ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
毎月の勤怠時間の集計作業が大きな負担になっている管理部門の担当者は多い。間違いが許されない。神経を使う作業なのに、合っていて当たり前。作業も締め日前後に集中して負荷が高い。しかも、管理部門の担当者はできるだけ少ない人数で回しているケースが多い。
旧来の紙のタイムカード方式から脱却し、勤怠管理の効率化を進める切り札がある。クラウド型勤怠管理サービスの活用だ。正規・非正規の社員が混在し、勤怠時間の管理が複雑な介護・福祉業界、飲食業界、コールセンターなどには特に効果的だ。
クラウド型勤怠管理サービスでは、社員が入力したデータは自動的にデータセンターに送信して蓄積するため、勤怠データを一括管理することが容易にできる。その代表的な4つのメリットについて順に紹介しよう。
1つ目はコストだ。特に、クラウド型勤怠管理サービスは、導入時の初期費用が低い傾向がある。自社で物理的なサーバーを買う必要はないし、安価な打刻端末の購入費用だけで済むケースが多い。運用費用も月額利用料が利用するID当たり数百円程度のため、拠点や社員が増えても利用者分の費用を追加するだけでよい。それほどコストをかけられない中小企業も導入しやすい。
2つ目はリアルタイム性である。社員やアルバイトなどの勤怠情報をクラウド経由で常に把握できるようになる。複数店舗を運営する飲食業でも、本部の管理者は社員ごと、店舗ごとの勤怠データを一目で確認できる。紙のタイムカードではすぐに把握できなかった勤務状況をリアルタイムに把握すれば、働き過ぎの社員や欠勤が続くアルバイトにもすぐに気付ける。
3つ目は管理負荷の軽減だ。紙のタイムカードでは、締め日前後に集計業務が大変な作業負荷となっていた。クラウド型勤怠管理サービスでは、従業員が打刻した時点で勤怠情報がすでにデータ化されている。管理者にとっては、カードの収集や勤怠実績の集計にかかる作業負荷が大幅に軽減される。蓄積されたデータを給与計算ソフトで再活用するため、CSV形式でエクスポートできる勤怠管理サービスもある。給与計算業務と連携させれば、毎月の締めの作業はさらに効率化される。
4つ目は保存性である。社員の労働時間の記録は労働基準法によって、3年間の保存が義務づけられている。クラウド勤怠管理サービスなら、当日・当月はもちろん、過去に遡って日次や月次の勤務集計情報も取っておける。場所を取らずに長期保存が可能だ。データは専用サーバーで24時間365日、万全の体制で管理される。クラウド型サービスのおはこである。
クラウド型勤怠管理サービスは中小企業にとって多くのメリットがある。サービス例として、NTTグループの「follow Smart Touch」と「Touch On Time」、アマノの「CLOUZA」の3つについて簡単に見ていくことにしよう。
follow Smart Touchは低価格のタブレットや既存のパソコンが打刻機になるクラウド型勤怠管理サービスだ。高額な専用機が不要なため、導入費用を大幅に抑えられるのが最大の特徴。拠点の規模や立地に合わせて増設が簡単に行えるので、始業直前の打刻の"待ち行列"を解消できる。初期設定のしやすさも大きな魅力だ。数ステップで初期設定が完了し、最短1日で使い始められる。
さらに、外出先からもタブレットやスマートフォンで打刻できる。営業や打ち合わせで出先にいる場合でも、退社時間を記録するためにわざわざ帰社する必要がない。「タッチでパシャ機能」(※1)を備えているため、打刻時に写真が撮影され、不正打刻を防止する。「GPS打刻機能」を活用すれば、GPS機能のあるスマホで打刻位置を記録し、地図上で確認できる。社員が適正な場所で業務をしているか、打刻位置で分かる。
また、いくつかのシフト管理ソフトと連携し、CSV形式のデータを取り込めるので、細かなシフト勤務を行う業界では重宝するだろう。利用料金は構築費用、導入サポートは無料(※2)。その月に打刻されたID数当たり200円(税別)と低廉な価格設定になっている。無料トライアル(※3)も設けている。
2つ目のTouch On Timeはクラウド型勤怠管理サービスの先駆けだ。紙のタイムレコーダーをそのままデジタル化したような操作性に特徴がある。最も人気が高いのは、パソコンが不要で打刻端末単体で使用する「Touch On Timeレコーダー」だ。Touch On Timeレコーダーは、指紋認証とICカード認証、従業員ID+パスワード認証の3つから打刻方法が選べる。打刻データは有線LANないし無線LANでクラウドに送信される。万一、ネットワーク障害があっても、打刻データは端末に蓄積され、復旧すると自動的にクラウドにデータを送信する。専用パソコンが用意できなかったり、紙のタイムカードと同じような操作性を求めていたりする企業に最適だ。
インターネットにつながったパソコンに打刻端末を接続する方法もある。本人以外が打刻する不正を防ぐため、静脈認証用の端末も接続できる。金融機関など高いセキュリティが必要な企業でも使われており、飲食業、小売業、流通業など幅広い業種で利用できる。おサイフケータイやSuicaなどを打刻に利用する方式もある。
Touch On Timeの初期費用は端末購入費用のみだ。システム初期費用、サポート費用、保守費用、バージョンアップ費用は不要で、1ユーザー月額300円(税別)で使える。30日間無料で試せるプログラムもある。
3つ目のCLOUZAは、タイムレコーダーを長く提供してきた歴史を持つアマノのサービスだ。パソコンやタブレットからの打刻でも、操作がシンプルで分かりやすい。パソコン、タブレット、スマホ、専用端末と、利用シーンに合わせた端末を選べる。これまで紹介した2つの製品と同様、初期費用は無料だ。1人から利用できる価格設定となっているが、500人以上の利用は応相談となる。無料トライアルがあるのは他サービスと同じだ。
クラウド型勤怠管理サービスを導入すれば、上記のようにそれほどコストをかけることなく、勤怠管理業務にかかる効率化が期待できる。ただ、勤怠管理サービスを利用するには、無線LANの構築が必要なケースもある。導入する際は中小企業の現場に詳しく、無線LANの導入にも実績を持つ事業者に相談し、パートナーに選ぶのがよいだろう。
※1 「タッチでパシャ機能」はAndroid OSのみの機能
※2 別途、インターネット環境が必要
※3 無料トライアル期間は30日間
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=菊地原 博
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