“新常態”に対応せよ(第4回) 「紙問題」は複合機で解決する

働き方改革 ビジネス機器

公開日:2021.05.26

 仕事には紙がつきもの。そんな業務の進め方が当たり前の読者も少なくないだろう。ペーパーレスだの電子化だのといっても、発注情報はFAXで送られてきて、請求書は郵送するのだから、紙は切っても切れない。コロナ禍でテレワークやリモートワークが推奨されても、業務で必要な紙が勝手に空を飛んで自宅までやってくるわけではないから、自分が職場に出向くしかない。

 ワークスタイルの変革が叫ばれて久しい。大企業ではさまざまな電子化の取り組みが進められ、取引先とも電子的なやり取りが可能になり、コロナ禍への対応もある程度スムーズに進んだ感がある。しかし中小企業では取引先との間のやり取りがFAXや郵送書類というケースが少なくない。そのため変化への対応が難しかった。FAXで送ってくる顧客に「明日からは電子メールでお願いします」とは言いにくい。在宅ワークに切り替えたくても、紙が業務を回す仕組みに阻まれて、うまい軌道修正の仕方が見つからないのだ。

 そんな悩みを抱える中小企業の皆さんのオフィスを見てみよう。FAXを受信するのはどんな機器だろうか。FAXや郵送する書類を印刷するのは、どんな機器だろうか。家庭用のFAXを大切に使っている個人商店などを除けば、FAXやスキャナー、プリンターといった機能を併せ持つ複合機がオフィスの業務の中核にあるケースが多いだろう。

複合機は紙をデジタル化するハブに

 これまでの複合機のイメージは、書類を刷り出す機器のようなものだった。スキャナー機能を使って書類をPDF化してパソコンに取り込むときもあるかもしれないが、多くは紙の印刷に費やされていた。業務が「紙を中心に回っていた」のだから当然だ。ところが、ワークスタイル変革を考慮しなければならなくなった今、業務の中心を紙からデジタル化したデータへとシフトさせる必要が高まってきた。そこで改めて注目したいのが複合機なのだ。

 最新の複合機は、書類中心の業務において、紙とデジタルデータの仲介役になる高度な機能を備えている。高速できれいに印刷するといった昔ながらの基本機能はそのままに、デジタル時代に必要なさまざまな機能も利用できる。FAX受信なら、デジタルデータとして蓄積して必要なものだけ出力するペーパーレスFAX受信が可能だ。また、FAXの内容を担当者のパソコンやスマホにメールで転送するなど、印刷だけではない活用の幅も広がっている。定型書類はスキャンしてデジタル化しておけば、そのデータは場所を問わずにどこでも活用が可能になる。

 一方で機能が多様になってくると、操作の難しさを懸念する声が聞こえてきそうだ。だが、最新の複合機は使い勝手が大きく向上しているため、心配には及ばない。大型のディスプレーにはよく使う機能や設定が、スマホのごとくカラフルで見やすく表示され、目的の操作を迷わず実行できる。定型業務のアイコンを作って表示させれば、誰にでも操作が簡単という点も見逃せない。

スマホやWi-Fi対応、セキュリティ、最新の複合機で課題を解決

 「複合機ならウチの会社にもある」。もちろんこれも正論だ。しかし、デジタル機器の進化は日進月歩なのを忘れてはならない。例えば、スマホやタブレットといったスマートデバイスとの連携だ。パソコンを介さずスマホなどから印刷やスキャンを実行できるほか、スマホの専用アプリで事前に設定を行えば、複合機の前で操作に迷わずに済む。オフィスでも当たり前になってきたWi-Fiへの標準対応も進み、置き場所に迷うことなくレイアウト変更にも自在に対応できる。

 また、業務データを扱うとなればセキュリティにも気を配りたいところ。最新の複合機は、次々とアップデートされるセキュリティ対策のガイドラインや基準への対応が進む。ICカードを使った利用者認証はもちろん、複合機を動かすソフトウエアであるファームウエアのアップデートを悪意ある第三者がハッキングできないよう、対策も施されている。

 紙の業務が残っている企業であればあるほど、最新の複合機で「紙とデジタルを融合させた新しい働き方」へのシフトの余地が大きい。今どきの複合機にはどんな機能があり、どんな業務の改革が可能なのか、改めてチェックしてみると新しい発見があるだろう。

執筆=岩元 直久

【MT】

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