ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
まずは「ママの世界でトップになる」という思いを持って経験を積んだことで、自分の色を確立することができました。自分だけの型を確立できた今なら、相手がママでもビジネスパーソンでも通用します。何よりも1つの世界で実績を挙げたのが、私の最大の強みとなりました。
つまり、夢とは違うなぁと思いながら、あの時小さな公民館から始めたママコーチの道が、実は一番の近道だったのではないかと今は思えるのです。逆を言えば、最初からビジネスパーソン向けに講座を始めていたら、これまで(ママ向けの)本を何冊も出版できなかったでしょうし、テレビに出る機会もなかったかもしれません。
人生を振り返ったときに、よかったことが6割、「そんなこともあったね」というくらいのことが3割、人生の暗部にも思えることが1割なのだそうです。
私にとって、ママコーチをスタートした時点では、それは嫌な1割でした。でも、11年たった今ではよいことの6割に入っています。
つまり今、自分にとっての「×」が未来もずっと「×」とは限らない。私のように「○」になることだってあるんです。
私は英会話学校時代、秘書の仕事をしていたこともありました。人の中心にいることが好きな私には、たった1人の人物のサポート役に徹することはつらいものでした。
でも、全国展開する英会話スクールで、その創設者である会長の仕事を間近で見られた経験は、私にとっては貴重な財産です。学んだこともたくさんあります。嫌なことの中に、ちょっとだけ「○」の要素も含まれていたのです。
どんなに優れたミシュランの料理人だって、イモの皮むきばかりをして過ごす長い修業時代があったはず。でも、「誰よりも奇麗に皮をむいてやるぞ」とか「誰よりも速く皮をむけるようになるぞ」と自分で課題を見つけ、それをクリアしながら成長していく。
意味がないと思う仕事も、自分なりに課題やテーマを決めて取り組めば、「嫌だなぁ」の1割がいつの間にか「よかった!」の6割に変わっていくのが人生なのではないでしょうか。
きっと皆さんの人生の中でも〝あの頃はつらかったけれど、あの出来事があるから今がある〞と思える経験はあるはずです。いい環境で、自分の好きな人と、やりたい仕事だけをすることは、ほとんどありません。でも見方を変えて取り組めば、それが次の自分の成長や幸せにつながるチャンスなのです。
英会話学校では、スクールマネージャーをはじめ、営業担当のスタッフたちが、生徒を増やすための営業目標を掲げて働いていました。
6年間で多くの営業メンバーと会いましたが、営業成績がグンと伸びている人と話をすると、みんな同じようなマインドを持っていることに気付きました。最後まで諦めないし、人のせいにしない。営業会議でみんなが「今月はまずいよー」と言っている中で、1人だけ「ピンチはチャンス!」と言っていたりします。
仕事ができる人に共通する特徴があります。それは、「環境や人のせいにしない」こと。
一方で、うまくいかない人は、グチグチと人や環境のせいにする。例えば、スクールの立地が悪いから、受講料が高いから、先生の質が悪いから……。でも、条件はみんな一緒なのです。同じ環境の中でも、成績を上げる人と上げられない人がいる。その違いは「マインド」の違い。自分自身と向き合わずに、人や環境の文句を言うほうがラクです。でも、そういう人はなかなか現状を打開できません。
世の中には、自分でコントロールできるものとできないものがあります。置かれた環境など、自分の力ではどうしようもないことをコントロールしようとすると、苦しくなる。そんなときこそ、どんなささいな行動でも、自分ができることから始めてみる。変えられるのは、自分と未来だけなのです。
私は「立地が悪いから成果を上げるのが難しい」と言われていた小さなスクールに1カ月間サポートに行って、1週間で目標人数を達成させたことがあります。
何カ月も目標を達成できていないそのスクールでは、スタッフたちはみんな自信を失っていました。結果が低迷している野球チームに負け癖がついてしまうのと同じです。「どうせ頑張ったってダメだよね」「立地が悪いから仕方ないよね」という諦めモード。
でも、業務をよく見ると、通常業務が滞っている上に、更新のアプローチをした人の取りこぼしもたくさんありました。そこでまず取り組んだのは、挨拶や入学を悩んでいる人へのフォローなど、当たり前のことばかり。立地が悪いなどと言い訳をせず、「今できることは何か」を考え、行動したのです。
もちろん、期待されて行ったので、「よっしゃ、やってやる!」と思っていましたし、「私が行ってできないわけがない」という自信もありました。そういうプラスのマインドを持っていたから、200%の力が出せたのだと思います。
もし今、仕事がうまくいかず、悶々(もんもん)としているなら、その中でも今できること、つまり、〇の仕事を見つける視点を持ってもらいたいと思います。
人や会社のせいにするのは簡単ですが、そこからは発展的なものは何も生まれません。仮に転職しても、自分の思い通りの仕事に就ける保証はないのです。どこに行ったって、苦手な人はいるし、100%の環境なんてない。パラダイスなんてないのだから、この環境を改善するために、自分にできることは本当に全部やり切れたのかを考えてみてほしいのです。
私自身、つらいことも、たくさんありました。でも、「辞めることはいつでもできる」と言い聞かせて踏ん張ってきました。そうやって頑張ったからこそ、得たもの、学んだことがたくさんあります。今では英会話学校で過ごした時間は、人生の宝だと思っています。
講座の受講生の中に、自分の思っている仕事の部署に戻れず悶々としていたNさんという女性がいました。しかし、彼女は本を読むのが好きで、会社の同僚などとSNSグループをつくり、本の感想をシェアしたり、お薦め本を紹介したりするようになりました。やがて、本を介して他部署の人とのつながりができたそうです。仕事とは直接関係のなかった人脈ですが、結果的に仕事にも役立ったと話してくれたことがありました。
やりたい仕事が見つからない、という人には、とにかく何でも「まずやってみる」ことをお勧めします。
なぜなら、経験から見えてくること、分かることのほうがはるかに大きいから。みんな、成功体験や失敗の体験を積み重ねながら自分の道を進むのです。Nさんのように、今の仕事だけでなく、社外の活動やプライベートの中でいろいろな道を模索してみるのもいいと思います。
大事なのは、始めからホールインワンをめざさないこと。少しずつ、理想の形に近づいていければいいのです。
<この章のまとめ>
1 今の「×」は自分次第で未来の「〇」にできる
2 過去と他人は変えられない。変えられるのは未来と自分
3 経験から適性を見つける。最初からホールインワンをめざさない
執筆=山﨑 洋実
コミュニケーションコーチ。1971年静岡県生まれ。大手英会話学校勤務時代に、接客&人材育成の楽しさを知る。2000年にコーチングに出合い体系的に学ぶうちに、これまでやっていたことがコーチングだったと知る。出産後、身近なママ友向けに始めた講座「ママのイキイキ応援プログラム」は常に笑いあり、涙ありで心に響き、かつ本質を伝える講座として瞬く間に全国区へ。講座内容が仕事にも役立つことから企業研修、講演会を全国で開催。
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