手不足の打開策